『真夏日とセーラー服(仮)』驟雨・続01

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 かくんと身体を傾ける電車の揺れに香澄は目を醒ました。
 四人掛け席が並ぶやや古びた車内に強い日差しは香澄の席とは反対側の窓からであり、もしも直接浴びていれば眠り続けてはいられなかったであろう。少女の視界に映る限りは乗客もまばらだった。視界を遮る高層建築のない空には入道雲が遠くに見え、田園風景とまではいかないものの車窓から見える町並みもどこか寂れており、駅前に立つ小さなデパート周辺だけが妙に新しく風景に馴染んでいない。
《――次は終点ー、お忘れ物に御注意下さい》
 あの男子トイレから記憶がない香澄は一人きりの四人掛け座席にも通路を挟んだ隣の座席にも男達の仲間がいない状況に安堵の息をつき、そして自分の姿を見て困惑する。平凡な夏用のセーラー服だが少女の知といる制服ではなく、そして校章なども付いていない。自分で着た記憶もなければ三人の同級生の精液に塗れた身体も綺麗に拭われ石鹸の匂いすら漂い、極薄の露出過多な服を与えられていた時と比べれば雲泥の差だった。だが腿の中央の辺りまでの丈のプリーツスカートは今時の女生徒としては平均より長いかもしれないが香澄としては短く、すらりとした白い腿が見える違和感に思わず裾を膝へと延ばしてしまう。
 ちりん。
 この数日嫌という程聞いている鈴の音が小さく鳴り、クリトリスを挟むニップルリングの妖しい痛痒感と、片耳に掛けられている通話機が少女を過酷な現実へと引き戻した。眠っていた間も施されていたであろうニップルリングの疼きによるものか、ぐびりと蠢いた下腹部の奥から溢れた粘液が膣口から溢れる感覚に香澄は赤面し縮込まる。セーラー服は着ているものの下着を着けていない。丈の短いスカートに粘液の泌みが出来てしまわないか、いや電車の座席に付着してしまわないか不安になる少女を乗せた電車は減速を始め、かくんかくんと身体が前後に揺れる度に腰を突き上げられる身体の記憶ととろりと滲む粘液の感触に俯く。駅に着いたらすぐにトイレに向かい拭わなければならない。
《香澄ちゃん起きた?ちょうどいいタイミングだね、よく休めたかな》
 不意に通話機から聞こえた声に少女の全身がびくりと強張る。通話機とニップルリングがあると言う事は支配下から逃れられていないのだと判っていても、人はどうしても期待をしてしまうものだった…やはりと思いながら視線を彷徨わせた少女は幾つかの鞄が不自然に置かれている状況に項垂れる。
《まずはさ、通路に立って》
 そろそろ停車間際なのか何人かが扉に向かう気配のする車内に、香澄は俯いたまま立つ。最後方に近いらしい車両は駅の階段との位置が悪いのか乗客の殆どが香澄とは逆の前方に集中していた。集中と言っても郊外行きの電車の終点らしく乗客は十人といないだろう。それにしてもセーラー服姿であっても香澄には切符もハンカチも荷物は何一つなく、せめて空でも鞄があれば格好がつきそうなのだが、手荷物のない姿はどこか違和感があった。靴も普通の革靴かと思っていたが五センチ程のヒールがあり、歩きづらい。人の少ない場所にやや安堵する香澄の視界に、車両の反対側で肘置きに不自然に鞄を置いている男の姿が映り、身体が凍り付く。距離にして五メートルはあるが、その目と鞄は香澄に向けられていると判るのは同級生の前に男子トイレで犯した男の一人として見覚えがあったからだった。
《はい、スカート捲りあげて》
「そ……」
 乗客には明らかに無関係そうな中年女性や老人が含まれており、彼女等は男と香澄の間におりいつ降車の為に移動を始めるのか判らない。いっそ終点に到着し無人になってからではいけないのだろうかと考える香澄の耳にちりちりと鳴り続ける鈴の音が聞こえる。電車の揺れの為だろうか、いいや、震えている身体に鈴は反応していた。
《早くしないと駅に着くよ》
 男の声に、香澄は何度も呼吸を繰り返してからスカートを両手に持ち、そろそろと持ち上げていく。減速の不定期な揺れの中、腿の半ば程度の丈のスカートの裾が上がり弱冷房の空気中か白い脚をゆったりと撫で、そして下腹部の脚の間の隙間をすり抜けた。どくんと身体が脈打ち、鈴が鳴る。無関係な人間のいる車内は見通しがよく、もしも誰かが香澄のいる方向を見たら自らスカートを捲り上げている姿は探すまでもなく見えてしまうだろう。香澄の身体の芯で熱くもどかしいものがうねり、拭われていた下腹部の溝にとろりとした粘液が染み出していく。外は暑いのだろうか、少し牧歌的な裏寂れた駅前の景色が流れていく速度が落ちていくのを感じ、浅く乱れた呼吸を繰り返す香澄の瞳に涙が滲み、膝が小刻みに震える。
 気付かれたら忌避する様に無視して貰えるのだろうか、それとも叱って貰えるのだろうか…もし駅員に突き出されたらそこで香澄の恥辱も終わってくれるのかもしれない。露出癖のある頭のおかしな女扱いで通報されれば両親はどれだけ悲しむだろうか、ただひたすら気付かれずに過ぎていけばそれが一番いいのだろうか?何が正解なのかが判らなくなっていく。
 がくんがくんと停車間際の小刻みな減速にふと逆の窓へと視線を向けた香澄はホームで停車を待つ人々に凍り付いた。
 今乗っている電車は終点で折り返すのか、滑り込むホームにはサラリーマンや学生の姿があるものの、夏休みな上に通勤時間からはずれている為か人数は少ないが、停車間際の速度は人間の駆け足程度で香澄と人々の視線はしっかりと合ってしまう。スカートを自ら捲り上げ下腹部を露出している姿は進行方向を向いているのだから、彼らには顔も下腹部も同時に視界に入ってしまっているであろう。
「い……ゃっ」
 慌ててスカートを下ろすとほぼ同時に電車が停車し、扉が開き目に前で整列する人々を避けて香澄はホームへと飛び出した。
《駄目だよ香澄ちゃん》
 走りにくいヒール付きの革靴にバランスを崩しかけても今痴態を見られてしまった人々から隠れようとした香澄は通話機からの声にびくりと立ち止まる。痴態を目撃した為か、飛び出してきた女子に驚いたのか整列したままの何人もが自分を見ているのを肩越しに見、香澄は泣きそうになる。
《反対側のホームに並ぶフリして立って》
 停車位置から殆ど移動出来ていない場所で立ち止まるのは、整列最前列の人々には今露出していた娘がそのまま堂々と居直っていると思われてもおかしくないだろう。弱冷房の車内から飛び出した屋外は暑く、香澄の立つホームは陽向で屋根の日陰の恩恵には与れなかったが、どこか土と草の匂いのする風はやや強く下腹部の匂いを誤魔化して貰える気がしてほんの少しだけ香澄は救われた気がした。
《――の電車は車内点検実施中です。御乗車まで少々お待ち下さい》
 ホームに流れる放送に香澄は項垂れる。早く皆乗車して発車して欲しい、自分の恥知らずな行為などすぐに忘れて欲しい。がくがくと膝が震え、鈴の音が鳴り続ける。
《そのスカートの丈長過ぎかなー今時の子はもっと短いから目立つよねー》
「?」
《巻き上げようか、ウエストの所で調節するんでしょ?》
「わ…判りません……、した事ありません」
 確かに既製品の丈を短くする着方があるとは聞いているがワンピース式の香澄の制服では誰もその方法を実践しておらず、結果少しの知識も香澄にはない。首を振る香澄にとっては腿の半ばの現状ですら制服姿としては短く、そして下着を着けていない状況では到底正気の沙汰とは思えない。
《いいよ別に。書類ぶちまけるフリして香澄ちゃんのいやらしい写真大量に撒いてあげるのも楽しそうだから》
「そんな……!」
《最新作の同級生との熱烈ファックのもいいよね。ベロ絡めたり脚絡めたり仲が良くて羨ましいよ》
 走馬燈の様に記憶の断片が一気に脳裏を過ぎり少女に前進ががくがくと震える。逃げ場を失った同級生達の壊れた様な引き攣った顔とまるで処刑前の生の叫びをぶつける様な激しい性交と、巻き込んだ罪悪感故に限界まで彼らを受け止めようとした自分の淫らな行為は触れられたくないものだったが、彼等には絶好の脅迫材料なのだと思い知らされて香澄は何度も小さく首を振る。
「ウエストで…巻けばいいんですね……」
 項垂れたまま香澄はセーラー服のウエストへそっと手を伸ばす。香澄用に誂えたのではない制服は確かにウエストに余裕があり、内側に巻き込むべきなのか外側に巻き込むべきなのか悩んだ後、スカートが無惨に膨らまない為には内側から巻き込むべきなのだろうと推測した。隠れる様にホームに背を向けた体勢の正面を折り返し、思いの外短くなってしまうその差に身を強張らせる。ウエスト部分の芯を折り返しているのだから三センチ程だろうか、だがまるで十センチも捲った様な頼りなさに少女の頬が真っ赤に染まる。
 不意に強い視線を感じて肩越しに背後を盗み見た香澄は幾人もが自分を見ているのに気付き身を縮込まらせ。
《全部均一に上げないとおかしいよ》
 露出狂の様な真似事をした上、降車後に立ち去るでもなく誰も並んでいない側のホームで背中を向けて何か服を弄っているのでは不審人物と思われてもおかしくないだろう。真夏の強い日差しが腿に熱い。もう許して欲しい。普通よりスカート丈が多少長くてもいいではないか。でも少しでも目立たなくなるには仕方がないのだろうか。正面での一折りに合わせ香澄は左右を折り返し、そして背後も折り返す。
 ――座席に着いている時に腿の半ばと考えていたスカートが立てば実はそれより短く、たった一折りでもややきわどい場所にまで裾を上げてしまっていると、裾を上げる微妙な身体の動きが背後の男達の目にどれ程いやらしい動きに映るかを少女は気付いていなかった。まるで注目を求める様に強い日差しの中、セーラー服姿のすらりとした肢体がくねり、まるで焦らす様な躊躇いがちな細い指がこれ見よがしに元から短いスカートを更に短く巻き上げていく。上質な漆黒の髪とスカートの裾を風が揺らす、見るからに裕福そうな繊細で清楚な美貌が時折背後の男達を恥ずかしげに盗み見ている。少女は一人で自ら率先して行っているとしか思えない。痴女なのだと思えない羞恥に震える姿のその高い位置の腰の正面は、生白く何も生えていないと、男達は知っていた。
 ウエストを一周巻き上げ終えた少女の身体がびくりと震えた。
 そして、男達の目の前で、スカートは二周目を巻き上げられていく。
 服のリボンを整える程度ならば人前でもおかしくないだろうが、スカートの裾を巻き上げるのはせめて人目に触れず行うのではないだろうか…恥ずかしさに俯いたまま折り返す香澄はまた背後を盗み見てびくりと固まる。整列の最前列に近い男達が新聞や携帯を操作するフリをしながら自分を同じ様に盗み見ていた。やはり露出狂か何かと誤解されてしまったのだろうか、整列している男達は香澄が凌辱された上で脅迫され続けている事など知らないのだから無理のない話ではある。
 ぶるっと震える香澄の下腹部で鈴が鳴り続けていた。
《鈴を外したいかなぁ?》
 自分の心を読むかの様な提案に香澄は頷いた。少しでも目立つのは避けたい上に、クリトリスを強く挟むニップルリングの刺激は心臓が脈打つ度に抓られている感覚に似ており、香澄自身は気付いてはいないが白い身体は妖しく身悶えセーラー服姿の腰を時折背後に突き出しては左右にくねり、風が夏服の軽い素材の裾を揺らす度に腿の付け根を微妙に晒け出していた。
《外していいよ、今、ここで》
「え……?」
 駅舎のトイレなどで外されると思っていた香澄は男の声に不安と羞恥に濡れる瞳を左右に向ける。寂れた郊外の駅はそれでも終点になる程度には近隣拠点なのだろう、ホームに併走する数本のレールの向こうの錆びたフェンスや看板の先には三階建て以下の小さな雑居ビルやバス停が見えそこには人影が見える。わざわざ駅を眺めている者などいないだろうと思っても、緊張に少女の膣口がきゅっと締まり愛液を溢れさせた。
 はぁっと熱く甘い震える吐息が漏れ、香澄はゆっくりと指を下腹部へ下ろしていく。夏の強い日差しの中、白い肌を照らすその熱は物質的に撫でられている様ですらあり、ブラジャーを着けていない白い生地を突き上げる硬くしこった乳首を鴇色に浮かび上がらせ、両手を下腹部に延ばす腕は左右から豊かな乳房を絞る形にさせ張り詰めた胸元は乳首の形と乳輪を更にはっきりとさせる。今乳首にはニップルリングを填められていないと言うのに酷いもどかしさに少女は僅かに仰のき身震いした。摘まんで欲しい、噛んで欲しい、引っ張って欲しい、いやらしく弄り回して辱めの言葉を浴びせながら抓って欲しい。ぞくぞくと全身がざわめき香澄は乳房を挟む両腕を無意識に絞っては弛めて淫らに弾ませ、布の圧迫感に呼吸を荒げてしまう。
 密かに裾を上げて潜り込ませようとした指が想像以上にあっけなく裾を越え、香澄はスカート丈が下腹部の丘を隠しきれているか怪しい程に上がっている事に気付き慌てて背後を見てしまう。至近距離で上から見れば判らないかもしれないが、離れて見れば腿が丸見えなのは当然だが下着を着けていない秘めるべき場所が見えてしまっているかもしれない。腿やその内側を照らす陽光の熱がそのまま男達の視線の様に感じられ、少女は腰を精一杯引いてみるが、それは靴の踵で高い位置になっている腰を更に高くさせ腰を覆う短過ぎる布を揺らすだけだった。
 帰りたい。恥ずかしさに縮込まる香澄は膝を震わせながら捲る必要のない裾の内側へと指を進め、そして唐突に指先がクリトリスに触れた。
「は……ぁんっ!」
 敏感な肉芽から頭の芯や爪先まで突き抜けた強烈な刺激に香澄は全身を跳ねさせる。びくびくと痙攣する身体を堪えられないその奥で膣口が蠢き、熱い日差しを浴びている白い内腿がはっきりと戦慄く。ぬるっと指先を滑らせる愛液を恥じらいながらクリトリスを挟む金属の輪を掬おうとするものの、指は腫れた突起を自ら捏ね回す様に左右に滑り、転がされる鈴の音と掻き混ぜられる愛液の粘液音と喘ぎを堪える妖しく震える声が風に乗る。このまま続けたくなる切なさに泣きそうになりながら指先でニップルリングの輪を摘まもうとする指が滑り、焦りが更に指の動きを慌てさせた。
 小刻みに鳴る鈴と肌を撫でる熱い日差しに香澄の身体がびくびくと跳ね上がる。クリトリスを捏ねる指の刺激に膣口が卑猥に蠢き、苦悶に近い淫らに堪える表情になってしまう少女の口元がだらしなく弛む。挿れられていない。熱くて硬いもので犯され続けた牝肉は牡の形を思い出して淫猥に蠢き牡を求める動きを繰り返す。犯されていない安堵である筈の実感は暗く煮え立つ疼きとして少女を喘がせる。
 きっと今も撮影されている、どんな角度で?きっとぐちょぐちょに濡れているおまんこもクリトリスを擦ってしまう指も全て、画像を確認している人は嗤って香澄を蔑んでいる、いやらしい女、おちんぽ狂いの女、無関係の人達に見られながら腰を振っている女、乳首痒い、吸って、噛んで、荒々しく掴んでおっぱいたぷたぷ揺さぶって、見てる、あの人もあの人も、驚いた顔…でも牝を見る目、見えてる?あの人達にもぬるぬるのおまんこ見えているの?誰かが物陰に引きずり込んでまた犯されるの?酷い言葉を浴びせながら愛撫もないまま貫かれるの、避妊具も着けて貰えないまままた生で犯されて、熱くて太いおちんぽ、根元まで深く挿されて背後から乳首抓られて、犯されているとはっきりと周りに判る猛々しく逞しい動きで激しく腰を打ちつけられて、奥を何度も何度もずっと突かれて、いってもいっても休ませて貰えないで、おちんぽ好きと言わされて、奥で射精される、腰を抱え込む男の人の手が怖くてこわくて逆らえなくて、最後の一滴まで注ぐから悦べと言われているみたいな、逆らえる筈のない手、支配している手、熱い精液、身体の奥でじわっと広がる熱…満足して貰えた証、いやらしい牝への御褒美……。
「くぅ…ぅぅ……んっ……はああうっ!」
 指先に掛かったニップルリングの輪に、蕩けきっていた少女の理性が一瞬にも満たない悲鳴を上げ、具体的な事など考えられないまま鳴き咽びながら力任せに引いて外す香澄の唇からいやらしい喘ぎが溢れた。絶頂に跳ねるしなやかな肢体の革靴の間にぽたぽたぽたと雫が弾ける。焼けたコンクリートに滴った液体の沈んだ色の不定期な水玉模様を濡れた虚ろな瞳で見下ろしながら全身で息を付く香澄は、ねっとりと愛液に濡れた指とニップルリングをどうする事も出来ずに立ち竦む。脈打つ度に乳首とクリトリスが痺れた様に疼き、空虚な膣内が物欲しげにしゃくりあげ、このまま倒れたい堪らない脱力感に襲われながら、無意識にぼんやりと背後を見た香澄は男達の視線に気付き、すっと血の気が引いていくのと自分の行為への自己嫌悪と羞恥に膝が震え出す。
《さぁてそろそろ車内点検が終わるから列に並ぼうか》
 指に掛かったままだったニップルリングをぎゅっと握り締め、香澄は小さく首を振る。自分が何をしてしまっていたのかを恐らくは判ってしまっている男達と同じ車両に乗り込むのは恐ろしい事の引き金になる予感に、少女の歯の根が合わずかちかちと音を立てる。
「許して下さい……」
《そんな事言ってもオナり始めたの香澄ちゃんだろう?しかも譫言でおちんぽとか噛んでとか大盛り上がりでさぁ》
「……」
《いい画だから普通のエロ動画サイトに流出させちゃおうかなぁ。君みたいな素人の綺麗な子が人前で潮吹きオナニーとか悦ばれるよーきっと》
 サイトの違いなどは疎い香澄には判らないものの、インターネット流出が更にエスカレートする可能性に香澄は項垂れて啜り泣く。
《じゃ、香澄ちゃんのオナニーの見物人が一番多かった…一つ左側の列に並ぼうか》
 まだ足取りの怪しいまま指示された列の最後尾へと向かった香澄は、乗車直前に関わらず自分の後ろへと不自然に並び直す複数の男にぞくりと背筋がざわめき俯いた。
《ドア開きます》

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