一大テーマパークが都市クラスの規模になった場所。そこが風城である。周囲は完全に城壁で囲まれてまさに別世界。有馬洋輔(変更不可)は叔母を頼る形で風城学園へと入学してきた。門を潜る時、これからの生活を思ってお辞儀をすると目が合った。城壁の上に座るひとりの魔女と−。
ういんどみる10周年記念作品第2弾。なんとか滑り込みで2012年に発売できました。
購入動機は原画買いと噂の新システムE−moteに興味を持って。
初回特典はウィッチズガーデン原画集とサウンドトラック「Witch!」。いつも通りキャラクターソングCDを先行発売する戦略なのでボーカル曲は一切、収録されていません。予約キャンペーン特典はフルカラーイラストブック。
修正ファイルが出ています。それほど重大な内容ではないものの、あてておいた方がいいでしょう。
ジャンルは10年間作り続けてきたアドベンチャー。
E−moteは別会社と組むことで実現した、立ちCGをこれまでにないくらい滑らかに、動的演出を行うシステムです。視線の動きなど自然に演出できるのでキョロキョロしたり、もじもじしたり、おどおどしたような姿を違和感なく見せてくれます。もちろん、胸もたゆんたゆんに揺れてくれます。他のポーズや表情への移行もスムーズに行えています。こ〜ちゃ氏の原画と動きもマッチしていてかなり自然に見えます。
どうやら活用にはセンスが問われそうですが一見の価値ありです。ゆくゆくはこれがアドベンチャーのスタンダードになるやもしれません。
足回りはそれほど代わり映えしません。メッセージスキップは既読未読を判別してくれますが、E−moteのせいか遅めです。ただし、「次の選択肢へ」機能があるのでそれほど気にならないでしょう。こちらはスピードも早めです。
バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能ですがほとんど戻ることはできません。ロード直後にも使用できます。ただし、「次の選択肢へ」機能を使った時にはログに反映されません。
シナリオはシリアス要素の導入が完全に裏目に出ています。ういんどみるOasisの作風(こ〜ちゃ氏の画風)にも相性が良いとは言えず、シリアスゆえに設定の破綻がより目立つようになっています。それでいながら悪人はいない、ご都合主義は健在と中途半端に残っている要素もあるのが困りもの。まるでまだら模様のようでどちらを向いてもスッキリしない感が残ります。
複数ライター制の弊害もそれなりに見受けられます。主人公の人格が違っていたり、担当でないヒロインの出番にやたらと差があったり。
日常の掛け合いは定型文のような似通ったものが多く盛り上がりに欠けます。笑いも厳しくE−moteの旨味を十分に引き出しているとは言い難いです。キャラは立っていますが、テキストによる上積みはそれほどありません。
戦闘描写なんてものもありますが、一応はあります程度なので過剰な期待は禁物です。これ自体に面白味を見出すのは難しいでしょう。
惹かれ合う過程はそれなりに書かれています。ただ、設定がやや特殊なので納得感は人によって開きがありそうです。
Hシーンは基本4回ですが、例外ヒロインだけ7回あります。これもまた、設定が中身に影響を与えていてヒロイン毎に雰囲気は異なります。尺は全体的に短めで純愛系にしてはエロ度は高めです。
CGはこ〜ちゃ氏の魅力がたっぷりと詰まっています。E−moteによる立ちCG表現はファンである人ほど喜べそうです。可愛さが確実に増しています。場面によってはSDカットを使うのがもったいなく感じるほど。
イベントCGも負けてはおらず、安定度が高くなっています。懸案だった枚数不足も改善され差分抜きで98枚と予想以上のボリュームになりました。ただ、増量分は軒並みHシーンに費やされている感じなので通常イベントCGに期待している人は残念かもしれません。
オールクリアするとキャラモードが解放されます。E−moteの威力を鑑賞モードでも体感できます。まぁ、インパクトを感じるのはやはり、本編ですけど。
音楽は場面に応じた曲がしっかりと用意されています。サントラ単体でも聞き応えは十分あります。逆に言うならゲームらしい曲は少なめです。
ボイスは主人公を除いてフルボイス。演技はほとんど問題ありません。ただ、雪村涼乃役の遥そらさんのHシーンの演技が(そういう演技付けなのかもしれませんが)やや拙いように感じました。えくれあ役の藤咲ウサさんの演技は個性が光っていてとても良かったです。台本だけではけして伝わらない魅力がありました。
まとめ。こ〜ちゃ氏とE−mote様様な作品。やはりシナリオがネックです。E−moteがなかったらと思うと……。まぁ、10周年記念作品と謳いながら外注ライターのみという事実が全てを表しているのですけど。
E−moteの可能性にワクワクします。
お気に入り:雪村姉妹、えくれあ
評点:70
以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。
1、緋宮あやり
E−moteが最も効果を発揮するのはやはり彼女でしょうね。子供っぽく好奇心旺盛でリアクション豊か。胸も大きい。まさにピッタリの適性を備えています。視線の動きが最もこれまでにない感じで嬉しく感じられました。
どうでもいいですけど、あのパジャマはどうやって支えられているのでしょう。まさか胸とか。
記憶保持のためにみんなが協力してくれたクラスのお泊まり会。こんな時まで抜け出してHするあたりはちょっと考えものでした。態度でこんなことでは記憶は残らないと言っているかのようで。
2、雪村涼乃
あやりとは反対にE−moteの恩恵が最も少ない娘さん。非常にいいキャラしているんですけど、おとなしいことはE−mote的には売りにならないですからねぇ。魔女服の時の胸くらいでしょうか。
3、羽多野莉々子
憧れの人としての描写がいまひとつ。主人公を女子寮に招き入れて喜んでしまう姿にガッカリ。自分に甘く、人に対する時だけ厳格なんてただのヤな人ですよ。
こ〜ちゃ氏の描く頭に飾りや髪型など特徴あるヒロインはお風呂があんまり嬉しくない。せっかくのデザインが消滅してしまって嬉しさ半減でした。「はぴねす!」の神坂春姫もそうでしたね。
原画によって胸のサイズに差があり過ぎでした。
4、柴門水澄
なんかこ〜ちゃ氏らしくないデザインだなぁ、と個人的には感じてました。えくれあがいるから持っているような。単独だと少々厳しいものが。
5、えくれあ
本作随一の賑やかし。ボイスと演技でかなり救われてます。あやりトゥルーでもいいところを持っていってます。ただ、あまりにもオートマタとして優秀すぎて人間にしか見えないのが最大の欠点。
ところで、えくれあのHシーン4回というのはちょっと語弊があるような。イメージ的には2回くらいですよ。
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