1981年
一緒の幼稚園に身体障害者の女の子が居た
子供の頃の私はなんとも正義の人間だったと思う

当然のように、身体障害の女の子は虐められていた
いじめっ子なんてのは相場が決まっていて横柄で力任せの餓鬼だった
幼い私は、虐めの現場を見つけては体当たりしていじめっ子を散らしていた
虐められていた女の子はお礼を言ってくれた
聞き取りにくい発音で、だけど確かにお礼を言ってくれていた

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1989年
しかし、いつしか殴られる危険性と殴られたら痛い事を知った私は死ぬのは怖いことも知っていた
だから初恋を見殺しにしたのだった

私が見殺しにした可愛い雅美さん
当時まだ中学生に成り立てだった私が一発で惚れてしまった年上の女の子
とっても可愛くて、白い肌が綺麗で、髪がきらきらして好きだった
だけど、怖いから見殺しにした
自動車への飛び込み自殺
走って腕を掴めば止められた自殺
自分が死ぬのは怖いから見殺しにした
死んだ雅美さんには恋人が居て、そして男は妖しげな奴だった
朱い髪、朱い目
190cm近い長身
白い肌を押し上げる筋肉のしなやかさ
美しい男だった
全てが画になる男だった
彼は国籍がない
蛇頭の密入国という形から日本に定住してしまっていた
要するに、日系三世という奴だ
何故、日本国籍も中国籍も無いかというと、日本に置いて敵前逃亡兵は戦死とされ、中国では闇子が多すぎた
簡単な構図ではある
そして日本で世話人になった一条老君が名前を「朱美」とした
朱美は子供の頃から裏通りを歩いてきた男だった
そして雅美さんと裏通りで知り合った
二人を引き合わせたのは魔法の白い粉
朱美は中国の家族を壊した白い粉を追って日本に
雅美さんはその日本で白い粉を打たれていた
朱美は日本のヤクザ組織まで白い粉を追った
そこに雅美さんは居た
献身の看護で雅美さんは麻薬から手を洗えた
しかし、時折フラッシュバックする麻薬とSEXの記憶は彼女を狂気に導いた
死ぬ間際、彼女が恋人と間違えて口づけしたのは私だった
とっても可愛くて、白い肌が綺麗で、髪がきらきらして好きだった雅美さんは死んでしまった

では何で彼女をここまで追いつめた連中はのうのうと肥え太っている?

私は朱美に願った
「奴らを滅ぼしたい」と

朱美は応えた
「俺たちがやるんだ」と

その夜に初めて飲んだアルコールの味は忘れてしまった
しかし、初めてのKissが、彼女の血で彩られていた事は絶対に忘れない

血の匂いと修羅場の風が私を喚んでいた

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to be continued

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