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■過去のESSAY■
・胡散臭さ
(きな臭いと言い換えてもいいかもしれません)
(2003.3.6)

-- 胡散臭さ
(きな臭さと言い換えてもいいかもしれません) --

 

 引っ越しを今週末に控えた私。
 家具等を選別・購入することに追い回されているここ最近でありますが、仕事の合間を縫って秋○原に家電を探しに行っていたある日。
 皆さんもご経験があるでしょう、ある「胡散臭さ」に出会うことになりました。

「よろしくお願いしま〜す」

 と一見(あくまで一見)芸術性の高そうな絵画がプリントされた絵はがきを配っている、人混みにあふれる町中に置いても一目で存在が確認できる派手なルックスのお姉さま(ここで注意して欲しいのが、決して綺麗であるとかではなく、あくまで派手な格好の今時なお姉さまが配っていると言うこと。"お水系""コンパニオン系"と表現して差し支えないと思います)。
 そのお姉ちゃんと遭遇したときの私は、家電散策も一通り終え、事務所への帰路を急いでいたため、彼女らの存在は認識していたけれどほとんど意識もせず通過しようと思ったその時。

「あ、どうぞ〜」

 と足早にその場を通過しようとする私の雰囲気は伝わっているはずなのに、そうしたものを全く無視して土足で上がり込んでくるお姉さま
 当然ながら、受け取る意志も示すことなく通過しようとすると、

「せっかくなんでどうぞ〜」

 何がせっかくなのかさっぱりわからないが、とにかく意地でも渡そうとするお姉さま。2〜3メートル併走しただろうか、諦めて次のターゲットの元へ向かっていったが・・・

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 以前、渋谷の町で一度この手の絵はがきを間違って受け取ったのだが、そうしたときのお姉さま(その時も今回と同類の女性でした)のがっつきぶりと言ったら。

「あ、せっかくなんで(←ここでも言っていた)個展を見に行ってください〜」

 と配っていた場所の目の前にあった、極めてせまっ苦しくその場しのぎの個展に私を強引に引き入れようとする。
 絵はがきを餌に、個展に引き入れ、何をするっつーのか?

 まあこういったパターンにはありがちな、自分のフィールドに引き入れて高額な商品を買い取ることになるという落ちであることはなんとなく想像に難くなかったし、実際私の知人達の話を聞いてもそんな噂を耳にしていました。

 考えてみれば、極めて売り手のエゴを押し出したビジネス。しかもお水系のお姉ちゃんを擁し、世間の男子諸君の欲望に訴えかけ、それを商品への興味とすり替え売り手の有利なフィールドへ引き込む。

「胡散臭い」っすね。こりゃあ。

 しかし、この手の商売は世の中案外多くて、私も特に大学生になってから、こうした勧誘が身の回りに多いことに気がついたのです。

○大学に入学してすぐ毎日のようにかかってきた、「あなたに会員権が当たりました!海外旅行などが最大50%オフになります!でも本日中に登録しないとダメ」という唐突かつ一方的な営業電話。

○都心大手本屋になぜか特設ブースが置かれた、「話を聞いたら今日中に登録しないとダメ」英会話スクール

○就職活動中に、自己分析(今思うとコレも「胡散臭い」に引っかかるキーワードやね〜)をする上であれこれ探しているときに話が巡ってきた「3泊4日の合宿で自分がどんな人間であるかわかる!でも費用10万円。見学することは不可」ツアー。

 胡散臭い・・・

 これらを整理すると、

1.営業の第一歩は、極端なほど男の目を引くお水系の女性もしくはかわいらしいっぽい(あくまで"ぽい")女性のアクションによるもの。

2.商品がちょっと考えれば「ありえね〜」と言うほど世間一般では安い、おいしいものばかり(英会話はのぞきますね)。

3.買うか買わないか、即決でないといけない(考える暇が与えられない)。

と言う特徴が見られるわけですが・・・

 全てが「胡散臭い」になるわけです。「きな臭い」と言っても良いと思います。

 上記1.2.がある時点で、客観的に見れば一般的に言う「おいしい話」になるわけで、そうなると昔から言い尽くされている表現が当てはまりますね。

『おいしい話には気をつけろ』。

 その時点で「胡散臭さ」は否定できない所でありまして。

 で、特に私が強く思うのが、3.について。
 即決を要されるわけですが、これがなければかなりの「胡散臭さ」が消えるのに、なぜかすぐその場で商品の購入の意思を表示しなければならない。この売り手側のエゴこそ、一番の「胡散臭さ」につながっていと、私は思うのですが(でも、この3.が表に出てきている時点では、「胡散臭さ」を察知する客観的にみるセンサー機能がかなり低下している可能性が考えられますけれど・・・)

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 実は先日、ある方からこの手の「胡散臭い」の営業電話がかかってきました。
 いわゆる「会員登録すれば一般より何十%も商品が安く買える!」というもの。マルチビジネスに近いものがあるかも知れません。
 その方のことは、ビジネスの先輩として非常に尊敬していて、大変お世話になっていたので話を聞いていたのですが・・・

 やっぱり上記特徴3.なんですよ。最後は。

「う〜ん・・・明日中には結論を出して欲しいんだよね」

 って今日電話がかかってきてどんな商品があるのかもわからない僕に、明日中に会員登録しろと言うのもかなり乱暴な話。登録料も当然発生するわけで、それも決して安くない。

いやーコレでも妻帯者なんで(←この表現、この時初めて使いました)、そういうお金が発生するのを僕の一存では決定できないし、ましてや1日しかないのは、無理ですよ」

 といろいろ理由をかこつけて断ろうと電話越しに約30分ほど問答を続けていたとき、その方は最後に・・・

「なあ種藤くん、おまえと俺の間柄だろ?なんとか俺を立ててくれよ〜」

 コレは言っちゃあいけない一言。
 僕の中で、何かが崩れ落ちてしまいました。
 今後、この方とどういう付き合い方をしていこうか、結構真剣に考えているところです・・・
 ちなみにこの人、普段は僕のことを「タネ」と呼び捨てにしていました。

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 今世の中に氾濫する「胡散臭さ」。
 正直、こうしたビジネスの是非を問うつもりはありません。
 ただ、上記に整理した特徴の1.の部分。
 これに「情」を持ち出すのだけは反則。
 それだけはやめましょう。買う側にとっても、売る側にとってもよくありません。
 犠牲にする代償が、あまりにも大きすぎる。

 今一番社会で生きていく上で、必要な能力って、実はこの「胡散臭さ」をかぎ分けることかもしれないですね・・・大変な世の中だ。頑張りましょう。みなさん。

・・・でも、家具・家電をいかに安く、いかにいいモノをてにいれるかに奔走している私には、この手の商品を取り扱う「胡散臭さ」が現れたとき、果たして正常に判断ができるか・・・ちょっと不安♪

■J


2003.3.6.
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