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■過去のESSAY■
・東京−埼玉−千葉間大トライアングル鈍行列車移動
(2002.9.12)

-- 東京−埼玉−千葉間
  大トライアングル鈍行列車移動 --
 

>お詫び
毎週水曜日更新と言っていましたが、今回初めて遅れてしまいました。最近忙しくって・・・と言う言い訳はしません。今後は気をつけますので。ご贔屓に。しかし9月だというのに暑いなあ・・・(これも言い訳ではありません)では本題に。



 先日、取材で東岩槻(東武野田線。JR大宮駅からちょっと春日部寄り)まで行ったときのこと。朝9時、同行スタッフと五反田駅で待ち合わせ、JR山手線→JR京浜東北線と乗り継いでいた。で、東武野田線に乗り、ようやく目的地に到着・・・と思っていたその時。

 手帳がない。

 ない。ない。どんなに探してもない。いつも少々持ちすぎの書類の束をかき分けてもない。いつも手帳と見間違えるA6版落書き帳を見ても、残念ながら落書き帳に間違いない。手帳ではない。

 私のようなフリーでやっている人間にとって、全ての仕事を管理している手帳をなくすと言うことは、PCのデータをすべて消去してしまうのに等しい。今日から先、なんの仕事をいつまでにしなければならなく、何日の何時にどこへ行かなければならないのか・・・全てわからない。
 フリーにとって信用はかけがえのないもの。小さなところからこつこつ信用を積み上げて、ようやく仕事になっていくのだ。今月に入ってこうした努力が身を結び始め、仕事の受注が増えて来ていたのに・・・予定をすっぽかしたり、納期を守らなければせっかくの信用もおじゃん(この言い回し、古いねえ)。


ノーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
(心の叫び)


と、そこで同行していたF嬢(タレントの卵)が一言。


「山手線で手帳見ていましたよね。その時網棚に置いたじゃないですか。それでじゃないですかね?


 思い出した!そうだ!あのときだ!
 その日の同行者は上記F嬢とM社T嬢の2名。二人の同じ携帯を使っていたかどうかとか、山手線に乗るなり話が盛り上がっている姿を横目に、手持ちぶさたの私はやることもなかったので、手帳を開き、「ふんふん。明日以降はこういうスケジュールなんだな。頭に入れておこう」など見栄を張り、いかにも忙しい人間を演じていたのであった。その際、確かに手帳を網棚の上に置いた。そして東京駅に到着したとき、カバンだけを手に、急いで下車したのであった・・・。
 あれだ。ちきしょう。やっちまった・・・
 即座にM社T嬢がJR忘れ物センターの電話番号を調べてくれ、すぐさまそこに電話をかけるが、


「ツーーーー・ツーーーー・ツーーーー」


 むなしく響く電話中を知らせる機械音。どうすんべーか(神奈川弁)・・・。
 頭を抱える私に関係なく、東武野田線はもうすぐ目的地の東岩槻駅に到着しようとしていた。

---

 取材先の会社に到着。とりあえず頭を切り換えよう。そう思い仕事に集中。その間何度か別件の電話が鳴り響いたりし、いつになくあわただしい時間を過ごした。
 取材が一段落。次の取材場所へ移動しようとしていた際、留守電が入っているという知らせの着信が。さっそく留守番電話センターへかけてみると、


「天王〜〜〜駅です。種藤 潤さんの手帳をお預かりしています。今日中に天王〜〜〜駅まで取りに来てください。よろしくどうぞ」


 あった!!ちきしょう!!やったぜ!!思わず何年もしていない慣れないガッツポーズを誰も見ていないところでさみしくしてみて、喜びとむなしさをかみしめる。とりあえず一安心。・・・で、一つ気になったのが「天王〜〜〜駅」。駅員が舌足らずだったのか、電話の受話器がわるかったのかわからないが、〜〜〜の部分がわからない。??どこだ?先に出てきたF嬢に尋ねてみると、


天王洲アイル駅じゃないですか?」


 そうだ!天王洲アイルか!!山手線浜松町駅からモノレールで一駅。山手線を利用している人が届けてくれたと考えれば、十分可能性があり得る。五反田に帰る途中に、浜松町→天王洲アイルに寄るのはまあしょうがないか。そう思い、一安心していると次の取材先に到着。よっしゃよっしゃ。人は困難を乗り越えると、それ以前よりもテンションがあがる。私だけだろうか。とにかくそんなテンションであった。

---

 二件目の取材も無事終わり、私は別件の仕事もあったので、スタッフを残して一人大宮駅に向かった。


「天王洲アイルかー。寄るの面倒クセーなー」


 などと言葉とは裏腹にかなりうれしさ満載の心境の中、大宮駅に到着しようとしたその時、着信が。


047-***-****
(携帯画面)


???
047番?なんだろう?電話に出る。


「もしもし、種藤ですが」
『あ、天王〜〜〜駅ですが』


????何でこの番号で天王洲アイル駅からかかってくるのだ?おかしいなあ。


「手帳を預かっていただいているんですよね。ありがとうございます。で、そちらは天王洲アイル駅ですよね?」
『は?うちは天王台駅ですよ


 がびーん!!!(死語)どこだそりゃ(在住の方、すいません)??なんだか嫌な予感が・・・


「あのー、今大宮駅なんですけど、どうやっていけばいいんですかね」
『うーん・・・常磐線で我孫子の一駅先だから、そうやってきてください』
「・・・とりあえずわかりました。何とか行ってみます」
『そうそう。今日中に取りに来てくださいね。明日になると地元の警察に引き渡しちゃうから、面倒くさくなっちゃうからね。よろしくどうぞー』


プ・ップー・ップー。
・・・天王洲アイルじゃないのか・・・どの辺なんだろう?天王台って?(関東神奈川生まれながら、神奈川県南に住んでいたため、東京以北に関しての経験は絶対的に不足していた。結果、我孫子という駅についても聞いたことはあるが具体的な場所はわからないでいた)大宮からだとどのくらい時間がかかるのかな?そんな不安を抱きつつ、大宮駅到着。さっそくJRの路線図を見てみると・・・

 真逆。
 東京を軸にして線対称の先にあるではないか・・・


 で、大宮から最速で天王台に到着する方法を駅員に聞くと、1時間40分かかるとのこと。そこまで快速等の電車はなく、各駅電車のみの移動となるのだ。何より五反田から、方角は違えど、ますます離れてしまうという、当初抱いていた「五反田帰りにちょっと寄る」構想は、見事に粉砕された

 結果私は、大宮から約2時間(途中連絡があり、20分近くホームで野ざらし状態)かけて天王台駅に到着。約30秒の手早い(というか適当な)事務手続きを経て、手帳を手にし、約2時間かけて五反田オフィスに戻ってきた。
 到着時、時計は夜8時を回ろうとしてた。

 その日、私は結果として、五反田→大宮→天王台→五反田という、東京−埼玉−千葉にかけた大トライアングル鈍行ツアー(注1)を約6時間半かけて体感したことになる。しかもそのうち4時間半は、見栄のために電車に忘れた手帳のためだったのである・・・

 天王洲アイル×→天王台○という聞き間違いから来る感情の起伏もあってか、すごく疲れました・・・なんだか思い出したらまた疲れてきた・・・ちょっと横になります。

■J

2002.9.12.
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注1:大トライアングルを具体的に見ていただくには画像をクリックしてください。