サウダージの香り
〜Rio de Janeiro2


CORCOVADO
では、ここからはリオの観光スポットの話に移ります。
ボサのスタンダードで有名な『CORCOVADO』。ここはあのキリスト像が立っているところです。
スイス製の登山電車に揺れらこと約20分、料金は往復ひとり15Rでした。
途中擦れ違いポイントがあり、帰りにちょっとそこで待ったりしましたが、 基本的には時間通りに運転されていて、安心して利用できます。


(左)赤い登山電車は2両編成で単線(右)キリスト像はやっぱり偉大です

ガイドブック「地球の歩き方」に”空いていて逆光にならずに写真の撮れる午前中が 観光にはいい”と書いてあったのでホテルを早めに出発、バスで30分ほどかけて 登山電車の駅にたどりつきました。
「進行方向向かって右側が景色がいいわよ」と切符切りのお姉さんが教えてくれた通りに そこにしっかり座り、電車は10時30分の定刻通りに発車しました。
登って行く間、窓の外には美しい蝶や、カラーコピー機のCMに出てきそうなカラフルな鳥、 小さな猿やおばけひょうたんみたいな実など、珍しいものを色々観ることができます。
もうすぐ頂上に着く!という時に運転士がクラクションをプップー!!プップー!!と鳴らし、 何だろう?と思うといきなり右側の視界が開け、眼下にはリオの海が...!! 電車内はにわかに活気付き、カメラを構えてみるものの、すごい傾斜で立つのは怖いくらいです。
だって窓は半分以上開いてるんですから。おオ〜という余韻の残るまま、頂上駅に到着。 そしてそこには早くももう帰る観光客が小さな駅にあふれんばかりに待っていたのでした。
どうもアメリカ人のツアー客らしく、次はパウン・ジ・アスーカルへ行く様子。 みんな考えることは同じですね。

駅から階段をしばし上がって行くと、キリスト像が後ろ側から見えてきます。
キリストは首を少し前かがみにしていて、後ろ下からみるとぜんぜん頭が見えないんですよ。 重さは1145トン、高さは38メートル、伸ばした両手の幅は28メートルととにかく大きい! こんなものをどうやってここまで運んだのかしら...と、ありがちなピラミッドの謎のような事をやっぱり考えてしまいました。
それにしてもリオの街へ最初にバスで入った時、遠くに見えたキリスト像には 「あっ あれって?!」と、感動しました。ちょうどスキーのジャンプ台の上に 立っているように見えるんです。
ジョビンもこのキリスト像が見える家を好んだとか。 本当になんだか見守られている気がします。


キリスト像の写真を撮る観光客達。後ろに見えるのはPao de acucar


PAO DE ACUCAR
登山電車で登ったコルコバードに対し、パウン・ジ・アスーカルはゴンドラ (早い話がロープーウェイ)で登ります。
ここはゴンドラが来て、客が集まったら発車するという感じなのでわりとアバウトです。 料金は往復15Rで、一気にパウン・ジ・アスーカルへ到達するわけではなく、 ウルカの丘という、もう少し低い岩を経由して行きます。 数分で着いてしまうのがちょっと残念ではありますが、 ゴンドラが動き出すと窓から入ってくる風がとても心地よく、真下の崖と 前方の岩の絶壁に圧倒されながら上昇します。


(左)ウルカの丘からみたPao de Acucar
(右)Pao de Acucar頂上からみた風景。左上の突出した丘がコルコバード。

最初の到着駅であるウルカの丘はレストランや土産物店がパウン・ジ・アスーカルより充実しています。
中継地点ながら、間近にパウン・ジ・アスーカルが見え、リオの海も楽しめてなかなかです。 行きはそれでも早く頂上に行きたくて、ぐるっと一周してすぐに次のゴンドラへ 乗ってしまいました。
頂上は海抜390メートル。 遠くにさっきまで自分がいたキリスト像が見えてなぜか嬉しくなったりします。 でもとにかく暑い!夏だからか、太陽に近いからか、遮るものがないから どんどん鼻だけ赤くなっちゃうんですよ。ここも夕暮れ時は夜景が美しそうです。
でもなんでリオにはこういう変な形の岩がたくさんあるんだろう? 日本と山の出来方が明らかに違うということが良くわかり、独特のものを感じました。


FRUTAS
ブラジルは果物がおいしいから絶対食べて来い!とみんなに言われて来た私。
もともと果物は好きなので、毎日野菜より食べました。
太陽の恵とはまさにブラジルの果物のためにあるような言葉で、 町の中にはたくさんジュース・スタンドがあるし、フルーツ自体も大きくて値段も安いんです。
たとえば日本でオレンジジュースを頼んだ場合、そこが千引屋か高野フルーパーラー でもない限り、”フレッシュジュース”とか何か明記していなければいわゆる濃縮還元果汁 のジュースが出てきますよね。 100%ならいい方で、30%、50%ということだってあります。
だから私はレストランでジュースなんてめったに注文しないんですが、 ブラジルはどうも違うようで、ジュースといったら、その場で絞ったものが出てきます。
メニューにはたいていsuco de frutaとだけ書いてあって、何の種類があるかはウェイターに 聞けば教えてくれます。 オレンジ、レモン、マンゴー、パパイヤなどは基本みたいで聞かなくても大丈夫でしたが、 店によってはココやパッションフルーツ、マラクジャなどもありました。
値段は2R〜3R。とびきり格式高いレストランでもなければ、町のバールで飲むのと変わりません。 これが冷たくて甘くて、本当においしいんです!!
甘さが違うというのか、ハッキリしてるんですよね。途中からガラナもあまり飲まないで、 出来る限りフルーツジュースを飲みました。


(左)スーパーで売られているマンゴー3種類。真ん中の赤いのがポピュラーなもの
(右)町中にあるバール。ジュースの他にアルコールや軽食もOK

毎朝、ホテルの朝食ではフルーツそのものやフルーツジュースが出ていて、 パパイヤをたくさん食べましたが、なぜかマンゴーは出ないので、スーパーで購入して 食べてみることにしました。
ホテルの冷蔵庫で冷やしてサバイバルナイフで切って「ちょっと甘酸っぱいけど、 やっぱりおいしいな」なんて思っていたら、隅の方で動くものが... 
それがよく見ると、虫だったのです!
3ミリくらいの白い何かの幼虫のようでした。 見つけたのは1匹だけだけど、1匹ってことはないですよね。
ということは、もしかしたら食べちゃってるかもしれない!!...そこで私の動きは止まりました。
でも、ジュースになってたら一緒にミキサーかかっちゃってるんだから、もうとっくに 何匹かは私のお腹の中です。別に痛い訳でもないし、くーっ...ここは郷に従えですか。
おいしいから、きっと虫にもおいしいんだよなぁ。でもやっぱりショック。


CENTRO
リオのセントロはオフィス街で、第1路線と第2路線のふたつの地下鉄が走っています。 料金は一律1Rと安く、バスと乗り継ぐ場合や回数券を使うともっと安価で乗ることが できるんですよ。
私が乗った第2路線は冷房付きのきれいな車両。駅もどこもさっぱりとしていて快適でした。 とはいっても地下鉄が走っているのはリオの本当に中心地区だけで、 ビーチへ行くにはビーチ方面へ最寄りのCardeal Arcoverde駅からバスかタクシーを使うしかありません。


(左)セントロはビジネス街で、人通りも多くどこにでもある都会。
(右)地下鉄のカリオカ駅。
セントロには博物館や劇場、美術館や教会がオフィスビルと混在しています。
あんまり今回はこういうのに興味がなかったので「フーン」という感じで外から 観ただけですませてしまいましたが、その気になればセントロも観応えがあると言えなくもない かなと思います。
でもさすがに人が多いだけあってレストランをはじめその他のお店は多く、 ショッピングも楽しめますし、CD店もHMVのような大型店舗がありました。
カフェテリア形式のレストランでリオのビジネスマンにまじってお昼を食べたり、 それもいい思い出です。


ボタニコ植物園の帝王ヤシ。

セントロ以外にも、イパネマ・ビーチから近いラゴア湖やボタニコ植物園、競馬場など、 うろつける所があります。 ただ、人で賑わっていてのんびりくつろげるのはやっぱりビーチかなあ...
コパカバーナ・ビーチのホテルが立ち並ぶ様子はやっぱりいいし、アストラッド・ジルベルトの CD「Best Hits」のジャケットに使われている海岸沿いの歩道のモザイク模様は コパカバーナのものなんですよ。
他にもガロッタ・ヂ・イパネマ公園やジョビン公園など、その手の名前のついた場所の多いこと! サッカー好きな方は、マラカナンスタジアム見学もいいかと思います。

...少なくとも1カ月以上、”住む”感覚でリオに居たら、また違った楽しみ方やカリオカのことが もうちょっとはわかるんだろうなあと思います。
でもあの太陽の強さや街の匂いが、ボサノバを産んだ一因であることは間違いないし、それを 遅ればせながら感じられたことはいい経験となりました。
また、ジョアン・ジルベルトがもしかしたら私と同じ期間にリオに居たのではないか?と 思うだけでも、ジョアンのステージをまだ観たことのない私には幸せな1週間でした。


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