名物学園長のいる学園において大宮司峡哉(変更不可)の立場は微妙だった。科学部に所属し、幾多の発明をしながら一向に認められない。それどころか学園に入学できたことすら学園長の息子ゆえのコネだとまで言われる始末。
そんなある日、朝礼で科学部が大会の結果について表彰されることになり、峡哉は途中退場したにも係わらず自分が対象だと思い込んだ。結果は言うまでもなく、表彰されたのは部長であった。絶望した峡哉は完全な逆恨みから復讐を計画する。
そして、そのための第二科学部が誕生した。
softhouse−seal GRANDEEの新作はやはり、自社の低価格タイトルをフルプライスに相応しいボリュームに作り直したもの。位置づけとしては続編扱いになっています。
購入動機はこのスタイルによる開発方針に興味を持ったから。原画が気に入ったから、という副次的な理由もあります。
初回特典は前作である「轟け性紀の大発明〜愛と怒りと悲しみの秘密結社・第二科学部〜」。予約キャンペーン特典は立ちCGが変化するボディペインティングパッチ。エロ方向だけではない遊び心が感じられます。
それほどたいしたものではありませんが修正ファイルが出ています。快適に遊ぶためにあてておきましょう。
ジャンルの基本はアドベンチャーですが、ちょっとだけゲーム性のようなものがあります。部活動ごとに支配率が設定されており、これを上げることで様々な発明品を開発できるようになったり、イベントを発生させることができるようになります。実際の上げ方はコマンド選択なので特に難しいところはありません。ゲーム開始時にはチュートリアルも用意されています。
イベントCGをアニメーションさせるGRANDEE☆アニメーションが搭載されています。ズーム、カメラワーク機能付きで非常に滑らかに動いてくれます。ハッキリとエロ度が向上。採用率も高くエロCG69枚(通常CGを除いたものを独断と偏見でカウント)中31枚で用意されています。鑑賞モードでシーン回想だけでなく、しっかりとムービー単体での鑑賞が可能です。
足回りはどうもGRANDEEの冠に相応しくない感じです。メッセージスキップは既読未読を判別して高速ですが、使用機会が非常に多い上に長いため相対的に遅く感じやすいです。選択肢後に継続してくれないのも地味に効いてきます。
バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能ですが、それほど戻ることはできませんし、この画面の使い勝手もあまりよろしくないです。ロード直後には使用不可。
ゲームの基本である第二科学部の画面が意外と不便です。ゲーム性のある作品にありがちなように本作でもこの画面ではバックログやクイックセーブ&ロードが使用できません。また、セーブ画面ではサムネイルが登録されますが、それがこの画面になりやすいことにも難儀します。項目に表示されるテキスト情報も少ないのでデータ内容の判別がしにくいです。
2周目以降にチュートリアルをシステム的に飛ばせないのはやはり不便に感じます。
ボディペインティング機能はアンインストールはもちろん、オンオフも可能です。
シナリオは良くも悪くも低価格ソフト基準。手軽に楽しめた前作のボリュームを増やしてみました、というイメージでほぼ問題ないと思います。ただ、その分だけ日常描写もヒロイン描写も微増というくらいなので気に入ったキャラが多ければ多いほど残念に感じやすい面もあります。
本作の基本はあくまで軽いノリです。けれど、やっていることは真面目に考えれば犯罪そのもの。物語ではそこを追求してしまっているので贖罪的な描写も出てきます。あんまり気楽ではありません。恐らくはここが前作との最大の違いでしょう。賛否が分かれそうです。
ここに関連してハーレムにも影響が出ています。主人公が反省すればハーレムはなく、反省しなければハーレムはある。つまり、メインヒロインたちのハーレムルートはありません(サブヒロイン含む)。あるのは立ちCGのない一発勝負の部活キャラのみです。しかも、ルートではなくエンドのみですが。
わざわざ書く必要もないくらいですが惹かれ合う過程はありません。
Hシーンは前作よりも明らかにエロ度が上昇しています。発明によるシチュエーションもより活かせるようになりました。発明品からどんなシーンになるか楽しみになるようなことも。
CGはシチュエーションと構図が相乗効果を生んでいます。発明品やその効果がCGに出ていることも多く、それでいてエロさもしっかり担保と本作ならではのらしさをしっかりと打ち出しています。差分も多いです。ここに効果的なアニメーションが加わるためエロ的な完成度はかなり高め。ただ、一部のアニメでは構図のために瞳が歪んで見えるものがあります。
立ちCGはカットこそ悪くないもののポーズ変化がなく、表情変化が控えめでSD表現などもないためにどうしてもイベントCGに比べて劣る印象があります。
音楽はフルプライス作品にしてはかなり少なめです。馬鹿ゲーであることを考えるとちょっとおとなしいくらい。一部の曲でまるで壊れた楽器で奏でたような旋律があり不安に感じることも。調子っぱずれな、ということなんでしょうか。
ボイスはヒロインのみフルボイス(チュートリアルを除く)。男性キャラ及び名前のないキャラにはありません。演技の方は問題なし。キャラの個性を感じやすい様々な声質が揃っています。
まとめ。発展途上の作品。真のGRANDEE化にはまだまだといった感じですが現状でも光る要素は多いです。この企画形態は興味深いので今後も見守りたいところ。リアルタイムに買った低価格タイトルがGRANDEEになるともっと嬉しくなるかもしれません。その場合、初回特典は微妙ですが。
お気に入り:高良月乃、佐原空希、中平唄葉、不知火輝穂
評点:70
以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。
1、笹乃瀬風璃
とにかく驚かされる続編へ繋いだ時の設定。確かにエンディングのひとつではありましたけど、プレイ中に明らかになるまではまさか、でした。恐るべきふたなりペデュケア。ただ、キャラとしては風花と祭璃、2人で1人という扱いになってしまい、その点は残念。キャラ的にも掴み所がなさ過ぎる感じ。
2、高良月乃
最初は魔法少女つながりで祭璃の娘かと思ってました。
プレシャスムーンの出番は多い反面、月乃としての出番が少ないのはもったいない。本作の日常描写の少なさが最も響いてしまっています。主人公が言うような怖い存在にあまり見えません。よってせっかくのギャップ効果がイマイチ。例え見え見えでも怖いお姉さんが実は……、というのが効果を生むだけに。
3、水原さらら
母娘ともに非常に特徴的な名前なのでどのキャラよりもつながりがわかりやすい。前作ではとても気楽なノリでイタズラされているだけだったのになぁ。親子で実家から放逐されているって重すぎますよ。主人公が婿入りするだけじゃ責任とれないよ! オヤジはせめて足長おじさん的なことくらいしているのかと問いたい。
4、佐原空希
くーきに比べれば風璃もさららもましです。父親もしくは父親代わりという存在がちゃんといるんですから。正真正銘、父親的存在がいないという悲しきくーき。もしかしてクローン的な存在だったりするんでしょうか。まさか存在感が薄いのはそのせいだったりして。
5、中平唄葉
誰の血も引いていないので最初は拍子抜けの唄ちゃん。先生のせいか人一倍ひどいことをされているように見えます。個別シナリオの主人公は痛すぎました。
鍵がロリングストーンであったり、年上キャラであるあたり、血は引いていませんが前作の桜的なポジションなのかもしれません。なんとなくシナリオにリベンジ的なものを感じますし(まぁ、桜にシナリオはないですが)。
6、長谷川陽波
なんか存在が謎。輝穂にもそうした面はありますが、一体どういう目的でデザインされたのかもうひとつわからない。つーか、イベントが3つってその時点で色々とねぇ。まぁ、中身が面白かったのが救いです。
7、不知火輝穂
こちらは逆に出番の少なさがもったいない。デザインも秀逸なだけに惜しまれる。もうちょっとプレシャスムーンと月乃に絡めても面白かったように思います。それにしても、あれだけの目に遭って月乃の膝枕で清算どころかプラスに転じる輝穂ってすごいなぁ。
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