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■過去のESSAY■
・茅ヶ崎、
北斗晶独演会
〜養○乃瀧
事件ファイル vol.1〜
(2002.7.17.)

-- 茅ヶ崎、北斗晶独演会
〜養○乃瀧事件ファイル vol.1〜 --

<前回の訂正>
 エッセイアップ後、私の彼女から、前回エッセイ内容に関して、クレームをいただきました。彼女は便意をもよおしたのではなく、尿意をもよおしたということです。この違い、非常に重要であると彼女から厳しくご指摘を受けました。
まああれだけ取り乱していたわけですから、便意と尿意の把握を出来なかったことに関しては、ご勘弁くださいな。
 というわけで、ここからが今回の本題です。


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 酒は飲んでも飲まれるな。

 言い尽くされたフレーズであるが、こればかりは酒を飲んで、しかもかなり後悔した経験がある方でないと、なかなかその真意を理解することは出来ないでしょう。
 私も、今はさすがに落ち着きましたが、学生時代は、多聞に漏れず、かなりこの酒という奴とおつき合いが深かった訳です。そして当然、冒頭の言い尽くされたフレーズの意味を、おそらくその辺の方よりも、重々受け止めている人間であると思います。
 学生時代、ほとんど地元神奈川・茅ヶ崎で過ごした私、酒を飲んで飲まれまくりストーリーのほとんどが、茅ヶ崎の地で繰り広げられたわけです。
 具体例を挙げれば、一冊の本がかけてしまうほどではありますけれど、その中でも特にいまだに私の中で印象深く、心の中に刻まれている、あの飲んで飲まれまくりストーリーを、今回ご紹介しましょう。なぜ私の心の中に深く刻まれているか、それは、飲まれまくり人間がたくさんいても、この体験だけは、私しかしたことがないであろう、非常に貴重なものであるからです。貴重だからってよい思い出ではないのですが・・・

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 JR茅ヶ崎駅前、大手居酒屋チェーン『養○乃瀧』。
 私は5年前のあの日から、この店ののれんをくぐっていません。
 おそらく、店員さんも変わって私のことなど覚えていないでしょう、仮に当時の店員さんがいらっしゃったとしても、おそらく覚えていないでしょうが、私はあの事件以来、あの店ののれんをくぐることは出来ません。
 大学3年生の頃、あれは確か夏の暑いむしむしした夕暮れでした・・・
 いつもの麻雀仲間、高校時代からの悪友3人と、その日は飲みに行こうと言うことになりました。私を含めて4名。女性がいる、合同コンパ的な飲み会も楽しいのですが、私は個人的に、こういった男4人しっぽり飲み会のようなところが結構好きで、その日も特に気兼ねするわけでもなく、とりとめのない話を、冷酒片手に交わしていたのでした。

 しかし、その和やかな空間に、一人の刺客が現れたのです。

 自称『養○之滝』常連の女性。我々のそばのテーブルで、一人でサワーか何かを飲んでいたのですが、突如そのサワーグラスを持って、我々のテーブルに近寄ってきました。

 「ちょっと、ここいいかしら?」

 緊張する空間。4人が4人、「これ、おまえの知り合いか?」という視線を交わしましたが、誰も彼女の存在を知るものはいませんでした・・・と思うのが早いか、彼女は我々の許可などどうでもいい感じで、我々の4人席に割り込んできました。

 当時誰も彼女らしき人物がいなかったので、これが結構ルックスがいい女史であれば、それはそれで盛り上がりそうなものでしたが(でも怖いか)、残念ながら、彼女は盛り上がるほどのルックスは持ち合わせていませんでした。むしろ盛り上がった空気を瞬時に凍らせるほどの破壊力を持った、どちらかというと、まったくトレーニングを積まなかった、覇気のないプロレスラー・北斗晶(注:1)のような感じ。いくら世の中そんなにいい話はないといっても、だからといって神様、彼女を我々の元によこした真意は・・・
 と、4人が4人とも神をも恐れず天に向かって唾を吐かんという勢いの中、すでに彼女は勝手に独演会状態に突入。しかも内容は、『茅ヶ崎と私と風俗』。

「私、ずっと茅ヶ崎に住んでいるの。」
「私、中学の頃、ちょっと乱暴な男の先輩に目を付けられて、
ちょっと悪い道に走っちゃったんだよね。」
「そんで今、私風俗やっているの。プロよ、プロ。
「私って、テクニックすごくあるのよ。試してみる?

 まあ、なかなかこの筋のプロから生のお話を伺うことなどできないので、ライターの端くれとしては聞かずに逃す手はなかったのですが、残念ながら、相手は北斗晶(佐々木健介、ごめんね)。この種の話、する人によっては、我々4人の下半身が『こんにちは!』になってもおかしくないのだが、残念ながら話しているのは、北斗晶(本当、ごめんね。佐々木健介)実際は下半身が『ごめんなさい!』になってしまったのは、私だけでなく、おそらく他の3人もだったであろう・・・
 我々が全く返答しないのも全く気にせず、彼女は1時間以上(推定。感覚が麻痺してよくわかりませんでした)。我々4人は、事務的な会話を除いて(「ねえ、ソース取って」レベル)、ひたすら黙って冷酒を飲み続けていました。
 おそらくこうした行動も含めて、この北斗晶はこのお店の常連だったらしく、店長らしきおじさんが我々の元へやってきて、手慣れた手つきで彼女を元の席へと導いてくれました・・・

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 彼女が立ち去ったあと、つつがなく4人の団らん飲み会は続行、という具合に行けばよかったのですが、北斗晶が残した爪痕は、我々、というか私にとって、想像以上に大きなものでした・・・
 ちょっと長くなったので、この先は次回へ。

■J

2002.7.17.
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注1:あくまでイメージです。