無人の廊下の向こう側がざわめいているのは全校集会が終了した為だろう。もうすぐ大勢の生徒で溢れ帰る廊下から逃げる様に教室に戻った乃愛は、自分の机をそっと指で撫でる。
同級生は自分を粗略には扱わない。親が男子ばかりのがさつな工業高校を想像していたが偏差値が高いのもあってそんなに荒れた空気もなく、逆に理系生徒の多いインテリな部分もあると思う。暴力的な虐めもなく、学年に女子が三人だけしかいない、結果同級生は全員男子であっても教室が汗臭くて抵抗感が生じる事もない。だが……。
はっきりとは憶えていない、憶えようとはしなかった、同級生達の猛った性器を思い出しぞくぞくっと背筋を這い登った危ういもどかしさに乃愛は自分の身体を抱く。帰りたい。流石に犯罪は避けたいのか男子生徒は乃愛の身体に直接触れてはこない。だがもし誰かが触れれば、教師の様に乃愛を組み伏して身体を好きな様に玩具にしてしまえば、もう理性の抑制はなくなってしまうかもしれない。三十人以上の男子生徒が身体に群がってくる、そんな可能性にびくびくと身体が跳ね、腰砕けになりそうになる少女の漆黒の髪がさらさらと揺れブラウスの上から乳房を撫でる。
よろめきながら教室の前方へと向かった少女は、高い教壇に手を衝き、そして飛び乗った。
丈の短さをはっきりと感じる…腰の下に回るだけの長さがないスカートは腰の周囲に広がるだけで、乃愛の尻肉と腿は直接教壇に触れ、びちゃりと濡れた音が立つ。何故洗面所で直さなかったのだろう、中央部で割れたパンティは性器を露出させたままで愛液に塗れている。検査の為、そう同級生達は直さない様に指示をしているのだから仕方がない…拭う事も直す事も自分には許されていない。
がらりと音を立てて廊下への扉が開き、教室へと戻ってきた同級生達の姿を見た瞬間、酷い羞恥と戸惑いに乃愛は顔を背けた。明るい…まだ午前中でいつもならば授業中の時間なのに、自分は何をしているのだろう。次の授業の教師が訪れるまでどれだけ時間が残っているのだろうか……?
教壇へと詰め寄せる男子生徒達の前で項垂れた乃愛の横に、本日の日直が立つ。
「じゃあ検査をしようか」
ただ壇上でこの恥ずかしい姿で連絡事項を読み上げただけだと彼らは考えているのかもしれない。いやそもそも予備倉庫でのあの行為は誰も気付いていないだろう、気付かれていたとすれば自分はここにおらず生徒指導室で教師と一緒に詰問を浴びせられている筈だろう。
膝が、手が、震える。
男子達が選ぶ下着は普通ではない。いやらしい体操着もだがパンティはどれ一つとして一般的な量販店で購入出来るものでなくアダルトショップで販売しているか通販かの卑猥な物ばかりだった。娼婦の様な黒下着や布面積の極端に小さな物やTVでもまず見ない様な紐状の物など、妄想上でないと女に着せられない様な淫らな下着を着けさせ、そんな姿の乃愛の目の前で消しゴムを落としたり意図して高い場所の物を取らせたりして、少し動くだけでも露出する淫蕩な下着姿を全員で愉しんでいた。
だが、今回はその中でも最悪だった。見えている…透けているのではなくて、性器が直接露出している。
それが高校一年生の男子にとってどれだけ刺激的で危ういものなのかを想像し、乃愛は鳥肌立ち、そして身体の芯が熱く蕩けていく。恐怖もある。こんな仕打ちにあってもまだ処女の少女は、同級生全員が直接自分を弄ぶであろう悪夢に怯えてしまう。
「もう……やめませ……」
震える声で悪夢への引き金から指を離そうと声をあげかけ、乃愛は不快そうに顔を顰める同級生達にびくっと身を竦ませる。止められない…意図してなくても機材を壊した自分によって同級生達が迷惑を被った時間の無駄は否定出来ない。だがそれは貞操を失う程の罪なのだろうか?自分が工業高校で学びたいのはそんなにいけない事なのだろうか?
乃愛は項垂れ、そっとスカートを両手で摘み上げる。教壇に脚を揃えて座り、従順な少女をにやにやと嗤う男子生徒達の視線を浴びながらウエストより上にスカートの裾を持ち上げる乃愛の頬が赤く染まった。毎日の検査だが慣れる事など出来ないであろう…異常だった。朝に用意されたパンティに履き替え、ブラジャーは脱ぎ、スカートを膝上三十センチにまで巻き上げる、これは性的虐めだと何度も考えたが、少女は逆らえない。そして、下校まで何もなければ服を戻せて帰宅出来る。――だが、異常な服装で過ごす時間に少女の身体は反応していく。こんなに濡れはしなかった。視線を嫌という程感じはせず時折は我を忘れて授業に集中出来てはいた。だが徐々に身体がおかしくなっていく。濡れる。乳首が疼く。胸に、尻に、下腹部に、腿に、視線が絡みつく。見られている。恥ずかしさに身体を縮込まらせる少女の奥底で、ぽつりと火が点る……。
まずはスカートを捲り上げ、そして、脚を開く。
最初は日直に何度も促されていた検査に、たった一度の指示に呼吸を乱す乃愛の唇から上擦った声が漏れる。まだ脚は開いていない。朝の段階で中央が割れているパンティを穿いている事は同級生全員が知っているが、穿いた上で性器が露出している状態ではまだ見られていない。しかも、先刻まで教師の指と舌で開発されてしまっていた場所はこんな状況なのにも拘わらずどくどくと疼き、教師のあの歯の軽い一噛みであっさりと達してしまいそうな程に敏感になっている。
「ゃあ……っ…、みなぃ……で……おねがい……ゆるし…て……」
それが無意味な哀願だと判っていながら乃愛は震える声で上擦って囀る。同級生の中で一番小柄で華奢なたった一人の女子がノーブラの制服姿で短過ぎるスカートを捲り上げながらパンティを見せて喘ぎ啜り泣く時点でどれだけ異性の獣欲を煽るのかを自覚出来ないまま、乃愛は喘ぎ、そして、ゆっくりと、一言の後は誰も促していないまま、両膝を開いていく。
教室の前方に群れて同級生の少女の痴態を食い入る様に至近距離から眺めている男子生徒達の喉が動く。
内腿に塗り込められているかの様だった愛液がにちゃあっと糸を引き、教室の空気と同級生全員の視線が白い内腿と下腹部に絡み付く中、決め事を守り乃愛は両足を教卓の左右の端に合わせて乗せる。完全に開ききった脚の中央で、愛液をたっぷりと絡み付かせている初々しい鴇色の粘膜がひくひくと震えた。
「エグい下着選んでんなぁ……」
誰かの声にびくっと乃愛の身体が教卓の上で跳ね、そして膣口から愛液がとろりと搾り出されて伝い落ちていく。見えている。ただの下着姿や透けているブルマーでなく、剥き出しの女性器が、同級生全員の視線に晒されている…しかも少し前まで教師の指が膣と窄まりを穿っていた淫らな余韻がまだ抜けない状態で。
指一本分ずつの孔が開いてしまっているのかもしれない…愛液がこんなに溢れているのだから開いていてもおかしくないとまだ処女の性知識に乏しい少女は自分の目では確認していない秘めるべき場所の状態を想像し、全身をがくがくと震わせながら仰け反る。ブラウスが貼り付いている乳房が大きく跳ね上がり淫らがましく揺れ続け、乳首に突っ張る濡れた布の感触に乃愛の唇から甲高い声が漏れた。暗がりで自分を弄んだ教師の手が舌が性器が、日差しの差し込む教室で同級生全員の前で脚を限界まで開き秘めるべき場所を晒す乃愛に生々しい感覚で甦る。ぐちょぐちょと突き立てられる指の記憶に、乃愛は喘ぎ、本能的に淫らに濡れた瞳で同級生達を見回してしまう…全員の理性を確認する筈のそれは怯えと欲情に甘く蕩けており、誰が見ても牡を誘うものであり、無意識に、少女の瞳は同い年の少年達の猛る股間に熱い視線を注いでいた。
『たすけて…せんせぃ……』
同級生を嫌悪してはいない。同時に教師を愛しいとは思っていない。それなのに乃愛は意識の底で教師に哀願してしまう。教師ならば男子生徒よりもまだ社会人としての判断が出来るだろう、だが目の前の同級生達がいつまでも自分に触れない保証はない…いや教師は今日自分に破廉恥な行為を働いたのに、何を求めているのだろうか?
どれだけ開脚を続けていただろうか。もう十分に全員が視認した筈なのに、まだ何の指示も…今までならば濡れは下着の脇からティッシュを差し込んで指先で拭うのだが、その指示が来ない。スカートを短く折り込んでいる為にポケットが使えない乃愛にはいつも日直が渡してくれているのだが……。
「脱ごうか」
「そうだな。脇から指突っ込むも何ももうモロ出しだし」
「ティッシュで済む分量じゃないよな」
男子生徒からぽつりぽつりと出た言葉の意味が判らず、乃愛は荒く乱れた甘い呼吸を繰り返しながら不安に彼らを見回す。ぞくりと背筋がざわめき、胸が妖しく早鐘を打つ中、反射的に膝を閉ざそうとした少女の正面で、学級委員長がにやりと嗤った。
「着替えてまた汚すくらいなら今日は取り敢えずノーパンでいいんじゃないかな」
「そんな……!」
「授業が始まる前にまずはそれ脱いで愛液全部拭わないとおつゆ垂れ流しで困るのはそっちだからね」
血の気がすうっと引いていく感覚の中、乃愛は時計をちらりと見る。次の授業開始までは十分程。入浴ならばバスタオルで拭いて着替えるには十分な時間だが、そこに同級生達の視線はない。
「せ…せめて、せめて……後ろで……」
「報告も時間かかってたしこっちの迷惑考えようよ。だから、これはペナルティだよ」
膝を合わせる事は出来たかもしれない。だが同級生達の視線に絡め取られた様に身体が動かない…はぁっと震える吐息が漏れるが、その音は、甘い。予備倉庫では教師が舐めて歯を立てたクリトリスも今は全員の前で露出している。――気付かれるものではないと思う…異性の舌や歯の味を憶えて何度もなんども絶頂を繰り返した今朝までとは違う自分に。ぞくぞくぞくっと激しい震えが全身にはしり、乃愛は仰け反り痙攣する。まるで同級生達に乳房を突き出す様な体勢で、愛液に塗れた性器を見せ付ける様な体勢で、誰にも触れられないまま快感に震える少女の膣口から透明な粘液がとぷりと搾り出される。
「ほら、時間がなくなる」
その言葉に、乃愛は込み上げていた理由不明な涙を零しながら、のろのろとパンティの脇に手を添える。尤も秘めるべき場所を隠せていなくてもまだある方がマシではあるが、下手に逆らい男子生徒に無理矢理脱がされるよりは良い筈だった。触れられたら終わりな気がする…一度触れるのを許したら、彼らは容赦なく乃愛の身体に触れ、そして、犯すだろう。
教卓の上で僅かに下ろした後は、パンティは愛液に滑りぬるりと双丘を抜けてしまった。あああっと後悔と感極まった声が零れ、だが同級生の目の前で下着を脱ぐ事への抵抗で少女の動作は遅々として進まない。僅かに身を捩るだけで、パンティを脱ぐ為に腿を動かすだけで、愛液の池がねちゃりと音を立て、乃愛の唇から喘ぎに似た悲痛な声が溢れる。のろのろと太腿を抜けていくパンティからは愛液の長い糸が垂れ、教室の床へと細い糸と大きな珠が延びていく。膝まで愛液に濡れている華奢な白い腿が頼りなく動き、やがて、爪先を抜けた愛液をたっぷりと吸った重く濡れたパンティを、乃愛は手を差し出してきた日直へと渡し、項垂れた。
「――先刻から物凄く愛液溢れさせてるからさ…指で掻き出さないと駄目だよね、これ」
何を言っているんだろう。真っ白になった思考の中で疑問が浮かんでいるのだが乃愛の身体はそれより早く反応し、委員長の言葉に小さく跳ね上がり、そして耐え難い快楽に襲われた様にぶるぶると小刻みに震えていた。唇からは甘い声が漏れ、捩る身にブラウスを貼り付かせている乳房が妖しく揺れ、腕の間でぐにゅりと歪み鴇色の乳輪と乳首がはっきりとブラウスを突き上げる。
「時間がないから、全員で掻き出そうか?」
「じ、じぶん…で……っ、じぶんで…やります……」
指を挿入する、そう意識した瞬間乃愛の身体中で小さな火花が散り、教師の指が膣奥まで挿入されぐいぐいと膣内で激しく曲げ伸ばしされ、抽挿されたあの刺激が蘇る。待って欲しい。今日は駄目。今は駄目。まだ余韻が残っている。まだ記憶が生々しい…しかも同級生の目の前で?あの動きを、自分で行う?だが確かに愛液を掻き出しておかないと普通に表面を拭っておいても椅子が汚れてしまうかもしれない…いや汚れてしまうだろう。淫らな行為を肯定する為の弁解が泡の様に浮かび上がり、清楚な顔立ちの乃愛は羞恥と欲情に喘ぎながら手を下腹部へと伸ばしていく。
「は……ぁあああんっ!」
クリトリスに指が触れた瞬間、乃愛は誰が見ても判る程の甘い感極まった声を溢れさせ、教卓の上で全身を戦慄かせた。複数の同級生から生唾が飲む音が鳴り、そして教卓の前に密集している身体が更に教卓へと寄せ集められる。ブルマーや下着越しには見ていた薄い柔毛の下で、AVやネットで見る無修正のモノよりもどこか幼げな初々しい鴇色の小さな襞と谷間を覗かせる性器のその上で、茹でる前の小豆程度の突起を白い華奢な指がくにくにと捏ね回し、谷間の底の窪みから葛湯の様な粘液がねっとりと次々に溢れ出す。男子とは違う甘い汗と愛液のにおいが教卓の上から漂い同級生達の鼻孔を擽り肺の奥へと滑り込んでいく。まだ女を知らない同級生達の前で少女の華奢な肢体がびくびくと跳ね、可憐な顔が時折理性を蘇らせた様に周囲を盗み見、そして視姦に欲情したかの様に達する。止めたいのに指が止まらない。誰か止めて欲しい…いや止めないで欲しい。
『かきださなきゃ……』
白く飛びかけ我を失いながら、乃愛はもう一方の手を腰へ伸ばす。両手を前に回し同級生の視界を塞がない様に片脚を曲げ、後ろから回した指で膣口をなぞった瞬間、少女の頭に教師の冷笑が浮かび、甲高い喘ぎが溢れた。指。ずぶずぶと犯す、指。クリトリスも捏ねている。予備倉庫での恥辱が重なり身体が淫らに跳ね上がるが、一方で乃愛の瞳は時折同級生達へと密かに向けられ、そして、その猛る股間を感じた瞬間に狂おしい疼きが弾けて全身をくねらせ喘ぐ。忙しなく揺れる腰に、教卓の愛液の池がねちょねちょと音をたてる。
これ以上はいけない、そう思いながら乃愛は膣口に指を突き入れた。最初は先端だけ挿入させればいいと思っていたものを愛液の滑りで一気にぬるりと根元まで受け入れてしまった指に、少女の身体が激しく仰け反り痙攣する。
だがそこにあったのは、羞恥と焦燥だった。
同級生全員の前で膣奥まで指を突き挿れて絶頂を迎えてしまう疚しさと恥ずかしさと、そして……、
教師の指とは比べ物にならない、頼りない指。
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35『はじめての売春』
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