元の発言 [ Re: 倭人伝の誤字率 ] お名前 [ やまし ] 日付 [ 4月18日(木)07時31分06秒 ]
>>「分がある」のはまあいいですが、99:1というほどに確実に判断できる問題とは思えません
>>「邪馬壹」の意味が分からないということだったら、地名の語源がはっきりしない例なんていくらでもあります。
#地名の語源がはっきりしない例がいくらでもあるといっても、そういう例は明らかに少数例です。地名のせいぜい数%なのでは?
古田氏の理論は、一つ一つは絶対にありえないとまでは言えない(完全には否定できない)仮定のいくつかの積み重ねで成り立ってます。一つ一つは、30%とか20%とかの確率でありそうな話でも、そうゆうのがいくつも重なるとあっという間に1%以下(例えば、30%×30%×30%×30%なら0.81%)になっちゃう。古田氏のは「風が吹けば桶屋が儲かる」と同様な理論なんです。
>>それから、邪馬台国が国々を統一したときに、中国語ふうの国名を付けた可能性なども考えます。
#「邪馬壹」のどこが中国風なんですか? 「秦王國」ならまだわかりますが。
>>う〜ん、では10回くらいですか?「臣松之見諸書本」はいくつか見比べているということで、10冊の写本があったら10回というわけではありませんよね。
#そうですね。その場合なら期待値は3〜4回(エクセルの関数で表記すると=log(10,2))というところでしょうか。
ただ、一九四二年に新疆省[善β]善県から東晋時代と考えられる写本、一九六五年一月に新疆ウイグル自治区吐魯番から西晋時代と考えられる写本が見つかっていることを考えますと、裴松之の時代に、もっとたくさんの写本があったような気はします。
>>白髪三千丈式の誇張の部分はあると認めますが、国名、人名、地理などの記述において「まったくの嘘」があるかどうかということです。
#別に「まったくの嘘」があったと言ってるのではなくて、「誤解ぐらいはあった」のだろうと言っているのですが。
>>これは、後世の歴史家が勝手に文章を書き換えているのを批判している部分で、三国志自体に対する批判ではありません。
#ですね。この部分は三国志のみを批判している部分ではありません。陳寿を含めた広範な歴史家への批判です。ここでのメインターゲットは、孫盛ですけれど。
>>私も中国史書の文字を他に異字があるだけで「誤り」として勝手に校訂しているとき、同じ感想をもちます。
#まともな研究者の方の場合、異字があるだけでなくて、ちゃんと他の理由があって仰ることが多いようです。
ところで、質問なんですが、和名抄に温泉郡の訓として「湯」とあるのに、これを『「誤り」として勝手に校訂』しても、この場合は和名抄が日本の本だからOKということなんですか。
>>三国志自体がいい加減だから、倭人伝もいい加減だと主張されているならば、三国志の中の信頼できない箇所をたくさん挙げるべきです。魏使にしても陳寿ほか誰かにしても、そのような勝手な誤解をして三国志に記載した例があるのでしょうか?
#少し長いですが、裴松之の上表文の一部を引用しましょう。以下は、ちくま学芸文庫「正史三国志8(小南一郎訳)」から。
『寿の書物は、叙述に観るべきものがあり、記事はおおむね正確であります。まことに遊覧するにふさわしい庭園、現代のすぐれた史書でございます。臣は御旨をかしこみ詳細に考究いたし、周到さを目的としました。さかのぼって旧聞を捜し求め、あまねく逸聞を拾い集めました。考えてみますに、三国は年数的には長くありませんが、事件は漢代と晋代にまでつながっており、最初から結末まで関連することを含めると、百年にわたります。記録は錯雑としており、どうしても矛盾多きを免れません。寿が記載しなかった事柄のうち、記録に残したほうが妥当なものは、すべて取り入れてその欠漏を補いました。同一の事件を記しながら寿の文と乖離がある場合、同じ事柄と思われる記事が別の場所に出てきて、どちらが正しいか判断できない場合がありますが、いずれも注内に抄録して異聞に備えました。もし誤謬が歴然としていたり、記述が論理に合わなかったりする場合には、まちがいを示し訂正してその虚妄を懲戒しました。そのときどきの事件の当否と寿の小さな過失については、いささかの愚見を示し論弁いたしました。』
裴松之は、このように三国志を高く評価しています(自身が注釈をつけた文ですから、社交辞令的なところもあるとは思いますが)。けれども、同時にまちがいもあることを指摘しています。
裴松之の注記した以外にも、三国志の中におかしな記事はありますので、やましさんご自身で三国志を通読されますようお勧めします。
>>もちろんそうです。そして、途中の書写によって全体の3割も間違っていたならば、次清音字が混じっても不思議はないと思います。
#ところが、そう簡単に言えない話なんです。宋史の日本の國名の中の誤字、「通」「彼」「徂」「麼」「小」「竹」「河」の中で次清音字は「通」だけです。60以上の国名の中で1個しかないのですから、三国志の30国の中で0個であっても、別段おかしいわけではありません。
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