2001年

血族

私の血族は代々霊媒を生業とした一族
故に、その血を継ぐ私にも霊感資質が顕れた
私が心寄せれば、霊感が閃く
私に心寄せれば、霊感が閃く
お互いを受け入れる恋人なら覿面だ
恋人を得た状態は、それは失う土台でしかない

では何故、この血族が受け継がれる事が出来たのか
霊能者である男が女を護り、護られた女と惹かれあって受け継がれた血族

しかし、護る対象が求めるのは力
決して私が求められているわけではない
しかし、歩んだ道は暗躍という力の提供
唯一無二の依頼人は自分自身である事を強いた力の提供

もしも、生涯傍らで護らせてくれる女性が居たのなら喜んで騎士になりたい
それが私から心寄せた女性ならどんなにか素敵だろうか
だがしかし、しかしだ
私がいた性で付いた霊感から護るなんて本末転倒ではないだろうか
だがしかし、しかしだよ
その女性が、ソレを推して私を求めてくれたら、否、求めてくれる以外に対等な恋愛が出来ないのだと思う
半端に近しい交友なら、問題しか生まないのが私の血だ
だから、相手が私を求めてくれないのなら私は嫌われてもらうしかないだろう?
そして自分も思いを封殺する以外に無い

7年前とは違う
しかし、本当に出来るだろうか
先ず、相手の霊感を目覚めさせない様に出来るだろうか
目覚めてしまった霊感から彼女を護る事が出来るんだろうか
結果を結ぶ事に及ばないのなら、成長が結果を出せないなら、無意味だ
7年前と同じだ

この能力を閉じる事は、自分が死にきれなかった時の保険を捨てる事だ
誰かが自分を、自分の大切な人を死に切らせてくれる
そんな事を信じるなら、信じたいならば
私は目を閉じるわけにはいかない
そういう、自分という人間が居たのだから、誰か他に居てくれても良いじゃないか、と

自分の欲求と推論と自信の無さが葛藤する

「武士道は死ぬ事と見つけたり」で有名な「葉隠」より引用するが
「恋の至極は忍恋と見立て候
 逢いてからは恋のたけが底し
 一生忍んで思い、死する事こそ恋の本意なれ」
要するに、ドンキホーテ・デ・ラ・マンチャの恋だ
キハーナ侯爵から騎士ドンキホーテへ

敵も居ない
愛もない

それでも、身を焦がす恋がある
私は人を好きになっても良いのだろうか
確実な事が一つ
扉の鍵は一つあれば充分

もう一つ、確実な事がある
コレが完成した私ではないと言う事
そしてまだ時間は有るという事

血の色をした夕日
累々と横たわる死屍
何処かにあるはずの私の死屍

Oh please die pussycat !
Why don't you smile for me ?

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