1日目 雫石〜田沢湖
with 学生最後の夏記念旅行
inマウンテンバイクのススメ


1999年8月6日〜9日。学生最後の夏休み。友達と3人で車にMTBを乗せ岩手県雫石へ行って来ました。 旅行期間の半分以上はMTB走行でした。そのときの旅行の顛末と走行記です。
 時間は全部かなりアバウトです。

走行記

8月6日
 旅行1日目。
高速をひたすら走って、岩手県雫石町にある友達の会社の研修所についたのが8時頃。ここで2泊する予定だ。雫石駅の近くに御所湖というダム湖があり、そのすぐそばにある。なかなか良いロケーションだ。

8時30分
 準備を済ませ、研修所を出発する。荷物は最小限。サドルバックとウエストポーチだけだ。ボトルに水を満杯にしてゲージに付けておく。天気は良好。気温は最適。ちょっと眠いけど、走れば眠気も吹っ飛ぶだろう。3人前後に並んで走り出した。
 今日の目的地は田沢湖。秋田街道(国道46号)を通り、途中で国道341号に入って少し行くと田沢湖だ。だいたい40キロくらい。ただ、中間のトンネルがちょうど峠となっていてそこまでは登りが延々と続走り初めて少しした所。でも、もうなにもないですね。この辺はまだまだ余裕でした。く。それでも、たいしたこと無いだろうとタカをくくっていたのが間違いだったらしい。
  研修所を出て、少し行くと雫石の駅前を通る。スキー場で雫石というのはよく聞く名前だけど、実際に来てみると、ホントに田舎だと思う。のんびりしていて気分がいい。駅前の商店街を抜けると国道46号に出て、穏やかな登りになる。この辺はまだまだ気分良く快適に走っていた。俺は久しぶりの旅行と言うことと、都会から離れて自然の中を走れると思うと、ホントにうれしかった。それにしても、いやと言うほど登りが続く。いつも走っている東京や横浜では少し登りがあれば必ず下りがある(当たり前だね)、それになれていたのでこれほど登りが続くのは初めてだった。しばらくすると休憩所のような物があったのでそこでジュースを買い、飲みながら少し休んだ。だいぶ疲れているけど、まだまだ余裕。こういうときのためのギアなのだ。

9時00分
初めの休憩所。倒れているのが俺の自転車。ちなみに俺は写っていません。 休憩所を出発。道の他には何もない。見えるのは森と林と川と空、そんな道をひたすら登る。さすがにみんなきつそうだ。そのうち一人がちょっと休憩と、止まってしまった。その場で少し休み、出発。しかしまた少し行くと、休憩。友達はとてもきつそうだ。やはり、徹夜で盛岡まで来て早朝から走るというのはきつかったのかな? 取りあえず、彼の自転車は乗りずらそうだったので俺の自転車と交換した。走り出すと確かに乗りにくい。かなり疲れる。それでも悔しかったので意地と根性で乗り続けたのだけど、俺もしばらくしてダウンしてしまった。しょうがないので、もう一人。一番余裕そうだった友人とまた自転車を交換した。これでちょうど良くなったみたい。それでも登りはまだまだ続く。ひたすらこぐ!こぐ! この辺はあまり景色を覚えていない。まあ、どうせ木と空と川しか見えないけど。
 こんなでいいのか? と思う読者諸君。いいのだ。部活を始め運動に目覚めた俺としては一生懸命目標に向かって動くというのはそれだけで楽しいのである。(多少、見栄あり)
 そんな状態がどれくらい続いたかな? 30分以上はあったと思う。


10時20分
 トンネルが見てきた。表示には2キロとある。なかなか長い。工事をしていて片側通行だったので、警備の人に聞いたら、走っていっていいよ、と言われた。初め方言がすごくて何言ってるんだかわからなかった。そうかそうか、ここは岩手なんだよな。と改めて思う。
 このころはもう坂を上るのもだいぶ慣れてきた。つらいはつらいけど、何処までも登っていけるぜって感じ。たぶん、力の加減とか、どのギアを使うかとか、いわゆるペダリングがうまくなっているんだと思う。それでもまだ登りだったのでそろそろ下りにならないかな? とも思っていたけどね。
 トンネルに入っても登り。片側通行なので早く通過しようと思い、無理して速く走った。そうしたらトンネルの中間点くらいかな?登りが無くなり平坦になり、すぐ、下りになった。これはついに下りなのかな。どうせすぐ登りになるだろうと思っても、下りは終わらない。トンネルを抜けても下りが続く。これはやはり、峠を越えたのだ。これからは下りが続くに違いないと思う。こりゃ楽だ。こがなくてもスピードが出る。というか、出続ける。止まらない。怖いくらいだ。道もこのあたりは歩道もなく、路側帯も無く、その上やたらとダンプカーやらトラックやら、RVやらが通り、かなり怖かった。特にトンネルが結構多くて、その中は狭いので車が通り過ぎるときはかなり緊張した。ちょっとでもハンドルが右に切れたら巻き込まれて死んでしまうのだ。そんな下りが延々と続く。あとでサイクルメーターを付けた友達に聞くと、7キロも下りっぱなしだったらしい。


10時40分川で疲れを癒す友人2人。かなりバテバテです。
 自転車がうなりをあげて壊れそうなほど下ったあと、道も広くなり、車も途絶え、景色も開けてきた。先に交差点があり、ここを右に曲がると田沢湖に行くらしい。ずーっと下りのノンストップでかなり埃っぽかったのでここでうがいをして水を飲んだ。長い下りで体力もだいぶ回復したみたい。これほどの長い下りは初めてで、怖かったけどとても気持ちよかった。爽快って感じ。これで景色が見れた川の中央より、下流方向を望む。うーん、いい景色じゃありませんか。ら良かったのだけど、車が多くてそれどころではなかった。
 右に曲がってからは上り下りはそれほど無くてゆったり走ることが出来た。左には川が見える。いい感じだ。適当なところで川に降りてみようと言うことになった。降りてみるとそこそこ大きな川だ。幅は30メーターはありそうだ。水が冷たい。靴を脱いで川に入る。火照った足が冷やされて気持ちいい。浅いところを歩き回った。アメンボやメダカがいる。しばらく、写真を撮ったり川の中を歩き回ったりしてボーっとしていた。こういう無意味な時間というのは、無駄なようで貴重な物だよね。


11時30分
 休みすぎるくらい休んだので、そろそろ出発。もうすぐ田沢湖半という看板があった、もう少しだ。このまま走り続けても良かったのだけど、休み癖がついたのか、コンビニを見つけたのでまたまた休憩。ジュースをたらふく飲んで、アイスを食べて、トイレに行って...。今考えると、ホントに無駄な休憩だったかも。コンビニを出たら、あっという間に田沢湖に着いてしまった。

田沢湖です。手前は湖水浴場。写真ではよくわからないですけど、ホントに青いんですよ。
12時00分
 やはり、目的地に着いた時というのはホッとする。目の前に湖が広がって見えたときはホントにやったと思った。ちょうど湖の観光ポイントらしく、土産物屋や、食堂、湖水浴場?などがある。海岸、もとい、湖岸を見下ろす休憩用のベンチで休憩がてら今後の予定を考えた。時間はだいたい昼だけど、さて何処で飯にするか? それとも先に湖を一周してしまい、その中で飯所を探そうかと、結局、先に湖を一周することに決定。

12時15分
 田沢湖一周に出発!! ガイドブックによれば、一周約20キロだ。ちょうど湖に沿って道があるので一周するのにちょうど良い。道はそれほど広くはないけど、車もそんなに通らないし、左手には湖が見えて所々林の中を通ったりする、アップダウンもそれほど無く、サイクリングには超最適だ。とても気分がいい。途中、貸し自転車で走っている人たちを結構見たので、やはり格好のサイクリングコースなのだろう。
 しばらく行くと大きな神社があったので止まってみた。神社より湖が目に入る。すごいきれいな色をしている。基本的に青なのだけど、何かこう、すごい青なのだ。透き通って、空よりも濃く、海よりは明るい感じ。ガイドブックの言葉を借りれば、「恐ろしいほどの青」。 しばらく、湖面に見入ってしまった。 神社はなんか怪しげな音楽が流れていて、大したこともなさそうなので、水をもらっただけでお参りは無し。そして出発。
 快適な道が続く。実に気持ちよい。やがて、ほぼ対岸についたあたりはいかにも別荘てな感じの家が建っている。こんな所に別荘を持って、夏は避暑、冬はスキー。最高だろうなぁ。さらにゆくとちょっとした観光地、ヨットが浮いていて、キャンプ場があり、れすとハウスが建っている所があった、ちょっと休憩。すると自転車にキャンプ用品や、荷物一式を満載している人がいる。キャンプツーリングをしているのだ。俺もああいう事をしてみたいが、それにはまだまだ未熟である。
 そこの駐車場からサイクリング道が出ていたのでそこを通ることにした、さっきの道よりさらに湖よりを走る。道は狭く、でこぼこでそれほど走りやすいとは言えないけど、ホントに自然の中を走っているようで楽しい。ただ、とてもトンボが多く、確実にひき殺しながら走っていたと思うと、ちょっと気持ち悪い。やがて、さっきの道に戻り、さらに走ると湖に着いた場所に戻ってきた。これで一周完了だ。とても楽しかった。この湖一周は他の友達は忘れ、自分一人で走っているような気分だった。


13時30分
 約1時間で一周してきたあと、走っていて見つけて置いた飯屋にはいる。ホテルの一階だ。山菜そばセットを頼む。テーブルの真ん中が囲炉裏のようになっていていい感じだ。イヤというほど待たされたあと食った山菜そばセットは、予想外に美味しかった。決して待たされたからうまいと感じたのではなく、正真正銘うまかった。
 さてこれからの予定を決めなければ。時間的に、乳頭温泉はもう行けない。温泉は今日はあきらめて明日行こう。それでは普通に帰るか? いや、行きに通った道は面白味に欠ける。それ以上に怖い。またトラックのそばをすり抜けながら埃っぽいトンネルを走るのはみんなイヤだった。そこで地図をよく見ると、通ってきた46号の北に途中まで山を登る道があり。さらにその山の向こう側からも途中から道がついている。両方を結ぶ道は見えないが、車は通れなくとも、頂上へ登る山道があるはずだ。そこを自転車を担いで登ればトンネルは通らないですむ。実際、昼飯を食ったホテルのフロントで聞くと、登山道があるのでたぶんふたつの道はつながっているという。自転車を担ぐのは大変だけど、なんとかがんばれるだろうと思い、これに決定!! 今考えると、無謀なのは一目瞭然なのに...


15時00分
 田沢湖をあとにする。帰りは行きよりも楽しさは少ないけど、山道を通ると思うとなかなかわくわくする。途中まではさっきの道を逆戻りし、山道への分岐点を探す。一回見つけ損ねて行きすぎてしまった。なんとか山道への分岐を見つけいよいよ山登り区間に入る。舗装されているが、山登りだけあってとてもきつい坂だ。ギヤをかなり高く入れても疲れた体にはつらい。どうしても一人がおくれてしまう。俺は中間だ。途中看板が出ていて、道は正しいのがわかった。ただし、頂上までこの道があと2キロ。さらに山道が4キロもある。この時点でかなり無謀だと思ったけど、まだまだみんなはやる気だし、俺も何とかなるかなと思ったので先に進むことにする。時間はもう4時頃になっている。
 相変わらず一人が先に行き、俺が頑張って後を追い、一人が後れる、という隊形だ。空も夕闇が迫ってきていよいよ不安になってきた。どんなに頑張ってもたいしてスピードは出ない。その上大量に虻が出てきた。とても払いきれない。しかも、両腕、両足、丸出しだからかなわない。時間的にもこれから自転車を担いで山に登るのは危険だと思い始めた。そうしているとちょうど先に行っていた一人が戻ってきた。やはり虻が大量にいてかなわないという。あとから追いついた一人はもうやけっぱちでこのまま行こうという。宿には5時にチェックインしなければならない。引き返すと確実に間に合わないだろう。さて、どうするか?
 こんなところで事故にあったり、遭難したりしてせっかくの旅行を台無しにしたくはない。へたをすれば命に関わる。大げさかもしれないが、山をなめてはいけない。心配性で安全主義の俺はそう思った。みんなも同じ様な考えらしい。しょうがないがもと見た道に戻り、朝来たトンネルを通って帰ることにする。みんな暗い顔をしている。無理もないか。


16時30分
 行きに通った道の下りが終わったあたりだ。これからは登りになり、トンネルがいくつも続く。道は狭く、車が怖い。登り初めてトンネルを1つ過ぎたところで一人がもう足が限界だと言う。一人は危険だと言う。俺もかなり限界に近かったし、車も怖かった。時間はかかるけど、道はもうわかっているので迷うことはない。みんなの意見を総合して一番適切な方法はと考えて、歩くしかないと結論を出した。歩こうと言うと、みんな黙っているので自転車を押して歩き出した。延々と押す。朝は7キロ下りっぱなしだったところを押して歩く。みんな何も言わず黙々と歩いた。誰も何も言わないので、自転車に乗らず歩き続ければいいと思っていた。この険悪な空気。思い出すのもいやだ。トンネルをいくつも過ぎ、やっと最後のトンネルまできた。このトンネルの中で登りは終わり、下りになる。ここでやっと一人が「まだ歩くのかよ」。と言ったので、俺としても「走るよ」と言うしかない。もうすぐ登りが終わるのもわかっていたので気力もでる。なんか久しぶりに自転車に乗る気がした。トンネルの中は相変わらず埃っぽかったけど、もう夢中で走った。今出せる最大速度で走った。歩いてきて、たまったフラストレーションを吐き出すようにして走った。あっという間に登りが終わり、トンネルを出た。

17時30分
 あとは下り。下りの早かったこと速かったこと。もう、朝の苦労はなんだったんだというくらいはやかった。朝、止まって自転車を乗り換えたあたりをあっという間に通り過ぎる。今日2度目の下り三昧だ。今、地図を見ると、10キロはあるようだ。ほぼ下りきったところで、ジュースを買い小休止。ここから道をそれて、国道から普通の道に入る。おなじ道はつまらないからね。
 しかし、最後のこの道の長かったこと。時間、距離的には大したこと無いんだけど、同じ様な景色が続くし、小さいけどきついアップダウンもかなりあるし、何よりみんなどうしようもなく疲れていたから、こんなに長く感じたんだろう。


18時20分
 宿に到着。みんなへとへとだ。5時のチェックインには完全に間に合わなかった。会社の人が来てくれたはずで、手配を頼んだ友人には悪いことをした。でも、初めに山を越そうとしたのも、あそこで歩いたのも、間違ってはいなかったと思う。俺はハプニングこそ旅行の醍醐味と考えている。
 さて、崩れるように部屋に入り、座り込むが、まだまだ今日の予定は残っている。温泉にはいるか?小岩井に行ってジンギスカン食い放題するかだ。ジンギスカンは明日はやっていないので今日行くしかない。ここから小岩井まで、自転車で行くことにする。俺が地図を見ると、どうやら10キロはありそうだ。でも、何キロくらい? と聞かれて5キロくらい。と答えておいた。だってそうしないと自転車で行かないって言い出しそうだったから。で、休みもそこそこに晩飯を食いに出発した。
 しばらく走るとコンビニが角にある交差点があり、そこを左に曲がる。ここまでですでに自転車で来たのを失敗だったかな? とちょっと思う。この交差点を曲がってからがまた大変だった。緩やかだけれど、ずーと登りなのだ。またしても登り。もううんざりだね。取りあえず、必死で登った。周りはもう真っ暗で、ライトをつけて走る。人気も車も少なく、ホントに小岩井に着けるのかという気になってきた。さすがにみんなもかなり疲れているのが走る速度でわかる。
 いくつものカーブを曲がり、緩い坂を上り続け、もう何時なのかもわからなくなったとき。前に見えるのは?小岩井農場!! やっと着いた。駐車場へ入り、自転車を止める。一人などはもうヤケクソで自転車を放り投げてしまった。これにはびっくりした。確かに、もう足はふらふらだ。力が入らない。時間を見るともう7時半だった。


19時30分
 ふらふら歩いて、ジンギスカンを食べに行く。もうラストオーダーまで30分しかない。でもせっかくここまで来たのだから食べることにする。結果。食べて良かった。30分で十分だった。たらふく食った。疲れているときの飯のうまいことうまいこと。のどが渇いていて、1杯目のビールの旨いこと美味いこと。中ジョッキを一気に半分空けてしまった。ビールをまずいと思う俺としては初めてのことだ。運動後の腹が減っているときに食った飯は本当に幸せな気分だった。
 たらふく食って、ちょっぴり飲んで、満足したあと、さあ宿に帰ろう。今度は下りなので楽ちんだ。でも、疲れているし、腹はぱんぱんなのでゆっくりとのんびり帰ることにした。夜風が気持ちよい。曇っていて星空が見えないのが残念だ。


22時00分
からからから、と自転車を転がし、部屋に戻ってきたのはもう10時をすぎていた。もうボロボロにつかれている。今日一日で150キロは走った計算だ。疲れて当たり前だ。風呂に入って、みんなあっという間に寝てしまった。





今回のコースの見所

○田沢湖

 ホントにすっごい青いんです。一度見てみる価値あり。それに一周がちょうど良いサイクリング道になります。湖水浴なども出来るところがあります。

○走った道ほとんどすべて

 景色が、自然が、すばらしかった。東京でこれだけ走ったら、鼻の中も耳の中も肺の中も真っ黒になってしまうでしょう。国道以外は車も少ないし、 のんびり走れます。



今回の反省点

 ○休憩は取り過ぎも良くないです
 ○初日は軽めの計画にすべきでした
 ○自転車はよく選んで買いましょう


今回の感想

 いまだかつてこれほど疲れた走行はありませんでした。久々に正真正銘くたくたになりました。でも、それだけ、印象も強く残っています。ものすごい青い田沢湖や、初めてのとても長い下り道。登りの苦しさや、時間に追われ焦ったことなど、大変なことが多かったけど、楽しかったです。温泉に入れなかったのがちょっと残念だけど、それどころではなかったしね。 それにジンギスカンが旨かった。ありきたりだけど、こういうロケーションで食べるジンギスカンはやはり美味いです。ビールも美味いです。牛乳も美味かった。
 よく走った、自分と愛車をほめてあげたいです。  


前日 横浜〜東京

2日目 網張温泉〜小岩井

マウンテンバイクのススメへもどる

メールはこちらへ、
ご意見ご感想をお待ちしております
togawach@yk.netlaputa.ne.jp

HPへもどる