気温500℃、気圧90、濃硫酸の雲
「一番星見つけた」太陽が沈んだ後、西の空に現れる金星。明けの明星あるいは、宵の明星と呼ばれ人々に親しまれてきた。欧州では女神ビーナスと呼んでいる。
この金星は望遠鏡の倍率をどんなに上げても、厚い雲に覆われ表面は見ることができなかった。自転の周期すら長い間分からなかった。
1960年代の初めにレーダーを金星に向けて発射し、その反射波を調べた。驚いたことは、金星は地球とは逆向き右回りに自転していることが分かった。
金星と地球と火星は大きさが似ている。他の惑星に比べると同じような所に並んでいるので兄弟のように生まれてきたのであろう。
それならば逆向きに自転しているのがなぜであろう、不思議である。
推測するに金星が誕生したばかりの頃、何か大きな塊が衝突し、星体がひっくり返ってしまったのではないかと想像されている。
アメリカ、ロシヤの相次ぐ天体探査機による観測で明らかになった金星表面の素顔は、気温約500度、90気圧でなお、濃硫酸の雲が浮いているというから、恐ろしいほど厳しい環境の星といえる。
=1997/05=