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●金融商品取引法(投資サービス法) 〜その4〜

■特定投資家と一般投資家 


 投資に対する知識が豊富な金融機関などの特定投資家には、過剰な行政規制は適合性の原則の下で保護が欠けている、ということにはならず、むしろ適切ではないと考えられます。一方、個人を中心とする一般投資家には、適正な投資家保護を確保する観点から、ある程度の規制は必要であると言えます。

 このため、金融商品取引法では、投資を熟知した投資家と、そうでない投資家とでは利用者保護と規制を区分して考えるべきである、という前提の下、投資家を「特定投資家(=プロ)」と「一般投資家(=アマ)」に区分しています
  • 特定投資家・・・適格機関投資家、国、日本銀行、投資家保護基金その他の内閣府令(2006/6/9時点では未定)で定める法人
  • 一般投資家・・・特定投資家以外の者

 なお、特定投資家(プロ)と一般投資家(アマ)の区分はありますが、すべての投資家が必ずしもこの2つに明確に分かれる、というものではなく、いずれにも明確に区分出来ない”中間層”がある、と思われます。そこで、「特定投資家」と「一般投資家」の2分類を出発点としつつ、”中間層”についてはこの2分類を移行できる、という考えがとられています。

<特定投資家と一般投資家の区分>

  1. 一般投資家に移行できない「特定投資家」
証取法の適格機関投資家を基礎にした概念
  • 過去に同一種類の金融商品取引契約を締結したことがある者
  1. 選択により一般投資家に移行できる「特定投資家」
公開会社や一定規模以上の法人、地方公共団体や政府系機関(未定)
  • 過去に同一種類の金融商品取引契約を締結したことがなく、かつ、その種類の金融商品取引契約に関して自己を一般投資家として取り扱うように申し出た者
  1. 選択により特定投資家に移行できる「一般投資家」
2.に該当しない法人、一定要件を満たす個人。
以下の者が金融商品取引契約の締結に先立ち、申し出た場合
  • 法人(第34条(3))
  • 以下のいずれかに該当する個人(第34条(4))
    • 匿名組合契約を締結した営業者(及び類する)である個人
    • 見識、経験及び財産の状況から見て特定投資家に該当すると内閣府令で定める場合(2006/7/24追記:同日付け日経記事では3〜5億円の金融資産を持つ個人投資家、で調整の方向とのこと
  1. 特定投資家に移行できない「一般投資家」
1〜3.に該当しない個人
  • 通常の個人投資家

■特定投資家の場合に適用除外とする行為規制

 特定投資家として取り扱われる顧客との間では、以下のような一定の規制が適応除外となります。
  1. 金融商品取引契約の締結の勧誘の相手方又は金融商品取引契約の締結の相手方が特定投資家である場合
    • 広告等に関する規制(第37条)
    • 取引態様の事前明示義務(第37条(2))
    • 契約締結前の書面交付義務(第37条(3))
    • 契約締結時の書面交付義務(第37条(4))
    • クーリングオフ(第37条(6))
    • 不招請勧誘の禁止(第38条) 等
  2. 投資顧問契約の締結の相手方が特定投資家である場合
    • 金銭又は有価証券の預託の受け入れ等の禁止(第41条(5))
    • 金銭又は有価証券の貸付等の禁止(第41条(5))
  3. 投資一任契約の締結の相手方が特定投資家である場合
    • 金銭又は有加証券の預託の受け入れ等の禁止(第42条(5))
    • 金銭又は有価証券の貸付等の禁止(第42条(6))
    • 運用報告書の交付義務(第42条(7))



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