1999年
彼は法の規制内で法律外を取り締まる事に限界を感じ、其処に甘んじている職員に嫌気が差した
殊に、その上司は最悪な公務員だったらしい
刑事、警官ならともかく公安がソレでは全く日本は平和な国と言わざるを得ないが......
ともかく、公安局員は辞職して潜伏中だった
辞職までの流れも彼らしい正義感だった
辞職したが最後正義のために犯罪者となる可能性が高いのは明白
人はソレを暗躍家と呼ぶ

その公安の辞職については李さんから聞いていた
辞職の理由を考えれば彼の行動は読める
奴隷が欲しければ金を贖うか命を救えばよい
私は彼に命を救われた
やっと借りを返せるだろう

予想通り、単独突入に関して素人の彼は負傷していた
ロッカーを背にしてなんとか立っているという風情だ
派手に暴れたらしく床が血まみれになっている
その血だまりにヤクザが三人つっぷしていた
よく、やったと云えよう
公安に近づく
応えはない
酒を掛けてやる
気が付いたらしい
私を認めるとこう言った
「奴ら、は?」
「気を失ってる」
「殺せ」
「相手を殺すのならお前もこのまま見捨てる
 そうするか?お前もこのままだと失血死出来るが?」

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2001年
渋谷
彼と偶然出くわした

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1999年
彼は暗躍家になりたいと言った
私は即断した
無理だ、と

彼は自分のために闘う事が出来ない男だから

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2001年
彼は探偵に転身していた
最低限の会話だけを交わし、お互いの道に戻る
お互いの道は隣り合っていても、相容れない事を良く感じていたから
対岸のモノと戯れるのとは違う
近しいからこそ、触れてはいけない

それから、彼がどうなったのかは、知らない

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to be continued

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