2020余所自作70『透明人間』

表TOP 裏TOP 裏NOV 69<70>71 BBS

 冗談の様な都市伝説が最近流れていた。
【透明人間に犯される間は抵抗できない】
「――だって」
「有り得ない。大体透明人間って何よ、透明な部分って眼球まで透明になったら目ぇ見えないし。血液とかは透明なの?まぁ自分の血液は透明としてご飯が不透明ならそりゃもう悲劇よー」
「あははは大腸でウンチ露出プレイ。どんなレベル高い話ー?」
 賑やかに話しているクラスの中でも騒がしい女子達の話を聞きながら蜜は頬杖をついたまま軽く天井を見上げる。蜜としては透明人間よりも【抵抗出来ない】が気になってしまう…抵抗出来ないと言うのはどういう事なのだろう。時間停止状態になって動けないのか暗示にかかるのか、周囲はどうなるのだろうか。小説や映画の世界ならば戦えるのに何故そんな尾鰭がつくのか理解が出来ない。更に考えようとした瞬間、四時限目の始業のチャイムが鳴り蜜は小さく首を振ってあまり意味のない思考を切り離した。

 生徒会副会長の優等生で通っているものの蜜の腰まで届くしなやかな髪は明るい栗色でぱっと見は遊んでいる女子高生にしか見えないらしく、帰りが遅くなると変なサラリーマンなどに声をかけられる事が少なくもない。豊か過ぎる乳房も整った顔立ちもそれに拍車をかけている…だが蜜自身はどちらかと言えば目立つ事の苦手な引っ込み思案な性格をしている。あまり口を開かない人間が何故生徒会副会長にまでなってしまったかと言えば、口数が少ないのに何故か妙に存在感がある為にその場を支配していると誤解されている為だった。
 疲れた。昨年末から流行した病気の為に学校の予定は滅茶苦茶になり授業時間不足を誤魔化す様な試験とレポートが毎週の様に押し寄せてくると授業についていけない生徒も増え、そうなると補習も増え、学校への不満を訴える者も出てくる。本来生徒会と授業関連は関係がない筈だったが部活連から学校側への苦情の間のワンクッションとして振り回されていた。高校生の下校時間としては問題外の22時。蜜は漸く乗った電車の中でふうっと息をつく。
 本来ならばこの時間帯は普通の帰宅ラッシュも終わりかけ残業と飲み会帰りのサラリーマンでやや混んでいる筈だったが、リモートワークが進んでいるお陰か都心から遠くのベッドタウンへ向かう電車内に人は少なく、蜜はドアの横の座席にあっさりと座る事が出来た。
 学業が本分の筈なのに補習に引っかかるのが悪い空手部主将のいかつい顔を頭の中から追い出しながら瞳を閉じた蜜は、疲れの為に急速に眠りに落ちていく。

 寒いし、熱い。
 んっと小さな声を漏らして瞳を開けた蜜はまだ都心のビル群の中を進んでいる車窓の光景に息をつく。寝過ごしてはいないらしい。
車外の見覚えのある光景から察するにそろそろ郊外へ出る辺りで、そうなると停車間隔が伸びて、これ以上混雑する事はない。蜜の家へはこの電車で小一時間かかる新興住宅地にあり、腕時計のアラームは無音のバイブレータにしてあるから乗り過ごす事はまずないが、この時間で寝過ごしてしまうと帰りの電車がかなり危ない。もしも終点まで行ってしまおうものならば帰りの電車はない。ふうっ息をついた蜜は、自分の胸元を見下ろしてぎょっとする。胸が、はだけている。ブレザーの胸元を突き上げる豊か過ぎる乳房が目立つもののきっちりと着こなしている…筈だったのが、ブレザーとブラウスが、まるで乳房を避ける様にはだけ切っていた。胸の釦が外されブラジャーに包まれている巨乳が電車の灯りに晒されている。かあっと頬が熱くなり、慌てて胸元を隠そうとした蜜は次の瞬間、凍り付く。
 乳房が、ぐにゃりと揺れた。
 身体を動かした為に揺れたのではなく、まるで下から持ち上げられたかの様に乳房が形を歪め、そして蜜の乳房には圧力がかかっていた…まるで誰かの手が蜜の乳房を掴み、揺さぶっているとしか思えない刺激の中、アイボリーのブラジャーに包まれている蜜の乳房がぐにゃぐにゃと異常な動きを繰り返す。
『何……これ……』
 呆然としていた蜜は慌てて乳房の上の何かを振り払おうとするが、その手は空を切る。例えば、そう例えば痴漢が揉みしだいているのだったらその位置にある筈の手は存在せず、だが、蜜の乳房を甚振るかの様にぐいぐいと揉みしだく指の食い込みとしか思えないくぼみは確かに手の形で歪んでいた。
『何……?』
 ブラジャーの上から乳首を摘まみ上げられ、びくんと蜜の身体が震える。男性経験は皆無ではない、だが外見で言い寄ってきた男達は蜜の口数の少なさにいつの間にか自然消滅してしまっている…がモデルの様な蜜の外見は男にとっては魅力があるのかそこそこの付き合いは、経験は、してしまっている。それは明らかに蜜の身体を弄ぶ刺激だった。それなのに何もない。何もないのに、確かに何かが存在していた。透明人間、と言う言葉が脳裏に浮かぶが相手が存在しているのに触れられないなど、有り得るのだろうか?だが……。
 何かが乳房を揉み弄ばれている蜜は咄嗟に鞄で胸を隠そうとした瞬間、ジャキッと金属の音が鳴り、豊かな乳房を覆っているブラジャーのカップの上端と肩紐の間が切れた。
「――っ!」
 まるで鋏で切られた様な断面のそのカップが無遠慮に引き下ろされ蜜の乳房が電車内で露わになる。電車内は無人ではない。目の前には同じ様に眠っているサラリーマンが何人もいた。当然、鞄で隠すかブラウスとブレザーを直して胸を隠さなければならない…だが、見えない刃で切られた衝撃に、蜜は凍り付いてしまった。確かに何かがある。もう一方の肩紐とカップの間にも冷たい金属の感触があたり、そして大きく目を見開いている蜜の目の前で弄る様にじわじわと切り裂かれていく。
「やめ…て……」
 冷房も暖房も効かせていない穏やかな秋の夜の電車内で蜜の顎がかたかたと震える。ジャキッと金属の音が鳴り、そして、誰かが引き摺り下ろしているとしか思えない力が加わり、蜜のブラジャーの両方のカップが胸下まで降ろされ、再び音が鳴り、ブラウスと制服のリボンもそのままの首回りをそのままに、そこだけを淫らに絞り出し露出させた形で女子高生としては豊か過ぎる乳房が露わになり、そして…何かが指を荒々しく食い込ませて揉みしだく度に、薄桃色の双丘がぐにゃりぐにゃりと淫らに形を歪み男のものらしい大きな手の形に窪み、そして、何かが這った後は、唾液らしい液体が蛞蝓が這った跡の様に残されていく。
 刃物は見えない。だが、確かに刃物は存在している…見えるのならばまだ何か抵抗出来るかもしれないが見えない刃物ではいつ切りつけられるか判らない恐怖に蜜は竦み切ってしまっていた。悲鳴をあげた瞬間切られるかもしれない、逃げようとした瞬間に刺されるかもれない、そんな状況で逆らえる人間など、まずいまい。しかも相手に触れる事も出来ないなど、どうしろと言うのだろうか。
 震える蜜の乳首を何かが咥え、舐めしゃぶっている。緊張の汗が滲み涙ぐむ蜜の乳首が何もない筈の空間でくにゅくにゅと形を歪め、歯を立てられているかの様に根元が括れ潰され、そして引き延ばされる…唾液が絡み付く、誰にも見えない加害者の口から垂れた唾液が蜜の乳首を濡らし、そしてちゅうううううと強く吸い付く音が鳴る。何度も鳴る。薄桃色の乳房に唾液の汚れと吸い痕と歯痕が無数につけられていきながら、ゆさゆさと重々しく揺さぶられ、捏ねられ、何もない指の窪みが深々と食い込み、握り潰さんばかりに引き延ばし、そして叩く。
 ぱんっ!と響いた大きな音に目の前で眠っていたサラリーマンの身体がびくりと揺れ、そして目を開く。
「ゃ……ぁ……っ」
 サラリーマンの目にも謎の存在は見えないだろう。見えているのは夜の電車内で乳房を曝け出している蜜の痴態だけだった。露出狂だと思われてしまうのだろうか、いっその事眠ったふりをすればいいのだろうか、そう考える蜜の乳房がまるでサラリーマンに見せつけるかの様にたぷんたぷんと揺さぶられ宙で暴れる。見ないで欲しい、見ないで欲しい。そう蜜は念じるが、酔ってでもいるのか蜜の異常な乳房の動きに違和感を覚える様子もなくにやにやとサラリーマンは笑いを浮かべた。あまりの恥ずかしさに全身がかぁっと熱くなる蜜の乳首を、何かが噛む。――第三者に見られている羞恥が、蜜のスイッチを、切り替えた。切り替えてしまった。
「ん……ぅ…っ……!」
 凶器を持っている謎の存在からの被害だけでない、最初から性的な悪戯だとは認識していても恐怖が上回っていたそれが、恥辱の色を濃厚に帯びる。びくっと身が震え僅かに仰け反る蜜の足を、何かが持ち上げたドアに面した仕切りの金属棒へ乗せようとするその動きに逆らおうとするもののまだ凶器への怯えに囚われている少女の脚は胸ほどの高さの金属棒へと膝の裏を乗せられてしまう形になり、座席の上で蜜は片脚を上げて大胆に見せつける体勢へと変えられてしまう。
「ぃや……ぃ……ゃ…ぁ……っ」
 無理矢理変えられた姿勢に座席の上で中途半端に崩れて両手をついて何とか転倒を避けた蜜のスカートが何もない空間で持ち上げられ、そして金属が布を切り裂いていく音が車内に響く。校則通りの膝丈だった凝った茶色の格子模様のスカートが長さ二十センチ程に裾を切られ、ブラジャーと揃いのパンティが露わになるが再び鳴った鋏の音に竦む蜜には何も出来ない…何故こんな理不尽な屈辱と暴力があるのだろうかと助けを求めたいが、見えない存在への恐怖がそれを許さない。もしかしてサラリーマンが異常に気付いてくれないかと密かに盗み見た蜜は、にやにやと嗤いながら男が自らの股間を軽く揉んでいるのに気付き目の前が暗くなる。酔いが冷静な判断を妨げているのか恐らく彼には蜜が痴女にしか見えていないのだろう…確かに誰が信じられると言うのだろう。まるで手品の様に、そう、手品の様に…蜜のパンティが切り裂かれ、奪われ、床の上のスカートの残骸に、落ちていく。
「お嬢ちゃん…マンコぐちゃぐちゃじゃねえか……」
 サラリーマンの小声の呟きにぞくっと全身に妖しい感覚が突き抜け、透明な凌辱者の痕に塗れた乳房を大きく跳ねさせて蜜は仰け反る。濡れているなど考えたくない…だが失禁であっても欲しくない、しかし車内へと見せつける様な剥き出しの蜜の下腹部は確かに液体でぬらぬらと照り、そして座席にまで粘液が滴り落ちていた。
 ぐい、ともう一方の脚を持ち上げられる感触に蜜は首を振る。両の乳房を剥き出しにして腰を座席のギリギリまで突き出す位置にして片脚は柵に乗せ、そしてもう一方は窓に当たる程押し込まれた体勢は、下腹部を最も手前にさせるものであり、通路へと性器を見せつけるものだった。
「や……」
 熱いモノが、下腹部に当たっている。当然見えない。歪められた体勢の蜜の目に、円筒形に歪められ割り開かれている下腹部の粘膜の谷間が映り、粘液に塗れている艶やかな鴇色の粘膜が何かに巻き込まれるかの様にぐちゅりぐちゅりと捏ね回される。沸き立つ粘液質な音が静まっている電車内に篭もり、信じられない…だがこれからの最悪の事態に怯える蜜の身体が見えない傘と幹にクリトリスから膣口までを捏ね回され勝手に熱を帯びていく。何かに、蜜の愛液が絡み付いている。微かにその存在が視覚的に判るのは蜜の粘膜がそれの形に歪められている為だった…だが、大きい…それが大きいのは気のせいではないだろう…蜜の知っている男のどれよりも大きい。見えていれば、好意を持っている男ならばそれは怯えながらも期待してしまうものだったかもしれない、だが、透明なそれは、避妊具を装着してくれているのかも判らないし信頼関係通りに膣外射精をしてくれるとも限らない、いや、凌辱ならば最後まで蜜を犯す可能性の方が大きい。にやにやと嗤っているサラリーマンがいつの間にか鞄で隠しながら性器を剥き出しにして擦り立てているのが映る…誰か止めて欲しい、そう願っても、蜜は震えた小声以上の声を出せない。
 ずぶりと、ゆっくりと、何もない空間が蜜の膣口から奥へと広がっていく。
「――ゃぁ……ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 恐怖か異常な興奮か、ねっとりと濡れ切っていた蜜の牝肉にずぶずぶと見えない牡の剛直が押し込まれていく。熱くて硬く、そして、怯えていた通りにそれは太くて大きかった。夜の電車内で胸と下腹部を剥き出しにして犯されていく異常な状態に、そして凌辱者が見えない、まるで蜜が異常な自慰に耽っているかの様な状況に、蜜は顔を真っ赤にして首を振りたくる。唾液が具現化している様に加虐者の先走りの汁も精子も存在し蜜の牝肉を犯していくのかもしれない。顔も声も何もかも判らない相手に、犯される。だが確かに最近は誰も受け入れてはいなかった膣を極太の肉槍で貫かれていく強烈な刺激に、蜜は座席の上で白い顎を突き出して首だけ逸らす。体重をかけてくる凌辱に仰け反る事も出来ないまま高く掲げられた足が窓を擦ってびくびくと震え、透明な瓶かペットボトルを捻じ込まれた様に太い円柱状に開いた牝肉がみっちりと密着している何かを締め付ける様にうねうねと絞る痙攣を繰り返す。
 ぬちゃっぐちゃっと淫猥な抽挿音が車内に鳴り響き、突き上げの度に蜜のローファーの爪先が窓を叩く。
「ゃ…あっ、や……、ぃや……ぁ…っ、やめ……て……っ、いや…ぁっ、いや……っ、いや…あ……っ!」
 性器を一番手前へと突き出して見せつけるかの様に座席の上に転がされている蜜の腰が、全身が、リズミカルに弾む。まるで全体重をかけられているかの様に押し込められては僅かに戻り、そしてまた押し込められていく。ぐぽっと音が鳴り濃密な潤滑液がぽっかりと円形に開いている膣口の周囲から溢れ、無残に制服のスカートを切り裂かれている女子高生の薄桃色の尻肉へとぬらぬらと伝い、そしてスカートの残骸と座席が濃い性臭を放つ粘液の池で重い色に染まっていく。壊れた人形の様に視覚的には一人で見悶えている蜜の若い牝の身体は、視姦されながらの異常な凌辱に屈してしまっていた。止めて欲しい。怖い。それなのに、膣内の絶対的な存在に身体中の細胞が沸き立っている。それは凶器の存在を認識しているからこその生存本能かもしれない。死にたくない。死にたくないからこそ…逆らえない。だが白熱化しかけている精神の何処かは異常な状況に怯えきり、だからこそ異常な興奮が蜜を押しやっていく。
 ずんっずんっずんっずんっと膣奥を猛々しい傘の先端で突かれる度に蜜の腰奥から頭の芯へ激しい火花が駆け巡り、全身が淫らな汗でびっしょりと濡れている蜜の周囲は濃厚な牝のにおいに満ちていた。
「ん……っ、んあ……っ!ゃ……いやぁいやあ…っ、あ!あ!い……いやああああああっ、あんっ!あ、ん!」
 減速の後真横の扉が開くのにも気付かずに犯され続ける蜜の足からローファーが脱げ、ホームと電車の隙間から落ちていく。両手で柵と座席にしがみ付く蜜の顔は恐怖ではなく恥辱と未知の快楽に怯え溺れる淫らな色に染まっていた。顔も見えない。だが、犯されている。犯しているものは、とても大きくて、熱くて、硬い。冷たい色の薄暗いホームに爪先を縮こまらせてびくびくと痙攣する蜜の脚の影が伸び、人気のない駅の一部に淫猥な鳴き声が漂う。レール近くに脱げたローファーを残したまま扉が閉まり、再び密閉空間になっ車内に、直前よりも明らかに大きく蜜の喘ぎ声が響く。ぐちょっぬぽっと粘液音が鳴り、腿に何かが当たっている濡れた打擲音が鳴り響く車内に、発車の揺れで目が覚めたのか何人かの乗客が異変に気付き訝しむ視線を巡らせ、そして気付く。――少女一人の悲惨な自慰に。
 酔っている者もいれば素面の残業帰りの者もいる幾人かがにやにやと嗤いながらスマートフォンを蜜に向け、撮影を始める。遠慮のないシャッター音もあればフラッシュもあり、そして音が立たない物は動画を撮影しているのかもしれない。正面の座席に陣取る男は酔いもあってか中々射精まで至らない様だったが、撮影している男達は蜜との距離を詰め、ぽっかりと開いた膣口に、凌辱の痕がある豊か過ぎる乳房を、喘ぐ蜜の美貌を容赦なく撮影していく。
「見ないで……ぇっ、あ!あぁ……っ!みないでみないでみないでぇぇぇぇぇっ!だ…め……ぇ……っ、だめっ、も……ぅっ」
 誰にも蜜を犯している存在の姿は見えず、自慰としては異常過ぎる蜜の翻弄される身体の動きに疑問を感じてくれはしないまま、少女は極太の肉棒に膣奥から膣口のすぐ裏側までを激しく、時に炙られる様なじっくりとした動きで様々な抽挿を繰り返され犯され見悶え、そして、衆人環視の中絶頂に押し上げられてしまう。
「見ないでえええええええええええええええええ!」叫びながら見えない存在に押しつぶされる様に密着され腰を突き出された直後、蜜の膣内で肉槍がぐびりと大きく脈動し、円筒の空間のその最奥で夥しい精液が何もない筈の空間から迸った。スマートフォンのカメラの視界には収まらないその場所で、鴇色の牝肉と透明な何かの間で乳白色の粘液がどぷりどぷりと脈打つ様に広がっていく。透明な栓を施されている様なその空間の中で、絶頂に押しやられた女子高生の膣肉が吸い付く様に脈動し貼りつき吸い付きただでさえ大量の精液を搾り取る貪婪な動きを繰り返し、精液は、広がっていく。顔も知らない存在の精液が塗り込められ、行き場を失ったそれは、膣口へも広がりながら、蜜の子宮口へと流し込まれていった。

「んはあっ!んっ!んっ!ん……はああああっ!」
 通路の真ん中で、四つん這いになった蜜は高く腰を突き上げて前後に揺さぶられていた。
 誰も気付いてくれない。皆が蜜のおかしなプレイの自慰だと思い込んでいたかの様だった。あれから何度絶頂を迎えてしまっただろうか、膣口から大量の精液と愛液が溢れ、車内は性臭に満ちていた。――恐ろしいのは、変わらない。今、蜜を犯しているのは、見えない存在と見える存在だった。まるで写真の二重露光の様に存在が重なっている。誰もそれが見えていないし、触れない。サラリーマン達の手が蜜の乳房を荒々しく揉んでいる中、おかしな窪みが同時に揉んでいる事に誰も気付かない。だが同時に蜜は犯され続けていた。サラリーマンの一人の肉棒が蜜を犯しながら、同時にそれも犯している。一つだけでない鰓の抉り込みに、膣奥への突き上げに、押し開く塊の広がりに、まるで二本の牡肉で同時に牝肉を犯されているみたいな無茶苦茶な動きと拡張感に狂う。完全に二本が収まっているのではない、重なる形で、だが違う存在が同時に膣内で暴れる。それは執拗だった。サラリーマン達の様に何度かの射精で満足もしなければ自宅の最寄り駅であろう何処かで降りていく事もない。常に、蜜を犯している。サラリーマン達は蜜を犯していった…だが前後の孔も口も犯していったが二人同時に攻めてくる者は殆どいなかった。だが蜜はもう一人…それにずっと犯されていた。解放されない。飢えが満たされない餓鬼の様に、蜜を犯す。
 やがてたどり着いてしまった終点の駅で、蜜はホームの床に組み伏される。
 秋の深夜、虫の鳴き声だけが聞こえる田舎のホームの暗がりで、サラリーマン達が奪っていったのも含めて既に襤褸切れの様な服の残骸だけを身に絡み付かせている蜜は、虚ろな瞳のまま腰を背後へと引き寄せられ、そして貫かれた。んはぁぁぁっと淫らな鳴き声を溢れさせる蜜の腰が暗闇の中、前後に揺れる。じゅぽっじゅぽっと膣口からあからさまな粘液音が溢れ、高く掲げた腰の、緩みまだ元に戻っていない窄まりのその下で、蜜の膣口がそれの形に密着して淫蕩な蠢きを繰り返す。頬と肩と乳房をホームにつけ、後ろ手を背後に伸ばしている汗と汚辱塗れの白い身体がいやらしく撓り、腰が動く。
 その動きが他の存在によるものなのか、蜜自身によるものなのかは、判らない。



■『透明人間』おまけ

 びくっと蜜は椅子の上で身体を震わせた。
 新しいブレザーの胸元から差し入れられた手に乳房が揉みしだかれ、豊かに張り出している乳房とブレザーの間に大人の男の大きな手が浮かび上がっている…だがそこに手はない。蜜の乳房を、すっかりそれに弱点を把握されている乳首をブラウスの上から摘ままれ少し強く揉み潰され、身体がびくびくと跳ねる。ブレザーも手の形に膨らんでいる…もしもこの教室内で蜜の乳房を盗み見ている人間がいれば真面目な顔をして黒板の英文を書き写している生徒会副会長の少女の乳房が妖しく淫らに揉まれているのを見てしまうかもしれない。だが、そこに手の存在はない。それでも手の質量を主張するかの様に、布は動く。
 びくびくびくっと蜜の身体に震えが走り、しなやかな明るい栗色の髪を幾筋か垂らしている耳の辺りが不意に濡れる。ぴちゃりぴちゃりと唾液を敢えて含ませて舐めしゃぶる音が教室に響き、幾人かが周囲を見回した。色白な蜜の頬が真っ赤に染まり、そして机の下で白い脚が頼りなく揺れる。ジジジッとファスナーを引き下ろす音が鳴り響き、やがて蜜のスカートのファスナーとウエストの鍵ホックが外れ、ブレザーの下で緩み軽く落ちた。
 だが蜜は何もしていない。ノートの上に片手を置き、片手にシャープペンシルを手にしたまま小刻みに震えているだけであり、少女は何もしていない。それなのに、蜜の膝丈のスカートはゆっくりと捲り上げられいき、椅子の下でパンティの見える場所にまで持って行かれてしまう。そして、懸命に膝を合わせているその奥底で、オフホワイトのパンティが歪む。上端からまるで手を差し入れられているかの様に歪に撓み、小さな面積のその奥で、何かが上下を繰り返す。
「――ぅ……ぁ……」
 言葉少ない美貌の生徒会副会長の唇から微かな声が漏れるが、それはまだ周囲の生徒には聞こえない程度で済んでいた。
 ウエストが緩められられたスカートはブレザーの影で腰の辺りにまで落ちかけ、赤面して何かを耐えている蜜のパンティの脇が、僅かに横へと引かれた。
 ジャキッと布を断つ音が何度か鳴り、全身を強張らせている蜜のブレザーの影で、幾つかの布切れに切り分けられたパンティが、合わせた腿の隙間から抜き取られていく。だが他には誰もいない。まるで手品か透明人間の仕業の様に、奪われていくパンティは、蜜の愛液で既にねっとりと濡れていた。それが、床に落ちる。遠目にはハンカチか何かが落ちている様にも見えるが、近くの人間がよく見ればそれはパンティであり、そしてまるで愛液で濡れているのが判る様に仕向けるみたいにぬらぬらと光るクロッチを上にしていた。そして、それは蜜の足元だった。
 全身を強張らせている蜜の唇が微かに震え、何かを囁いているが同級生にはその声は届かない。
「――っ!」
 じわじわと蜜の膝が開き、そして剥き出しの腰が椅子の上で前へとずり落ちていく…その動きは蜜自身の動きにしてはあまりにもぎこちなく、そして恥知らずなものである。懸命に机の上のノートとシャープペンシルに縋りついている様な蜜の膝が何十センチも割り開かれ、そしてぐちょっぐちょっぐちょっぐちょっとあからさまな粘液音が教室内に鳴り響いた。
「何、この音」
「何?」
 ざわめく教室内で誰もが周囲を見回すが生徒全員が席に着いたままであり、不真面目に遊んでいる生徒は一人もいない。だが鳴り響き続ける音は執拗に続き、不意に、ずちょっと何か粘着質な音が大きく鳴った。性交を知っているものならば聞き覚えのある音があからさまに教室内に何度も何度も繰り返しぐぽっずちょっずぽっと淫猥な抽挿音が鳴り続ける。どこからか漂う牝の愛液のにおいが教室に篭もり男子生徒の目が落ち着きなくなり女子生徒の頬が赤く染まる。
「何だろね、蜜」
 小さな声で隣の席の友達から声をかけられ、蜜はぎこちなく苦笑いを浮かべた。
「判らない……」
 秋としては一般的な気温の教室の中、仄かに汗ばんでいる蜜に子首を傾げた後、友達は同じ様に笑った。
「恥ずかしいよね…これエッチな音だもんね」
 こくんと頷き、蜜は俯く。
 机の下で、蜜の腰を何かが突き上げていた。膣奥まで貫いている剛直の太さと熱さに白い腰が椅子の上でびくびくと戦慄き、指でクリトリスと膣口をくじられ続けている間に溢れた愛液が椅子に溜まりべっとりと蜜の腰との間に淫蕩な池を作り出しているその中心で、極太のもので穿たれた牝穴が密かな絶頂に蠢く。
「もうゆるして……」
 小さな声で何度目かの哀願を繰り返すその腰で、その存在が蜜の凌辱する剛直の抽挿は一切止まる事はなく、鳴り止まないおかしな音に諦めた教師が授業を再開し、そして終了するまでそれは続いた。潤滑液を撹拌する音が執拗に鳴り響き、そして愛液のにおいだけでなく精液のにおいまでが濃厚に漂う教室の中で誰一人として落ち着けない授業を続ける中、もう蜜は黒板の英文をノートに書き写す事も出来ずに椅子から腰を軽く浮かせて残酷に繰り広げ続ける終わりなき抽挿と絶頂と射精を堪え続けるしかなかった。皆が落ち着きなくしている為に強張っている蜜の存在は目立ちはしなかったが、スマートフォンでの動画視聴か何かか、誰かが教室内でいやらしい愉しみに耽っているのだと誰もが考え、そして、皆机に向かっている為に咎める事も出来ない。だがそんな中、蜜の牝肉は、凶悪な太さの鰓に抉られ、夥しい射精を受け止め、大量の射精の後も萎えぬままの肉棒で抉られ穿たれ続けていた…動画視聴などではなく、教室の真っただ中で、蜜は犯されて続けていた。
 そんな授業の後、体育の授業の為に移動を開始した同級生に机に突っ伏したまま蜜は赤く染まった汗まみれの顔を見せまいと手を振る。
「気持ち悪くなっちゃったから、少し休んでから保健室行くね」
「そう?付き添いしよっか?」
「ううん。それより着替えあるし早く行った方がいいよ」
「判ったー」
 心配してくれた同級生が去り、教室に他の人間がいなくなった瞬間、蜜の身体は何かに引きずられ、机のすぐ脇に倒された。息を詰まらせる間もなく、蜜のブラウスの胸元が引き千切られ、そして仰向けに倒れたその脚の間に何かが割り込んできたと感じた直後、ずぶりと先刻まで蜜を苛み続けていた凶悪な肉棒が再び捻じ込まれ、腰を打ち付け合う激しい音が教室内に鳴り響いた。必死に声をあげまいとする蜜の乳房が何かによって無理矢理ずらされたブラジャーから溢れ、そして、激しく腰を打ち付けられる音とより一層激しさを増した粘液の撹拌音の中、歯痕とキスマークが夥しくつけられた乳房が何もない空間の中、揉み潰され、捏ねられ、そして吸い付かれる。悲鳴もあげられずに何度もなんども首を振りたくる蜜と何かの結合部からは既に授業中に溜め込まれた愛液と精液が突き挿れの度にどぷどぷと溢れ掻き出され、そして蜜がたった一人で床に転げて脚を宙に上げているとしか見えない姿勢の中、剥き出しの腰が床の上より高い位置で衝撃を受け止める度にびくんびくんと激しく跳ねる。
 喘ぎ声を漏らさない事だけに集中するしか出来ない蜜は、授業中は堪えていた甘いいやらしい息を溢れさせながら、首を振りたくる。
 ――二時限連続の体育の授業の間だけでそれが蜜を解放してくれるだろうかと、頭の隅で考えながら、蜜は先刻まで皆のいた教室の中での絶頂に全身を仰け反らせて溺れていった。

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