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深谷元継著(国立名古屋病院皮膚科医師)
定価1700円 |
アトピー性皮膚炎患者の中には、ステロイド(副腎=じん=皮質ホルモン)剤を長期間塗り続けた結果、中止すると強いリバウンド(症状の悪化)が現れる人がいる。著者は、こうした患者のステロイド離脱に立ち会った経験の豊富な皮膚科医。本書では、患者がステロイド依存に至る経緯から、リバウンドの経過、離脱後の様子までを、体験談や実践的な情報を交えて紹介。注意すべき感染症や合併症、悪化要因やかゆみなどへの対応についても解説。患者向けに、平易な言葉で書かれているが「離脱を経験したことのない皮膚科医にも読んでほしい」と話す。『中日新聞』1999.7.30夕刊
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M・チョスドフスキー著/郭 洋春訳
定価3200円 |
IMFと世界銀行による構造調整の衝撃を検証。アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、東欧など100余りの債務国に課された経済引き締めは、失業、低賃金、通貨下落をもたらし、数億の人々を絶望の淵に追いやっていると説く。『週刊読売』1999.6.20
話題を呼んだバイアグラのスピード承認からほどなくして、経口避妊薬である低容量のピルが解禁されることとなったのは記憶に新しい。多くのマスコミもこのニュースを取り上げたが、その内容は解禁歓迎の色合いが濃く、本書が取り上げたようなピルと発ガン性の関連、さらにピルの成分に生体をかく乱する「環境ホルモン」が含まれるといった疑いについての報道は、ほとんど見受けられなかった。現段階では因果関係を立証できないと言ってしまえばそれまでだが、ならば今までの規制は何だったのか、との疑問が残る。
ピルだけではない。本書はほかにも、焼却炉から排出されるダイオキシンをはじめ、医薬品から生活用品、建築資材などに含まれる化学物質と、その周辺で発生している各種のガンや化学物質過敏症に代表される疾病・症状を詳しく紹介している。
化学物質による人体への影響は、いまだ解明されていない部分も多い。だが消費者優位の時代を迎え、化学物質をめぐっては、つくる側、売る側のリスクが高まっている。ひとたび因果関係が認められればその賠償負担、倫理上の責任は製造業者はもとより販売を承認する行政など、製品を世に送り出す側を足元から揺るがしかねない。 ではどうすれば、消費者もつくる側も、安全で快適な環境を教授できるようになるのか。この点について本書は、上述したような警告を発するだけでなく、環境対策の先進国であるドイツの取り組みを記しており、興味を引く。
すでにドイツでは、包装材の回収・リサイクルの仕組みが大規模にネットワーク化されている。さらに、リサイクルにかかるエネルギーとコストそのものを削るために、製造段階からゴミを出さないようにする「発生抑制」から始まって、容器そのものをそのまま再利用する「リユース」への動きも盛んだという。
今後、こうした環境運動が必要になるであろう日本の読者としては、一連の取り組みを実現させるために、ドイツがたどったプロセスも知りたいところだ。その点は次回以降の著作に期待することにしよう。(経済ジャーナリスト 杉上晴美)『日経エコロジー』創刊号 7.1999
個々のいじめ事件が起きるために、断片的な事件の概要が伝えられ、時には子どもの遺書などもわずかに新聞記事から知ることはできたが、その全体像は見えにくかった。それが、本書によって、くっきりと浮かび上がった。子どもたちによって残された悲痛な叫びの全文を年代を追って読むことができたのは、感動だった。いじめに関する資料を探すときにも、これ1冊あれば心強い。時代を反映した子どものいじめ事件は、わたしたちに今がどういう時代なのかを痛切に教えてくれる。(森 雫)「女も男も」1999春号
札幌の異業種交流グループが、中小企業向けの雇用対策や起業化支援などに関する助成金の活用ノウハウをわかりやすくまとめた「返済不要 資金獲得マニュアル」を出版した。平成4年12月に発足した「ちくじん」(上家二三夫代表)は、経営コンサルタント会社経営の上家氏が主催する人脈交流会。会の名称は人材を蓄積する意味を持つ造語で、生保、外食、旅行、コンピューターなど異業種のメンバー14人で組織する。……同書は、役所に出向く心構えや複雑な申請手続きをわかりやすく解説するとともに、雇用対策、高齢者対策、職場環境対策、教育訓練対策、起業化支援など、中小企業が活用できる50件の制度を分野別に紹介している。「北海道建設新聞」1999.4.15
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アン・ディクソン著/竹沢昌子 小野あかね監訳
定価2000円 |
女性たちに、生きる勇気と希望を与えてくれそうな貴重な1冊。自分に自信のもてない女性や、家庭、職場、学校などでの対人関係に悩む女性など、多くの方に一読をお薦めしたい。
本書の明快で「わかりやすい」文章は、著者がすでにこのプログラムを用いて長年にわたり、教育実践を重ねてきた豊富な経験の蓄積によるものだが、同時に、訳者らの功績が大きい。読むものにとって違和感のない、こなれた日本語に翻訳されており、著者のみならず訳者らの女性たちへの熱い思いが伝わり、読むものを元気にさせてくれる。
臨床家として注目したのは、この教育プログラムが単に「教育」にとどまらず、「セラピー」としての意義や価値を大きく持つものになっている点にある。……
個人的には、自助グループが陥りやすい陥穽への危惧や懸念もあり、本書に基づきアサーティブネス・トレーニングを実践する方が、よほど役に立ち、自信を取り戻せる女性も多いのではないかと感じる。(竹下小夜子・精神科医、さよウイメンズ・メンタルクリニック院長)「沖縄タイムス」1998.12.4夕刊
この本は著者の勤める女子校の道徳や性教育の時間に、「援助交際」を取り上げて生徒たちと一緒に考えた、授業の実践記録という面もある。実践記録というと、とかく堅苦しいイメージがあるが、著者自身の生き方にもからめながら体当たりで生徒に向き合う姿勢が伝わってくる。マスコミは少女がオヤジ狩りするように扱うが違う。
「大人の男から卑猥な言葉をかけられたり、商品のように扱われている」「電車の中で体を触られただけで少女の心は傷ついているのに、そのうえ、お金で自分の体を売らないかと持ちかけられるのだから、少女のプライドは、更に深く傷ついてしまっている」
など、中・校生の性を買う日本独特の男性社会の様相を、女性として批判する筆致にもそれが現れている。(小川吉造)「内外教育」1997.10.24(No4864号)
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