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●著作権の管理について

 著作権などの権利処理では、著作権者/著作隣接権者などとコンテンツの利用者の間で、様々な契約が結ばれることになります(この契約の締結状況が不十分な場合もあり)。

 利用者が個々の権利者に対してコンテンツの利用受諾などの対処をするのは効率的ではないことから(とはいえ権利者の個別許諾となっている場合もあり)、著作権等管理事業法に基づいて登録された『著作権等管理事業者』が著作権を集中的に管理し、利用者に対してコンテンツの利用許諾や利用料の徴収を行い、権利者に分配を行う、といった制度が整えられています。

■著作権等管理事業者の定義: 著作権者(著作隣接権者)の代理として著作物の使用許諾を与え、使用料を徴収し、著作権者に分配する業務を行う事業者。

■著作権管理事業者の検索

http://www.bunka.go.jp/ejigyou/script/ipkenselect.asp

■著作権等管理事業の諸問題

 コンテンツの権利者にとっては利用料徴収を代行してもらえ、利用者にとっては煩雑な手間を回避できることになる著作権等管理事業(著作権等管理事業者)ですが、現実面では色々問題が残っているようです。

  • コンテンツの利用料率をめぐって権利者/利用者と著作権等管理事業者との間で合意に至らないケースがある
  • コンテンツの利用形態により一律同じ料率とならず、事業者によっては、個別で料率が決まるようなケースがある(一任型/非一任型の問題)
  • 管理事業者の中には管理するコンテンツの著作権につき、どの支分権(録音権や出版権など)を管理しているのか不明確で、利用の際トラブルになるケースがある
  • 管理事業者の中には登録を受けてはいるが実質休眠中のものもある

 そして、これは一番大きな課題ですが、

  • 著作権等管理事業法により管理事業者が複数化したことにより、コンテンツの著作権の「一元管理」「統一データベース化」のような、コンテンツ利用における本質的なニーズを満たしづらくなっている【著作権等管理事業制度に起因するコンテンツ利用の混乱の問題】

 といった問題が残されています。

■(参考)文化庁の文化審議会-著作権分科会の契約・流通小委員会での問題整理

 現在、著作権等管理事業について、文化庁などでは以下のような問題整理をしています。(「管理事業及び権利処理に関する研究会」まとめ資料よりとるじいやが抜粋)

★1.非一任型と一任型混在の問題

・一任型とは?・・・管理事業者がコンテンツ一律の手数料率を提供(使用形態によって料率をテーブル化)
・非一任型とは?・・・管理事業者がコンテンツごとに個別の手数料率を提供(権利者との個別調整)

 現在、コンテンツ(著作物)の種類により権利処理の取り扱われ方は様々。
(例)
 ・音楽=大量に使用される=集中管理・包括処理が出来ないと管理が困難
     ⇒JASRAQなどによる管理が必須
 ・脚本・小説=使用頻度が低い=個別の権利交渉が可能
     ⇒管理事業者が個別に交渉(脚本)
      (小説の場合は管理事業者ではなく出版社が作家のエージェントになる慣習あり)

これに対し、以下のような議論があったようです。

  • 非一任型には業界統一的な規制がかけづらい(この結果、ある著作物の利用に極端に高い料金が発生するようなケースがある)
  • 同一管理事業者内で一任型と非一任型が混在するケースが発生し、混乱を招いている
  • 非一任型で力を持つ事業者が出ると、管理事業者が不利な立場になり、集中管理が進まないおそれがある

★2.包括処理における問題点

  • 音楽分野でも複数の管理事業者(団体)が出来たため、包括処理する際、結果として今までより高い使用料になるケースが発生
  • 管理事業者が複数あることで利用者側の手間が増加している

★3.問題のある管理事業者

  • 管理している著作物等を明示していない管理事業者がある(本来は管理事業者ごとに管理している著作物が明確にわかる透明性・利便性をもった一元化されたデータベースが必要では?⇒とるじいやの私見)
  • 手数料交渉などに利用者側の手間がかかる
  • 登録後休眠している事業者

★4.運用上の問題点

  • 管理事業者から許諾をもらって使用していた著作物等について、管理事業者に委託した者が正当な権利者でないことが判明(!。ジツは結構ある話らしい)した場合の処理

★5.規制緩和と市場性の問題

  • 規制緩和と市場化(による競争原理=手数料率低下などの効果)を目論んでスタートした著作権等管理事業制度だが、そもそも、著作物等は代替性が低く、一般の市場原理に任せるのには無理がある【制度の根源的問題】

 やはり、この分科会でも、例えば同一分野で複数管理事業者がいる場合、「包括管理(処理)する仕組みがないと、折角、市場化によって複数の事業者が出来たものの、逆にコンテンツ利用促進を阻む要因となってしまう」という懸念を表明する方々が多かったようです。



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