Phantom5話。うーんとこれは時間が経ってきたということなんですかねぇ。各人物の心情に明確に動きが出てきた印象です。Phantomの活躍によりサイスマスターの地位、発言力ともに高まり、クロウディアは押されてきたと? なんだか先週の引きが引きだっただけにどうもうまく繋がっていないように感じてしまいます。
てっきり先週で終わりと思ったマフィアが今週も登場。引き続いて出たわりにはあまり存在感なく終わったような感じ。側近の人といい、もしかしたらゲームの方だともっと濃密な描写があるのでしょうか。
「マジスキ〜Marginal Skip〜」。2人目は宮崎由紀菜。
おお、これは呉氏らしいと言っていいのかどうかわかりませんが面白いです。物語全体に緊迫感があって良い感じ。
個別シナリオに入ってすぐに明かされてしまうので書いてしまいますがタイムリープネタ。全体的にそれしかないというくらい一本で勝負していてミステリー仕立てになっています。しかし、このシナリオの伏線が共通シナリオで入っているんですけど、これがまた重い。詳細はこの由紀菜シナリオでしか明かされませんからヤキモキするし、わかったところでこの事実はずっと残っているんですよねぇ。よくそのシナリオをクリアすると他キャラのシナリオに入りづらくなる、なんて話を聞きますが由紀菜シナリオはまさにソレ。普段、私はそういうのをほとんど感じないんです(「パルフェ〜ショコラsecond brew〜」でさえそこまでではなかった)けど、さすがにこれは。ちょいとレベルが違いますよ。
謎を出して展開させ解決を図る。この一連の流れがうまくできていたと思います。関連性は薄いですけど序盤のサブキャラシナリオのホラーちっくなところも良い前振りになっていたかと。ただ、解決編とも言えるクライマックスは余韻のことも考えてもっと長めの尺を使って詳細に書いた方が良かったかも。流すように短くまとめてしまったのがちょっともったいないように感じました。
タイムパラドックスの設定と解釈は深くは突っ込まない方がいいのだろうな、という様相です。SF的に細かく見ていけば組み立てが怪しいところは多いので。つーか、純粋に意図がわからない行動とか少なくないのですよ。公衆電話への通話とかどこにその必然性があんのよ、と。鶏が最初か卵が最初かという命題も加わってきますからね。まぁ、目時由紀菜の存在も関わってきてそのあたりの繋がりから細かいところは御破算になっている感じですけど。
テキストとしては主人公に対する呼称の不統一が気になりました。「貴之くん」と「たーくん」の2つがそれ。最初は人前かどうかで使い分けているのかと思いましたがそんなこともなく。2人きりの屋内の会話でも短いシーンで双方を使ってましたからねぇ。かといってライターが気付いていないとは思えない。うーん、どういうことなんだか。
ヒロインとして由紀菜はなかなか魅力的です。肩書として異世界の姉妹姫やアイドルに負けている中で「命の恩人」という儚い看板を掲げて健気に頑張っています。まぁ、安玖深音さんのボイスによる加点効果が大きいですけれども。彼女の声で幼なじみというところがいいですな。ただ、CG的にはちょっとよろしくありません。原画のひなた睦月氏は未だに出来にばらつきがあるんですよねぇ。良いものは良いんですけど、たまにあれ? って感じのを出してきます。由紀菜の場合で言えば立ちCGがちょっと。ジト目のものは言うに及ばず全体的にどうも可愛さ不足。それでいて少女時代の由紀菜が異様に可愛いものだから皮肉な結果になっています。その差たるやヒロインとサブではないかというくらいに離れています。同一人物なのに。
3人目は天津冬子。
由紀菜シナリオの後だと驚くくらいに貧弱な内容。え、本作って複数ライター制でしたっけ? というくらい。命題も面白味がなく(というか説得力が弱い)、困難さに著しく欠けています。物語としてはそれ以上に苦しいです。盗撮犯とパパラッチとの攻防がメインですからねぇ。どうやら各シナリオの前哨戦はサブキャラシナリオのようなんですが、副会長である左京みやこが活躍する魔法と退魔術でイケイケ地獄変(勝手に命名)というトンデモエピソードの方がよっぽど面白味があるというあたり……。
ヒロインの造型ももうひとつといったところ。嫉妬深いのと精神的な未熟さが合わさってしまっているせいでどうも可愛くないキャラに仕上がってしまっている感じ。せっかく良いエピソードがあっても次で自らぶち壊してしまう、の繰り返し。これではちょっとねぇ。パパラッチのせいでいちゃいちゃする描写を控えなければならないというのも痛い。なんというか手足を縛られながらシナリオを構成しているような。アイドルという旨味を自ら減衰させてしまっています。
シナリオのラストがグダグダなのも明らかなマイナス。意味の薄い細かいエピソードを繋げてエンディングに至って驚いたくらい。てっきりもう一山あるかと思えばねぇ。
しかし、一番はみやこ先輩の方が可愛いということでしょう。オープニングデモで最も魅力的に見えたのも彼女でしたし。褒め殺しキャラがまきいづみさんというのも大きいかもですが。
シェーラシナリオでの欠点は相変わらず。人数の多さ、距離の近さを活かすことができていません。
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