1994年
朱美は中国に戻った
理由を聞く暇も無く私の前から消えてしまった
李さんの情報は変わることなく提供された
私は何をすればいいのか解らなかった
だから、コレまでと変わらず暗躍を続けた
その折り、大きな仕事が有ると教えられた
それが私が龍を見た最初だった
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1945年
仏で言うトコロの大祖国戦争終戦
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1943年
日本帝国陸軍は中国まで攻め入っていた
しかし、既に残存勢力とも言うべき兵は気力だけで進軍をしていたのである
現地の日本兵の中に敵前逃亡する者があってもおかしくはない
そして、現地の人間と山に逃げおおせた者が居たとしても
日本兵において敵前逃亡は戦死扱いとなり戸籍が抹消される
そして戦禍に見舞われた村での行方不明者も同様の扱いであった
日本兵が中国の娘を連れて逃げたとしても不思議はない
そして二人が鬼籍に入る事は間違いない
その子孫が闇子になるのも間違いはない
その血統の果てには誰かが居るに違いない
ただ、其れが朱美に育ったのは奇跡的な出来事だった
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1960年
香港の一画に在る貧民街
そこで産まれた者は産まれながらにして貧民であった
子供は須く、盗みを覚えるのが仕事だった
ソコでは何を生み出す事も出来ない場所だから、盗むしかなかった
イズレ少年は気付く
盗む相手は、誰から盗む事もなく、其れを所有している事実に
そして、憎む様になる
仕事を覚え、技を磨いた者はそのまま黒社会に歩を進める
ソコに立ち止まるか、香港の裏通りを歩むか
そうする以外に生きる術はない
その中にも兄弟が居た
兄は策略に秀でた男だった
弟は力を振るう術を知っている男だった
組織としての黒社会は二人を求め、二人もその生活を望んだ
二人はそれぞれの仕事をこなす様になる
まだ10年程しか生きていない子供が
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1972年
兄弟はそれぞれの仕事をこなしながら着々と組織の上層部へ、闇の深部へ向かっていた
知識を得れば得るほど、社会に対する憎しみが増す
社会でへらへらしている幸せ面した連中には反吐が出る
社会を動かすような権力者達を殺したくなる
募金の名の下に、良い事をした顔をした連中が、幸福感を得る
たかだか小遣いの一部を気まぐれで施す道楽の援助金
反吐が出る
兄弟は社会を憎んだ
そして社会を喰らう事に躊躇いを覚えなくなっていた
後に朱美を名乗る男が産まれた
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1985年
兄弟は別離した
弟は祖国で暗殺組織を牛耳るようになった
兄は弟を止められなかった
そして日本にやって来た
弟を止められる可能性を逃がすために
朱美は麻薬王を殺す力を付けるために
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to be continued
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