2019余所自作05『触っているのは好きな男』

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 不意に乳房の下裾を撫でた手に少女の身体がびくっと震えた。
 学校は夏休み中の夕方。都心からベッドタウンへ向かう電車はサラリーマンの帰宅ラッシュでかなり混雑しており、寿司詰めに近い状態で手摺に捕まらなくても身体は動かない程だった。肩掛け鞄に片手を添え、もう一方の手は下におろしている少女は豊か過ぎる乳房を柔やわと揉む不埒者の手を振り払う事も出来る…筈だがそれも出来ず身動きも出来ないまま俯く。
 少女の服装はアニメのコスプレに近い状態だった。少女は知らないものの乳袋と一部で呼ばれる乳房の形にぴったりと張り付くデザインのノースリーブの白いブラウスにパンティが見えるか見えないかの白いプリーツスカート…両方とも生地が薄く、特にブラウスは肌への密着を優先した水着よりも薄い素材で出来ていた。小柄ではあるがポニーテールで結い上げても尚腰まで届くしなやかな黒髪と可愛らしいと言うより美人系の顔立ちから強気な剣道小町か何かに思われるが、実は少女は異性と手すら繋いだ事のない処女である。
『どうしよう……』
 正面にある窓に映る不埒者の顔を一瞬だけ確認し、少女は赤面して俯く。
 この服装は予備校の夏期講習でずっと意識している男子が気に入っている姿の筈だった。講座の間の雑談を密かに聞いていた所、いかにもアニメ好きな友達が見せていたコスプレ写真の中で唯一彼が反応したアニメのヒロインの服装が、これだった。あまりよく判らないイベント会場ならばまだしもこんな格好で満員電車に乗るなどおかしいと考え、講義が終了してから急いで着替え、彼が乗り込む電車のいつものホームでわざわざ目の前で服を隠す為に羽織っていたジャケットを脱いでみたものの、まさかこんな事をするとは少女は考えていなかった。ただ、声もかけられない自分を意識して貰えれば…と考えての行動だった。
 彼が痴漢行為をするなんて思いもしなかった。多弁な友達と比べ相槌を打つだけの人で、気付けば好きになっていたその理由は判らない、恋に恋をしているのだろうかと首を捻る状態だったが……。
「ひ……ぁ…っ」
 不意に乳首を捏ね上げられ少女は小さな悲鳴をあげる。コスプレ用の衣装を販売しているサイトでは下着が浮かび上がってしまう為にノーブラを推奨しておりその記事を鵜呑みにしてブラジャーも着けずに身に纏ったブラウスは、彼の指で乳首を摘まれるとそれがそのまま貼りつき、そしてこりこりと指で捏ね回され硬くしこった乳首の形をそのまま浮かび上がらせてしまう。自慰行為すら不慣れな少女は乳首を捏ねる異性の指に驚き、そして翻弄される。
『じんじんする……』
 むず痒い様な痛い様なもどかしい感覚に項垂れる少女の乳首が両方捏ね回され、それは指を離してもそのままぷっくりと乳首の形を浮かび上がらせたまま元には戻らない。まだ都心のビル群の中を進む電車の窓に映る露骨な乳首と、そして彼の顔をちらりと盗み見て、また少女は俯く。インテリ系だと思っていた彼の思わぬ暴挙に驚きながら、乳首のむず痒さに徐々に呼吸が乱れそうになり、少女は必死に呼吸を整える。
 不意に、先刻まで乳首を捏ねていた一方の手が肩掛け鞄と身体の間を抜け少女の下腹部に重なり、するりとスカートをたくし上げた。乳首を捏ねられている時点で意図してのものなのは確実だったが、まさか下腹部まで弄ばれると考えていなかった少女の身体がびくんと跳ねる。いやたくし上げる必要もなく、少し指を動かすだけで短過ぎるスカートの裾は不埒者の手の中に収まり、その指は小さなパンティにあっけなくたどり着いてしまう。
『どうしよう…、どうしよう……っ』
 コスプレのセットにあった黒のニーハイストッキングとストライプのパンティをそのまま着用してしまった事を少女は後悔する。特殊素材と思われるフィットしたブラウスもだが、面積がかなり小さな白と水色のストライプのパンティは下腹部を隠すだけで側面などは紐で出来ており、少女にとってはかなり異常な…正直に例えてしまえば露出狂の様ないやらしい物だった。クロッチもない素材はブラウスと揃いで伸縮性が異常に高く、汗を掻けば更にぴったりと貼り付いてしまうだろう。
 片方の乳首とパンティーの上から反応を探る様に執拗に下腹部を撫で回されている間に、何駅も電車は通過していく。聞き耳をたてて得た情報によると彼の最寄り駅までは1時間程ある筈だった…彼はいつもこんな様子で痴漢行為を働いているのだろうか?どんな女性に?彼の好みはどんな女性なのか…自分は少しでも彼の好みなのだろうか?そんな事を考えている少女の瞳に浮かんでいた痴漢行為への戸惑いと不安は妖しくとろんとしたものへと変わっていく。電車の揺れと彼の両手が齎すもどかしい様なくすぐったい様な、ずっと続けて欲しいとはしたなく考えてしまう心地よい感覚に、ずっと開かない扉の前で少女は全身を桃色に染めて荒れそうになる呼吸を堪える。周囲のサラリーマンは気付かずにいてくれているのか、もうどれだけ経っているのか。恥ずかしいのに永遠にこの状態が続いてくれればと、密かに少女は願ってしまう。
「――ぁ……!」
 ぬちゃっと不意に濡れた音が下方で生じた。
 彼の指がずっと弄び続けている下腹部が酷く熱く、そして電気を流された様な鋭い刺激とその後の波が引く様な重く心地よい気だるさの繰り返しが性的なものだとは判っていたが…これが噂に聞く『濡れている』状態なのだろうか。あまりの恥ずかしさに前屈みになりしゃがみ込みそうになる少女の乳房を下腹部をぐいと彼が引き寄せて留めさせた。
「そのまま」ぽつりと短くかけられた耳元の声に、少女の身体ががくがくと震える。「続けて、いい?」
 その問いの後に続いた自分の苗字に、少女の顔が真っ赤に染まる。彼に苗字を覚えられているとは思っていなかった…覚えて欲しいと思って着た衣装がこんなに淫らなものなのが恥ずかしい。だが、彼の声に逆らうなど考えられない。
「はい……」
 そう応えた少女のパンティーの上端から、濡れきった彼の指がぬるりと処女の下腹部の生肌へと滑り込んできた。

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