取りあえずは素直な感想から。控えめに表現しても、もう1回は見たいと思うくらいに面白かったです。見ていて純粋に楽しめたのが最大の要因。ここ数作の宮崎作品は説教くさいというか、見ていて楽しいと思った作品がなかったのでこれは嬉しい誤算でした。ワクワク感という意味ではラピュタやトトロに迫るものがあるかも。
重要なポイントはこれはおとぎ話ということ。下手をすれば子供が読む絵本くらいの。そう考えればまとめ方の乱暴さもまぁ、それほど気になりません。「そして、みんなみんな幸せに暮らしました。めでたしめでたし」というような終わり方にするためにはストーリー上の粗には目を瞑るしかない、いや瞑るべきなのかも。
それでも、部分的にやけに説明調のセリフがあるのは気になりましたけど。また、それが断定調なのが却って違和感を膨らませるというか。大人から子供まで見られる映画にするための配慮、というだけでは説明できないような気がします。どのみち私が見た回のお子さまたちは、やはりストーリーはもう一歩わかっていないようでしたし(でも、お母さん方がわかっていないのはどうかと思いましたが)。ただ、タイムパラドックスネタはさり気なさ過ぎてイマイチ効果が上がっていないような気がします。もうちょっと印象的にできるような……。
映像的にはたまげることが多かったです。ハウルの動く城が動いているシーンを見るためだけでもこの映画を見る価値があると思います。一体、数秒にどれくらいの日数をかけたのか、というくらいの描き込みようで素直に頭が下がります。また、力を入れるところと抜くところをハッキリと分けているのも良かったです。おかげでメリハリのある映像になったのではないかと。
声優に対する不安は最も大きいものでしたがほとんど杞憂に終わりました。特にキムタクの演技は予想より遥かに良かったです。教えられなければキムタクと気付いた自信はありません。
個人的に気になったのはソフィーの声。まぁ、難しい役柄だから仕方ないですけど、それでもどう聞いたって少女の声には聞こえません。少女→老婆となるから以後は気にならなくなりますけど、それって耳が慣れているだけですからねぇ。やはりソフィー役は餅は餅屋にするべきだったんじゃないかと。ドラえもんの声優さんたちの平均年齢なんて78ですよ? でも老人の声には全く聞こえないし。もちろん、他の年齢帯の声だって出せますから。
あと良かったのはカルシファー役の我修院達也氏。非常に印象的で良い演技をしていたと思います。まぁ、この人はもともと声優向きという気がしないでもないですけど。
確実にDVDは買うと思います。CMやテレビなどで良いシーンを流されてしまう前に見に行くことを薦めます。
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