東京農工大学厚さ0.1mmの超薄型携帯用ポリマー電池を開発した。
携帯末端むけの次世代型充電式電池で、需要が急増中のリチウムイオン電池などに比べ蓄電能力や充電性能が高く衝撃に強い。さらに樹脂製品のように製造コストが安い。
ポリマー電池は、有機硫黄化合物の正極と
リチウム金属の負極の間に高分子ポリマーを挟み込む三層構造で、正極の主要素材である導電性ポリマー、ポリアニリンなどに新たにポリピロールを混合したり、電極の集電基板を炭素材から銅に変更するなど従来技術を飛躍させた。
ポリマー電池の重量当たりの蓄電能力はリチウム電池の1.5倍、ニッケルカドミウム(ニッカド)電池の3倍。電圧は3.5ボルト。充電回数は200回以上、1時間以内の急速充電もできる。技術改良により、高電圧駆動と長時間稼働が求められる携帯電話やノ−トパソコン用主電源の実用化のメドがついた。
従って、搭載される携帯末端の形状や大きさに合わせて加工ができるので用途の幅が広い。電極材料は溶解、乾燥、成型に製造行程を簡素化し大量生産できる。
現在主流の充電式電池の価格が1個百円〜千円以上なのに対し、ポリマー電池は1個百円程度で、普通乾電池なみで販売できると試算している。
■リチウムイオン電池
正極のリチウム酸化物と負極の炭素材の間をイオンが往来して充・放電する高性能電池。
充電式電池の主力商品であるニッケルカドニウム電池の3倍の電圧を維持し、約2倍の電気容量を蓄えられる。
軽くて長持ちするので携帯電話やパソコンの小型軽量設計に役立つ主電源として国内、海外の携帯端末市場で注目。
リチウムイオン電池を事業化しているのは、世界に先駆け1991年に本格量産を始めた。ソニー他数社。
=1997/06=