●著作権等管理事業の経緯 〜その1〜
著作権等管理事業は、2001年10月から、市場化の流れを受けて実施されています。現在、著作権等管理事業者は法人であれば届出が可能ですが、著作権等管理事業法制定までは、著作権の管理事業を行えるのは仲介業者として文化庁に認定された一部の公的な機関にしか認められていませんでした。
著作権の管理について、これまでの歴史的な経緯を簡単にまとめます。
■仲介業法制定以前
- プラーゲ旋風;ヨーロッパ著作権団体の代理人であるドイツ人ウィルヘルム・プラーゲ博士が外国の楽曲の使用(放送、演奏、出版など)についての使用料(当時の日本の国情を無視した莫大な額)を請求し、外国の楽曲利用が一時期できなかった、という一連の騒動を言う(プラーゲ氏の日本滞在期間は1931〜1941)
- これをきっかけに、著作権の仲介業務を国が許可した機関にのみ認めることとなった
■仲介業務法(著作権に関する仲介業務に関する法律)の制定 <1939年>
- 著作権管理事業は文化庁長官の許可を受けた機関が一手に管理(他の事業者の参入は不可)
- 対象となる著作権は小説・脚本・音楽の3分野
(仲介業務法廃止時の取扱い対象著作権および仲介業者)
- 小説 (社)日本文芸著作権保護同盟
- 脚本(放送用) (協)日本脚本家連盟
- 脚本(劇場用映画) (協)日本シナリオ作家協会
- 楽曲/楽曲を伴う場合における歌詞 (社)日本音楽著作権協会(JASRAQ)
■著作権等管理事業法の制定 <2001年10月施行>
- 規制緩和を背景に著作者等の意向(市場化による委託手数料低減などを期待)を受け、著作権仲介・管理業務への新規参入を認めることとした
- (新規参入を容易化するため)業務実施を許可制から登録制に改められた
- 使用料を認可制から届出制に改められた
- 適正な使用料を設定するための協議・裁定制度を整備するなど適正な業務運営を確保するための措置を整備
- 利用実態の変化に対応し、適用対象範囲を小説,脚本,音楽の3分野の著作物から著作物一般,更には実演,レコード,放送及び有線放送に拡大した
■ JASRAQの約款改定 <2002年4月施行>
法的な流れではありませんが、著作権等管理事業法の制定を受け、複数の(民間の)事業者が著作権等の管理事業を行うことが出来るようになったことで、それまで音楽の著作権管理を一手に担っていた(社)日本音楽著作者協会(JASRAQ)の約款が変更されています。
- 著作権等管理事業法の制定・施行を受け、著作権者の意向のもと、新規管理事業者の参入を容易にするために信託約款の内容を変更
- 旧約款:すべての著作権をJASRAQに委託する
- 新約款:JASRAQに委託する範囲(演奏権/録音権/貸与権/出版権の4支分権に基づく11の業務)をあらかじめ選択できる
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