217   はぴねす! りらっくす(ういんどみるOasis)
 
 最初に出たファンディスクが何であったのか知りませんが2002年以降、人気作に作られることは珍しいことではなくなりました。しかし、そんな状況にあっても100%作られると確信できるタイトルは珍しいです。本作はまさにその珍しい1本に該当するのではないかと思います。買った人も買わなかった人も出ないと思った人は少なかったのではないでしょうか。
 購入動機は準シナリオを望んで、だったのですが発売されるまでが予想よりも長かったために若干、熱が冷め原画家買いというところに落ち着きました。
 初回特典は本編の原画集同様のファンブックとマキシシングル。なぜかファンブックの封はなくなりました。
 
 色々と細かな修正を行うファイルが出ています。クリア不可能ということはありませんが、快適にプレイするためにあてておきましょう。
 
 コンテンツは7本のショートシナリオと麻雀ゲーム「まーじゃんもりらっくす」の2つ。
 「7本のショートシナリオ」
 足回りや基本的システムは本編に準拠。特別な仕様変更は見当たりません。メッセージスキップは既読未読を判別して高速。
 バックログは別画面で行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能です。ロード直後にも使用できますが4行単位でしか見られないのも相変わらず。
 次の選択肢へ進む、前の選択肢に戻る機能がありますが使う機会はそれほどないかと思います。
 
 シナリオ。7本という数はそのままヒロイン(?)1人に1本ずつという割り振りになっています。本編では独立ヒロインとは言い難かった式守伊吹や上条沙耶にも用意されました。優遇や差別は特に感じられませんでしたが、サブキャラに機会を与えるために渡良瀬準シナリオだけはサイズも大きく複数のルートが用意されています。それでもぎりぎり中編というくらいの分量ですが。
 シナリオは全て本編の後日談で構成されています。みな綺麗に切り揃えたように5〜6ヶ月後である10月〜11月のお話。その理由はとても簡単で時間を置いてなおかつ本編と同じ季節帯にしたかった、でないと冬服にならないから。つまり、夏服やそれに関するイベントなどは用意されていません。事情もあるのでしょうが、これはとても残念。8ヶ月後の発売、6800円というファンディスクにしては割高な価格、先行ボーカルCDを発売するほどヒロインに注力している、基本的な各種の素材は揃っている、などからすればそれぐらいは望みたかったところ。
 式守伊吹、上条沙耶シナリオは本編のオーラスシナリオの続きという体裁を一応はとっています。よって恋人確定は本作で、という流れなので他とはやや毛色が異なります。
 多くのユーザーにとって待望の(と思われる)準シナリオはその存在自体に意義がありますが、準だけのためのシナリオではないし、準の出番はそれほど多くないので過剰な期待は禁物かと。また、このシナリオは言ってみれば夢と同義であるため「はぴねす!」世界本体にはほとんど影響がありません。所詮は夢。このあたりが人によっては微妙かも。
 魔法色はかなり薄くなりました。バトルなんてもっての外ですし、本編未プレイの人がプレイすれば魔法ものとはしばらく気付かないかもしれません、その程度の濃度に抑えられています。
 シナリオライターはなぜだか増えています。内訳はハッキリしませんが部分的には違和感を感じることも。ただ、違う人間が書いているわりにはその差は少ないと思います。
 Hシーンは基本的に各シナリオ1回ずつ。例外が準シナリオでここだけは3Pで様々な組み合わせが用意されていてヒロイン単位で見てそれぞれ1〜2回。エロ度はほどほどで6800/8800円とか考えてしまうと随分と弱いような気がしてしまいます。ちなみに一度プレイすればCG差分は回収されるようになりました。
 
 新規CGはイベントCGオンリーと考えた方が無難。立ちCGはほとんど追加されたものはありません。描き下ろし主体であるイベントCGはさすがの仕上がり。原画買いに応えるだけのクオリティであり、絵柄の変化なども特に見受けられません。ただ、シナリオ項でも書いたように本編に対するエロ度としてはもう一歩のように感じました。
 立ちCGの鑑賞モードは今回も用意されています。
 
 音楽はほぼ従来曲そのまま。目新しさはありませんが世界観の一部であると考えるならこれでよろしいかと。
 ボイスは主人公を除いてフルボイス。キャスティングに変更はありません。演技が違うということもなく、相変わらずの鉄板声優陣で安心して聞くことができます。
 
 「まーじゃんもりらっくす」
 2人打ちと4人打ちの2つのモードが用意されています。
 2人打ち:ストーリーモード。開始時にパートナーを選んで対局開始。魔法によるイカサマありで主人公の他、負かした相手の魔法も使えるようになっていきます。最後まで進むとご褒美CGがありますが、総量が少なくありがたみは薄いです。難易度はほどほど。イカサマを使わなければそれなりに難しいと思います。ただ、それでも本格派の方には不満ではないかと。
 
 4人打ち:フリー対戦。誰を自分として選んでも魔法の内容は2人打ちの主人公と同じ。相手は2人打ち時の魔法を使ってくることはありません。使えるキャラクターが段々と増えていきます。「はぴねす!」キャラクターだけでなく、ういんどみる歴代キャラも登場。対局途中でも誰かがハコテンになるとそこで終了します。
 
 イカサマ魔法は序盤だとほとんど何も仕込んでいないのと変わりませんが、レベルが上がってくるとまさに魔法としか言いようのない効果を発揮します。ハッキリ言ってつまらなくなるほど。ヒロインの魔法は便利なものが多いですが、演出をカットできないのが困りもの。数秒が意外と長いです。
 麻雀そのものはたまに上がれなかったりすることがありますが、基本的には問題ない作りになっています。
 「はぴねす!」のキャラと麻雀している、というだけの演出がどうにも弱いように感じました。もっと各状況に対する反応が欲しかったように思います。
 
 まとめ。コストパフォーマンスに難のあるファンディスク。渡良瀬準も含めて全キャラにシナリオが用意されたことは評価できるものの、全キャラのファンは少ないであろうことを考えると6800円はやや割高な印象があります。大事にされている作品と思えただけにもっと冒険が欲しかったようにも。全員平等になったがゆえに相対的にエロが薄くなってしまったのも残念。
 お気に入り:神坂春姫、渡良瀬準
 評点:60
 
 作品の性質上、キャラ別感想はありません。


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