コレラ菌は5分で死滅
古くから各地に伝わる民間薬を長年にわたり調査している徳島大学薬学部研究班では、梅肉エキスを使った殺菌作用の実験で、エキス中でコレラ菌が5分、腸チフス菌が10分、パラチフスA菌が20分、パラチフスB菌が30分、赤痢菌では60分で死滅したが、大腸菌は死ななかった。
同研究班では、梅干しには強い菌ほど早く殺す特徴がある。抗菌作用はさほど強くないが、整腸、殺菌作用もあり食欲を増進する。昔から病気に感染しにくい食品を食べる知恵を持っていたことは、驚くべきことと分析する。
また、民間薬調査の中で「猿の肉の味噌漬け、塩漬け」に注目した。
徳島県の山間部などでは、急性熱性伝染病や原因不明の病気になるとその猿肉の一部を刻み、味噌汁の中に入れて食べ、赤痢や疫痢などの治療に役立てているという。しかし、最近ではこの方法はほとんど見られなくなったが、約15年前くらいまでこの習慣がどの家庭にも残っていた。
かなり強烈な効果があったのではないか。冷やっこや湯豆腐の上に置くスリショウガ、うどんやそばの薬味の刻みネギ、赤飯の上に添えるナンテン、お重に入れる黒豆、梅干しを漬ける時やてんぷらに必ず使うシソなど、古くから無意識に行っている食事や健康の知識を思い出し、最適な利用方法をすべきと同大学研究班はいっている。
細菌死滅の表面温度と加熱時間の関係
例えば、O157菌は熱に弱く、75℃で1分以上加熱すると死滅する。
肉類の料理法は大別して焼く、ゆでる、煮込む、揚げる、蒸すなど5方法ある。
- 網焼きやフライパン焼きでは高温に熱せられた鉄板や空気に触れることで表面温度が200℃を超える。
- 油で揚げる場合は180℃になる。
- 煮込む料理で75〜100℃になる。
- ゆでる、煮込むは、じっくり熱を加えるため、肉は十分火が通った状態になる。
=1997/06=