最近は国産漫画でありながら製作は海外という作品も珍しくなくなってきました。しかし、見る側としてはまだまだ複雑な気分になってしまいます。ハリウッドリメイクとは意味が違う訳で。ロケ地だって日本なのに出演者の大半は……。

　そうしたこだわりを捨てれば予想を遥かに越えて楽しめました。制作者の並々ならぬ気合を随所に感じました。物語は拓海が高橋涼介のチームに入るまでをうまくリファインして作られています。２時間という制約の中ではかなりうまくまとめられているかと。

　ダウンヒルシーンはかなりの迫力。溝落としもきちんとあります。ただ、解説が全くないんで知らない人には凄さが伝わらないのが玉にきずです（ラストバトルにはあるんですが）。思ったよりもドライバーズビューは少なかったです。基本は８６や主人公の顔を見せるのがメインでした。

　原作に対して重要なポイントは主に２つ。秋名スピードスターズのリーダーがイツキであることと高橋啓介がいないこと。本当に重要な違いですが、これがどうしても許せない、でなければ楽しめるのではないかと思います。池谷先輩はいるようなんですが（スタッフロールで確認）、どれだかわかりません。個人的には終盤の態度を考えるに中里毅を高橋啓介にすれば良かったような気がします。

　拓海のやる気のないぼへーっとした様子は良く出ています。ただ、バトル中でもそうなのはどうかと思いますけど。日本版を作るならぜひ要潤で、そうお願いしたくなる俳優さんでした。イツキはデブであることを除けばかなり雰囲気が出ています。向こうではああいうお調子者はデブという認識なんですかねぇ。文太は本作のＭＶＰと言ってもよいキャラ。いい味出してます。随所に見所が。ヒロインが援助交際をしているから日本人を選んだ、というのはさすがに穿った意見すぎるでしょうか。女子高生の集団は凄く不自然でしたよ。どう見てもヒロインだけ国籍違うのわかりまくり。

　最後に。物語途中で拓海が南曷＠キャプテン翼（もちろん背番号は１０）のＴシャツを着ているのは大笑いでした。