●コンテンツファンドと投資家保護ルール 〜その1〜
コンテンツファンド、と一口で言っても、様々な組成形態があります。それゆえ、現在、投資家保護のために必要な開示などのルールは、商品形態、それも実質的な投資対象ということではなく、どちらかというと、組成された仕組み(≒ビークル))ごとに違っているのが現状です。
これは、「3.様々な コンテンツファンド」でも見られるとおり、一口でコンテンツファンド(つまり、投資対象が映画や音楽やゲームのようなエンターテイメントに投資するもの)と言っても、調達資金の額や想定する投資家、あるいはコンテンツの特性によって、様々な商品形態が考えられうるため、実質的な投資対象で投資家保護ルールを規定することが難しいためです。
また、現行のファンド(※)に対する現行の規制は、縦割り行政の弊害ともいえますが、所管官庁が管轄する組成・仕組みの形態によって管理されているため、組成・仕組みによってルールが違っている、という側面が大いにあります。
なお、実質的な投資対象の中で「映画」については、特殊な考慮がされています。
※一般的な意味で使用しています。要は、あまねく資金を集めて資産運用または流動化を行い、それを小口化して投資家に還元するすべての商品(=「集団投資スキーム」などと呼ばれます)を指しています
各ビークルごとの根拠法令や開示レベル感を以下に例示します。
コンテンツファンドの実例(注1) |
スキーム |
根拠法令(注2) |
法令の所轄官庁 |
開示レベル(注1) |
証取法の開示(注3) |
ほとんど無い |
投資信託 |
(委託者指図型) |
投信法 |
金融庁 |
重い |
◎ |
皆無 |
(委託者非指図型) |
皆無 |
投資法人 |
皆無 |
特定目的会社 |
資産流動化法 |
金融庁 |
皆無 |
特定目的信託 |
多い |
商品投資契約(注4) |
組合型・LPS |
商品ファンド法 |
金融庁/経済産業省/農林水産省 |
× |
多い |
信託型 |
ほとんど無い |
投資事業有限責任組合(日本版LPS) |
投資事業有限責任組合法(ベンチャーファンド法) |
経済産業省 |
やや軽い |
△ |
ほとんど無い |
有限責任事業組合(日本版LLP) |
有限責任事業組合法(LLP法) |
経済産業省 |
多い |
匿名組合 |
商法 |
- |
古くは多い |
任意組合 |
民法 |
- |
少ない |
信託(※複合タイプを除く) |
信託法 |
金融庁 |
注1:厳密な比較データが無いため、書籍などから見たとるじいやの主観です
注2:法令正式名称=証券取引法。投信法=投資信託及び投資法人に関する法律。資産流動化法=資産の流動化に関する法律。商品ファンド法=商品投資にかかる事業の規制に関する法律。投資事業有限責任組合法=中小企業等に関する投資事業有限責任組合契約に関する法律。有限責任事業組合法=有限責任事業組合契約に関する法律
注3:◎は有価証券。△はケースによって有価証券にみなされる場合がある。なお、開示規制は「公募」「私募」の違いによっても大きく異なる
注4:現行の商品ファンド法ではコンテンツのうち「映画」のみが対象
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