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■過去のESSAY■
・たまたまタマちゃん
(2003.4.30)

-- たまたまタマちゃん --

 いきなり駄洒落ですいません(お叱りメールがたくさん来るだろうなあ)。

 でも、一旦沈静化したかに見えたタマちゃんフィーバー、ここ最近またリバイバルしてきたので、敢えて目をつぶることをやめようと。

 タマちゃん。
 日本人、騒ぎ過ぎ。

 発見した人や、その地域住民が「かわいい」「一度見てみたい」とちょっとした騒ぎになるのはいっこうに構わないのだけれど、日本全国タマちゃんフィーバー。今や数箇所でタマちゃんが発見され、「わが町のタマちゃん」的な空気が強くなっている今日この頃でありますが、はっきり言って浮かれすぎであります。

 特にテレビ(ワイドショー)の狂喜乱舞ぶりは、目を覆いたくなるほど、メディア批評および消しゴム版画家第一人者・故・ナンシー関氏>注1の言葉を借りるとすれば、とんだ「とほほ」ぶりを露呈しているのが現状です。

 そして冒頭でも語ったとおり、タマちゃんフィーバーの地位を確立したであろう『タマちゃんを守る会』などの謎のタマちゃん保護団体の存在。ついにタマちゃんというキーワードを元に、新たな団体が形成されてしまったわけであります。しかも、団体通しで小競り合いを展開する始末。その一部始終を報道し、どちらの団体が正しいかどうかを論議するワイドショー。まさに、「とほほ」。日本は病んでいる。

 さらに追い討ちをかけたのが、『ニシ・タマオ』事件。神奈川県横浜市西区がタマちゃんを勝手に区民に認定。名前も自らつけ、西区の文字を一方的につけてしまう横暴振りを発揮。「では、賛成多数でタマちゃんの名前を『ニシ・タマオ』とします」と、西区区議会の会議室でいい大人が挙手をして、西区の区長が採決した絵を想像すると、かなり笑えます。

 まあ私の住んでいる地域のそばでタマちゃんフィーバーが展開されていないから、イマイチ実感することができずにこうして客観的に見ていられるのかもしれないけれど。でも多分私の家のそばの川でタマちゃんが発見されても、休日返上で見に行くことはないだろうな。

 タマちゃん自体を否定するつもりは毛頭ないです。ゴマアザラシは、個人的にはさておき、かわいらしい様相であることは認めるし、タマちゃんに便乗してアイスやら木彫りやらを売っている方々に対して否定するつもりなどまったくなく、逆に商魂たくましいなあと敬意すら抱いております(うそ)。
 しかし、テレビという現在日本で主軸となっているメディアが総出で「タマちゃん、タマちゃん」だと、単なる「日本では見ることのできない、ゴマアザラシが身近な川で発見された」という、それ以上でもそれ以下でもない事実が、とても大きなものとして煽られてしまっているようで、改めてテレビというメディアの力およびその危険性を感じているのであります。

 ためしに検索エンジンで「タマちゃん」を打ち込み検索してみると、134000件ヒット>注2。あちゃー。みんなー。もっと自分ならではの興味があることとか関心があることとかあるんじゃないでしょうか。よっぽど有明のイベントに向けて自らのコス○レに大枚はたいている友人・Kの方が、ベクトルとしては賞賛すべきものであると思うのですが。別に私に賞賛されたくないか。彼も。

 で、こういう浮き足立った人々の片棒を担ぐようでずっとこの話題に触れることをこれまでやめてきましたが、今回『これ!』というネタが思い浮かばなかった(浮かんだけれどここ最近のネタとかぶっているという理由でやむなく却下したものあり)ので、今回冒頭のタイトルにさせてもらいました。たまたまタマちゃん。たまたまです。

 しかし何でしょう。いろんなところに出現するタマちゃん。絶対それぞれ違うゴマアザラシ(かどうかも疑わしい)でしょうね。おそらくいるであろう、タマちゃんブローカー。話題になりそうなポイントを狙って、飼育しているゴマアザラシを放つ。で、その「新生ゴマちゃん」にあやかろうというゴマちゃんグッズ販売をしそうなメーカー・小売店やテレビ、雑誌メディアなどにブローカーはショバ代を請求。あまり儲かりそうにないけれど。メディアは払うか。ネタ不足だし。で、そうしたショバ代の請求がエスカレートして、ブローカーが命を狙われる。『タマちゃん殺人事件』。なんだか本当にありそうで怖いっす。ないか。

■J

2003.4.30.
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注:1最近の愛読書は、彼女の「テレビ消灯時間」。
http://www.bonken.co.jp/
注:2 検索した結果の一部です。