1946年
終戦から一年
闇市が蚤の市に再形成されている
まだ、貧困な時代
しかし、理不尽な死に方をする気苦労がない
そんな環境がミンナを明るくしていた
死を知っているから、生を喜ぶ事が出来る
蚤の市とは英語で言うフリーマーケットだ
主催も無く、市場が形成される
そこを仕切っているのは力だ
純然たる、暴力
法が追いつかない場所では力が正義だ
諍いは、更に強い暴力に押さえつけられ、平和が維持される
俗にヤクザと呼ばれる人間の最も輝いていた時代 もっとも美しい時代だ
しかし、その力を持っているのが組織であり、人間である以上は寄生虫が寄ってくる
寄生虫と寄生虫は共生する
同じ食い物にかぶりつく
同じく、香港
法の統治から見捨てられた区域
既にソコは黒社会だった
社会としてのルールは彼らが決めた
ルールは生きるための統括だった
しかし、日本も香港も同じ道を辿る
組織が組織であるために、そして権力が権力で有り続けるために
存続するために存続を続けるようになる
金も権力も得た組織の人員は怠惰になる
そして組織は次第に権力志向そのものに走る
権力の構造は簡単だ
金を持っている奴が強い
逆説にもなりうるが、組織の上層部ほど金を持っている
そして一歩でもそこから退けば一気に引きずり降ろされる
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1976年 昭和51年
龍が25歳を迎える
私が産まれる
法が組織を締め上げる
組織は地下に潜る...........
龍は組織の幹部となり、彼の日常である仕事に励む
彼は産まれた時から権力を目指す以外に生きる術がなかった
彼にとって日常は権力のために権力をむさぼる循環する蛇だった
彼はウロボロスと呼んだ
兄は知恵の輪と呼んだ
朱美は幼少の身で、やはり、既に日常に生きていた
勿論、龍の其れと同種の日常を
私はごく普通の家庭に生まれ、戦争も、その痕も知らずに育つ事になる
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2001年 平成13年或いは昭和76年
龍が49歳を迎える
私が25歳を迎える
共に、辰年の産まれ
吉数7の7倍が49
天数と呼ばれる最高の数は25
龍の天数に私が産まれ、私の天数に最後の闘いを迎える
雅美さんが死んでから、12年が経っていた
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to be continued
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