2019余所自作06『ガードの甘い幼馴染』

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 暑い…筈だった。登校日から帰ってきて、玄関を開けて室内の熱気を予想していた緑は予想外の涼しさに思わず瞬きをする。両親は町内会の3泊4日の温泉旅行で留守であり、緑は登校時にエアコンの電源を切っていたから室内はもう蒸し風呂状態の筈だった。
『タイマー点けていたっけ……?』
 ともあれ涼しさが心地よく居間のソファにリュックサックを放り出して制服のネクタイを弛めた緑の背後でガチャリと音が鳴った。
「あーお帰り、緑ー」
「おま…茜お前何でいるんだよ!」
 咄嗟に振り向いた緑は小さなパンティ1枚で濡れた髪を乱暴にバスタオルで拭っている幼馴染の茜のあられもない姿に勢いよく背中を向ける。マンションの隣に住んでいる茜は緑と同い年で幼馴染ではあるものの、高校が違ってからはなかなか会う機会もなく疎遠になりつつあった。だが何よりの問題は緑の家で何故茜が風呂あがりの姿であるかだった。
「鍵なくしちゃって。緑の家なら鍵の場所知ってるし。小母さんも留守中よろしくーって言ってたし」
 異性の前でパンティ1枚である危機感など微塵もなく我が物顔で冷蔵庫に向かった茜がオレンジジュースを取り出して腰に手を当ててラッパ飲みを決める。
『昔からこういう奴だよ…うん』
 誕生日が1日先だったからと緑を子分の様に扱う我侭気侭な茜に引きずられる様に遊んでいた幼少期を思い出し緑は深く溜め息をつく。そんな茜ももう高校生。そろそろ女性としての慎みを身につけて欲しいと思いながら、活発な茜らしい出る所は出てくびれる所はきゅっとくびれている中々のプロポーションを思い出し、緑は少しだけ赤面する。
「緑の所、登校日ー?」
「うん。茜は?」
「テニス部ー。でも熱中症対策で午前中だけだってー。もぉそんなのなら1日ガツンとやって1日丸ごと休みにしてくれればいいのにねー」緑のリュックサックを枕代わりにパンティ1枚のままソファに転がり茜が緩い笑みを浮かべ、そして緑を見上げる。「緑そのまんま帰宅なの?デートは?」
 ぎくりと固まった緑は思わず茜を見おろしかけ、そしてまるで誘っているかの様な茜の姿に目を逸らす。
「何それ」
「図書委員で彼女作ったんでしょ?ひと夏の冒険しないのー?」
「何で茜が知ってるんだよ!」
「ウチのお母さんが小母さんと井戸端会議してたもん」
 年頃の息子のプライバシーが筒抜けである事に憮然としながら、緑の脳裏にまだ手も握っていない先輩の顔が脳裏に浮かぶ。当然茜の様にパンティ1枚の姿など見た事もない清楚可憐な人であり……。
「ねぇねぇその子おっぱい大きい?」
「何だよ藪から棒に」
 ソファに仰向けに転がったまま自らの乳房を左右から寄せてぱふぱふと動かす茜に、緑は脱力する。ちょっとしたアイドル級に可愛らしい顔立ちをしているがあまりにも無防備だとそこにいるのは幼少期の幼馴染としか思えなくなってくる。
「だって緑昔からおっぱい星人だったじゃない。懐く保母さんもおっぱいの大きさで選んでたし」
「10年以上前のネタほじくるなよ」
「いやー絶対にあれは三つ子の魂百までってレベルよ?おっぱいに挟まれて窒息死したら本望って奴。ホルスタインでも欲情出来ちゃうんじゃないかって昔は心配してたんだから」
「どんだけ変態扱いされてるんだよ俺」
 あまりにも酷い話に緑は茜に背を向けたままソファの前に座り込む。
「で、巨乳?爆乳?奇乳?魔乳?」
「何だよそのカテゴリー」
 不意に、緑の頭に柔らかなものが押し当てられた。ボディシャンプーの桃の匂いがふわりと鼻をくすぐり、後頭部だけでなく側頭部までを包むそれがむにゅりと繊細過ぎるマッサージの様に揺れ蠢く。何をされているのか一瞬判らず、そして上から下がってくる茜の濡れた髪で今自分の頭を揉んでいる柔らかく大きな二つの丘の正体を悟る。
「何やってんの」
「んー?何だか多分…失敗?緑の頭汗掻いてるから折角お風呂入ったのに大失敗?」
 何ともピンボケな声を出す茜に緑は大きく溜め息をつく。
「何言ってんの。勝手に上がって勝手に風呂入って勝手に人の頭パイ擦りしといて」
「あーもー汗っぽいなぁー。よおし緑、一緒にお風呂入ろー。犬みたいにわしわし洗ったげるから」
「お前なー」
 ソファから勢いよく跳ね起きた茜が呆れる緑の腕を抱き、ぐいぐいと風呂場へと引っ張っていった。

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FAF201908202257

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