●著作権と著作隣接権 〜その4〜
■著作権/著作隣接権の保護範囲
著作権法では日本国内における法律ですが、著作物が国をまたいで行き交う現状もあり、同法によって保護される範囲対象は以下のように定まっています。
<著作権>
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保護対象範囲 |
備考 |
1.国籍主義 |
日本国民の著作物 |
個人および国内法人(国内に主たる事務所を持つ海外法人含む) |
2.発生地主義 |
最初に国内で発行された著作物 |
最初に海外で発行されても、30日以内に国内で発行されていれば対象 |
3.条約上の保護義務 |
右の条約で保護される著作物 |
ベルヌ条約、万国著作権条約、TRIPS協定 |
<著作隣接権>
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保護対象範囲 |
備考 |
実演 |
1.国内で行われる実演 |
外国での実演は、2〜7に該当する場合のみ保護対象 |
2.日本国民によるか又は日本で最初に固定されたレコードの実演 |
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3.日本国民である放送事業者又は国内の放送設備で送信される実演 |
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4.日本国民である有線放送事業者又は国内の有線放送設備で送信される実演 |
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5.『実演家保護条約』に基づく実演等 |
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6.『実演・レコード条約』に基づく実演等 |
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7.世界貿易機関(WTO)の加盟国において行われる実演等 |
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レコード |
1.日本国民がレコード製作者のレコード |
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2.日本で最初に固定されたレコード |
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3.『実演家保護条約』に基づくレコード |
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4.『実演・レコード条約』に基づくレコード |
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5.世界貿易機関(WTO)の加盟国において固定されるレコード等 |
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6.『レコード保護条約』によりわが国が保護の義務を負うレコード |
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放送 |
1.日本国民である放送事業者の放送 |
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2.国内の放送設備から行われる放送 |
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3.『実演・レコード条約』に基づく放送 |
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4.世界貿易機関(WTO)の加盟国から又は同国の放送設備から行われる放送 |
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有線放送 |
1.日本国民である有線放送事業者の有線放送 |
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2.国内の有線放送設備から行われる有線放送 |
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■著作権/著作隣接権に関する国際条約
上記「著作権/著作隣接権の保護範囲」で言及していますが、わが国が加盟している著作権に関する条約は以下のとおりです。
(日本が加盟する著作権等に関する条約)
条約名 |
条約の成立年 |
日本の加盟年 |
特色 |
ベルヌ条約 |
1886年 |
1899年 |
・内国民待遇・無方式主義・遡及効・属地主義・最低保護期間=50年 |
万国著作権条約 |
1952年 |
1956年 |
・無方式主義の国と方式主義の国との調整・不遡及効 |
実演家等保護条約 |
1961年 |
1989年 |
・著作隣接権者の内国民待遇 |
レコード保護条約 |
1971年 |
1978年 |
・無断製作物からのレコード製作者の保護 |
TRIPS協定 |
1944年 |
1994年 |
・ベルヌ条約が規定する保護内容の遵守(著作者人格権を除く)・コンピュータプログラムとデータベースの著作物の保護・コンピュータプロプラム、映画、レコードの貸与に関する権利の付与 |
WIPO著作権条約 |
1996年 |
2000年 |
・デジタル化、ネットワーク化に対応するためのベルヌ条約の強化 |
WIPO実演・レコード条約 |
1996年 |
2002年 |
・実演家人格権の保護・レコードにかかる実演家、レコード製作者の経済的権利の保護 |
※TRIPS=WTO協定の付属書の一つ(Trade Related Aspects of Intellectual Property
Rights)、WIPO=世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization)
■copyright(マルc)マークについて
ホームページのディスクレーマー箇所や書物の裏面などに「Copyright (c) 2005
○○○ . All Rights Reserved」などの表記がよくされています(変換機能の都合、”カッコc”となっていますが、通常は”マルc”)。
このマークは、以前、万国著作権条約において「方式主義(※)」を採択していた国に対して、この表示をすることで登録をしていることとみなされ、著作物が保護される効果を持っていたものです。ですから、国内において、マルcマークを入れていなくても著作権が危うくなる、ということではありません。
長い間方式主義を取っていたアメリカに対する抗弁措置の意味合いが強いマークですが、アメリカが1989年にベルヌ条約に加盟したため、その重要度は低下しているといえます。
ただし、現在でも「著作者の許可無く複製・改変等してはならない」という警告として一般的に使用されています。なお、正式な表記ルールは、@マルcA最初の発行年B著作権者名、だそうです。
※方式主義・・・無方式主義を採択するわが国の著作権法が「著作物の創作と同時に著作権が発生する」と規定しているのに対して、著作権が保護される要件として、登録や著作権表示などの方式が必要、とする規定。現在は中南米など一部の国のみこのルールを採用している
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