廣野卓著『食の万葉集』(Re: ちと反論)

投稿者[ ちょっと一服 ] 発言日時 [7月15日(月)22時03分42秒]

元の発言 [ Re: ちと反論と言って良いかどうか? ] お名前 [ オヤジッチ ] 日付 [ 7月11日(木)23時50分04秒 ]

>> 私としては、豊富な食料があったのに飢饉の危険性がある単一作物に固執したのは「なんで?」と思うんですネ。
>> 渡来人が無理やり作らせたんだという人もいますけど、どうなのかナー?

廣野卓著『食の万葉集』(中公新書)によると,
米の味を知ったから,ということになりそうです。

あれこれ想像してみると,
おいしい,腹持ちがいい,元気になる,
よい酒や加工品ができる,
などの嗜好を満たす食品だから。

あるいは,移動用,冬季用の食料として便利ですかね。

稲作文化と言うだけあって,
健全な食欲と願望と活動力が作用している,
一つの「文化」ではないでしょうか。

ただし,同書第54頁によると,
奈良時代から精米率は高かったそうで,
脚気という国民病の始まりみたいです。

飢饉の危険性を負ったのも確かで,

同書第53頁によると,
農民の間で,コメ作りが流行り,
雑穀を止める傾向が出てきたことから,

「奈良朝廷は,稲作偏重の危険性を説き,
アワ・ムギなど雑穀との併作を指令するが,
あまり効果はなかったらしい。」

との解説があります。


この本には,第190頁あたりに,
豚(猪)食についての興味深い話しも載っています。

『続紀』養老二年,筑後守(兼肥後守)が,
鶏や豚の飼育を奨励した記事があるそうです。

古代人は,動物食としては,主として,
鹿,猪,豚を好んで食っていたそうです。



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