M2のボディ製造開始は1958年。それ以前に製造されたMマウントのズマロン35mmをM2以降のボディに取り付けると、50mmのブライト・フレームが出る。これは、35mmのブライトフレームを持つボディが十分意識されていなかったためと思われます。
M2登場以降のズマロン35mm F3.5はこの点を改良し、35mmのブライト・フレームが出るよう、「爪」に処理が施されているため全く問題ありません。但し、対応機種の製造番号は、ライツ社(現ライカ社)からは明らかにされていません。従ってこのMマウントズマロン35mm F3.5を購入する場合は、M2以降のボディに対応しているかどうか実際に装着した上でブライト・フレームの連動性を確認することを強くお勧めします。
写真のズマロン35mmF3.5はM2以降のボディに付けると50mmのブライト・フレームが出るのですが,愛嬌で一本保存してあります。
緑色の再現性、線描写の繊細さ、焦点が合ったところの立体感の冴え,この3つの点において極上の描写を約束してくれるレンズです。初夏の山岳地帯における雪解け水、芽生えだしたばかりの植物といった、初々しく力強い命(エネルギー)をみずみずしく写し取るには最適のレンズと言えるのではないでしょうか。
さらに空気中に漂う緊張感を加えたい場合は,Lマウントのズマロン35mm/F3.5(No:1062292)の方が優れているかも知れません。ただ,F3.5と開放値が一段暗いという言う理由からか,どういうわけか敬遠され過少に評価されているのが残念(逆にねらい目)なレンズです。
左のズマロンはMLマウントと呼ばれるもので、マウント取付部の小ねじを外すとMマウントが外れ、バルナック型ライカ(Lマウント)に装着できる変わり種レンズです。MLマウントを持つズマロンF2.8は,1958年〜1963年の間製造されています。最初の製造年にあたる1958年に製造されたのは,2本だけという記録になっています。左はそのうちの1本となるわけですので,MLマウントのズマロンとして比較的貴重な資料になるかと思います。
初代スーパーアンギュロンです。対称型レンズに加え,8枚の絞り羽が優しいボケ味をつくります。
回転式ヘリコイドですので,丸型の専用フードIWKOO を使います。
本機は,Mマウント用に造られたもので,取り外しができる通称MLマウントが装着されているものです。5,292本製造されたことになっています。
一方,純正Lマウントのものは1,462本しか製造されておらず,ちょっとした珍品とされています。
ズミクロンの8枚玉と言えば,一般に人気の高いレンズです。先に挙げたズマロンと比べても,1〜2段開放値が明るいだけでなく,状況を忠実に再現する点は優れたレンズであることは間違いないでしょう。しかしウェットな表現が苦手というか,なんでもかんでもかりっとした描写をする傾向があるように思います。ズマロンがネーチャー系とするなら,ズミクロンはアーバン・ライフ系に例えられるでしょうか。
この写真のズミクロン35mm/F2もMLマウントです。ズミクロン35mmは,1958年〜1963年の6年間製造されたことになっています。この期間,MLマウントは577本製造されたことになっています。MLマウントのズミクロンは「探せばある」程度の珍品レンズとして位置付けられているようです。本レンズは1959年製ですが,同年中MLズミクロンは96本製造されたことになっています。
バルナック型ライカは距離計の機構上最短撮影距離が1mとなっている関係上,MLマウントを持つレンズの最短撮影距離は1mとなるべきで,なんと30cmも最短撮影距離の妥協を強いられる点を十分理解しておくべきレンズです。
先にMLズミクロン35mmの製造期間が,1958年〜1963年6年間製造された点に触れました。1963年はズミクロン35mmで,かつMLマウントを持つレンズの製造最終年にあたるわけです。この年MLマウントを持つズミクロン35mmは,69本製造されたという記録があります。
ドイツ製ズミクロン35mm MLマウントの項で,「MLマウントはバルナック型ライカに装着する機構上,最短撮影距離は1m」と言ったばかりです。しかしこのレンズは,最短撮影距離目盛りが0.7mと刻まれています。マウント部が後付けなのか,はたまた距離計リング(ヘリコイド)が後付けなのか・・・。更なる研究を重ねる必要がありそうです。
初代(初期)ズミルックス35mmは1961年から販売が開始されたことになっています。ところがレンズの製造番号一覧によれば,182万番台までは1960年製で両者のデータ間に矛盾が見られます。 おそらくは1960年のフォトキナに合わせ,何本かは製造されていたのだろうと勝手な推測をしています。
本機はM2用として生産されたもので,最短撮影距離が1mとなります (M3用メガネ付きは0.65m)。 他のM型ライカ用レンズのそれが約70cmであるのに比べると,初代M2用ズミルックス35mm/F1.4は少々取り扱いが不利かなと思えます。 先にズミクロンやズマロンを紹介しましたが,1958年〜1963年の5年間はスクリュー・マウントとMマウントが並行して製造された時期です。 このことを考え合わせると,M2用初代ズミルックス35mmの設計はLマウントを前提にしていたのではないかと,こちらも勝手な推測をしていたりします。
写りについては,いろいろなサイトや雑誌などで紹介されているので今更ながらの感があるので割愛しますが,以上2点の推測を含めると持っているのがなかなか楽しくなるレンズではあります。
専用フードとして,2つのラッチで固定する方式の12522 ("1:1.4/35"と表記)を使います。 最近あまり見かけなくなりましたが,金属製のものもちゃんとあります(プラスチック製だけではありません)。 ラッパの上下をフラットにした独特の形をしています。
Summilux 35ミリは,何度かにわたって仕様変更が加えられてきました。
先に挙げた球面タイプと,ここで挙げる非球面タイプに大まかに分類されているようです。さらに非球面タイプには,1,500本強製造されたとされている"ASPHERICAL"とフル・スペリングされている前期タイプのものと,"ASPH."と略記されている現行タイプのものがあります。
本機は,M6TLLチタン仕様の発売に合わせて発売されたもので,バレルは真鍮製で表面はチタン・コーティングが施されています。
そもそもこのレンズはミノルタCLE用に発売されたもので,ライカ(ライツ)用に開発されたものではありません。ミノルタCLEは,40mm,90mmにこの28mmを加えた3本を交換レンズ群として発売されました。
Mロッコール28mmは,精緻な描写をします。線の細さは赤ズマロン(ズマロン28mm/F5.6)に通じ,歪みの少なさと発色傾向については,どことなく3代目以降のエルマリット28mm/F2.8と通じるところがあります。
私の気のせいか,エルマリット28mmに比べると少し冷調の発色をするようです。
いわゆる第3世代のMエルマリート28mmです。非レトロフォーカスの第1世代はなだらかなトーンを見せてくれた銘レンズでしたが,後玉のせり出し量が大きくM5やCLEなど露出計内蔵のボディでは使えなかったため手放してしまいました。
レトロフォーカス設計となるこのレンズは,露出計内蔵か否かを問わずM型(互換)ライカのどのモデルボディにも装着できるのが利点です。写りに関して言うならば,非レトロ・フォーカスの初代エルマリート28mmが豊富なトーン再現性をもつのに比べ,一見メリハリのある描写をしますが階調は若干硬めです。 ヌケが良いのかと言えばそうでもないのですし,Lズマロン35mm(F3.5)のような繊細さも感じ難いです。 ところが 墨絵や木炭画のような深みと柔らかさを好む方には,独特の描写をするお勧めレンズの一本に挙げられるでしょう。 2004年6月末に伊豆大島にカメラ散歩に出掛けた際,4x5のサブとしてM7に付けっぱなしにしていましたが,(新)三原山近辺の風景をとても良い感触でネガにしてくれました。
一方,近代の単焦点レンズではあり得ないほど,周辺部の画質が悪い点は記しておくべきでしょう。
第四世代(現行品/非ASPH)のモデルでは内面反射等による干渉が少なくなるよう設計されているようですので,コントラストの高さは大いに改良されているというのが一般的評価です。「Leitz」と「CANADA」の刻印に少なからずこだわりを持っている私は,敢えてこの第三世代のエルマリット28mmを使っています。
フィルターは E49mm,フードは"12536" (プラ製で "LEICA GMBH GERMANY"と全て大文字表記)を使用します。
3つの焦点距離を選択できる多焦点レンズ。多焦点レンズというのは,ズーム・レンズと異なり,複数与えられた焦点距離のいずれかしか選択できず,中間的な焦点距離の選択はできないレンズのことを指します。
この写真は初期モデルで,焦点距離の選択は50mmを中心に(対象物に向かって)右側にレバーをまわせば28mmに,左側にレバーをまわせば35mmの画角が得られるよう設計されています。28mm-35mm-50mmと焦点距離の選択とレバーの選択が連続しておらず,必ず一度50mmを経由して28mmと35mmの選択を行うよう設計となっているため,とっさに焦点距離を変えたい場合には大変煩わしい作業を伴います。
「ボディとの相性によりブライト・フレームの選択・連動性に問題がある」と報告しているサイトもあるようです。私に限って言えば,ヘキサーRFとの組み合わせでこの症状が確認できますが,M6やM7でこの問題は生じません。レンズ側の画角切り替えレバーに仕込まれたバネの強度が原因と思われますが,現行品のトリエルマーにおいては改良されているようです。
HOME, ライカトップ,ライカアクセサリー 最終更新日:2012年1月8日
ライカ ボディ | バルナック型 | M型 | R型 |
広角系レンズ | L広角 | M広角 | R広角 |
標準系レンズ | L標準1 / 2 | M標準 | R標準 |
望遠系レンズ | L望遠 | M望遠 | R望遠 |