飛行機の中で大立ち回り、とだけ聞けば「エアフォースワン」を思い出しますが本作はミステリーもの。たぶんそのはずです。
見終わって最初に思ったのは「え、これ原作付きなの?」ということ。実際は知らないんですが、そうでなければおかしいってくらいに序盤に無意味かつ印象的なシーンが積み重なっているんですよね。や、もちろん攪乱という意味では無意味とは言えないんですけど、ちょっと意味ありげすぎるというか。
飛行機の中で少し眠った間に愛娘が消えた、という導入部から始まるシナリオの大筋はなかなか面白いのですが、ミステリーの肝であるトリックがどうにもこうにもテキトーでいただけません。要は消失トリックなわけですけど、そのタネが基本的にないというのはどうかと思います。もしくはできるからできるんだ、というくらいに強引な説明で辻褄を合わせているのが苦しいです。
一方で演技の方はかなり見所があります。ミステリーのお約束とはいえ、客室乗務員全員が絵に描いたようにどこか不審な様子で怪しく見える、というのは色々と効果的だったように思います。ヒロインの鬼気迫る演技も見応えがありました。残念なのは娘のキャラがないも同然であること。もうちょっとくらい愛着が湧くような個性があった方が良かったように思います。
ミステリー好きには薦めませんが、ハリウッド的な大雑把さをあまり気にしない人には悪くないのではないかと。
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