2周目は東儀白。
やはり安心するのは早計であったようです。個別シナリオによる折れ線グラフは早くも下り坂を描き始めました。まぁ、早い話がいつもオーガストですね(はぁと)、とか表現したくなる感じでしょうか。
白のキャラクターはそれほど悪くはないんですよ。名は体を表す、ではありませんが銀色の髪に細い体も相まって顔が白すぎるほど白いのが気になりますが、それ以外はとてもいい娘ですし。生徒会の愛すべきマスコットという意味で申し分ないと思います。
やはり問題はシナリオです。2人に降りかかる障害が発生も解決も非常に強引で。
東儀の家は歴史ある名家で様々なしきたりが色々ある。例えば結婚相手は分家から選ぶとか、祭の時には本家の人間が特別な舞の担い手になるだとか。
主人公はもちろん部外者で一滴たりとも分家の血は流れていない。けれども若者の情熱は止められない。当主である兄曰く、東儀を捨てるか、男を捨てるかの二択であると。白にとって母から教わった舞はとても大切なもの。おいそれとは捨てられない。もちろん、主人公のこともそれは同様でいくら考えても堂々巡り。これが障害。
ではどう解決するか。答えを出せないままずるずると日々は過ぎて祭の日。形としてはどちらも選べない白はただ先にやってくる時間によってのみ舞を捨てようとする。
しかし、主人公は確かな根拠はないけれど、やはりそれはさせられないと、白を連れて祭へ向かう。無事に間に合った、となれば主人公との別れが確定的なはずなのに白は充実感いっぱいの笑顔。兄から東儀を捨て分家の養子となるよう言いつけられた白はなぜか動転。基本的に最初の条件通りのはずなのに初めて聞いたような狼狽ぶりを示す。
改めて考えるまでもなく障害は解決していないように見える。祭は毎年あり、大事な舞を結局は捨てることになるのだが、なぜだか2人は解決モードで気にしている素振りは少しもない。そのままエンディング。
と、まぁこんな感じで正直、お話になりません。これ以外にメインストーリーと呼べるものはないのでたいそう苦しい、と。
そういや白は名字が変わったはずなのにおまけシナリオのスク水にはなぜ旧姓の東儀と書かれていたのでしょう。他にスク水を着る機会なんてなかったのになぁ。
3周目は紅瀬桐葉。
我ながら甘かったです。この桐葉シナリオに比べれば白シナリオはぜーんぜんましでありました。思わず駄目だこりゃ、と率直に言ってしまうフォロー不可能さがこのシナリオにはあります。
まず露骨なまでに複数ライター制の影響が出ています。「夜明け前より瑠璃色な」にもあった、いきなりテキストレベルが低下するという事態です。端的に言って主人公の性格がこれまでの2シナリオや共通シナリオとは明らかに違います。
体育祭実行委員長を見事にやり遂げ、後輩からもいくらか慕われるようになった生徒会役員の姿はどこにもありません。桐葉シナリオの主人公は見事なまでにやる気なし。傍目にはなぜ生徒会に属しているのか不思議でならないレベルです。副会長に用を言いつけられれば最初に出るのは「それは強制じゃないだろう」のセリフ。現実にはそんなものだとしても、創作で無意味にこういう態度をとられるとかなりイライラさせられます。
「他人の事情に首を突っ込まないのが基本」と称して副会長の指示をシカト。そのくせ桐葉のことはストーキングするという分裂具合。やはり共通シナリオとは別人。主人公のこんな姿勢を陽菜が聞いたら泣きそうです。
クールでニヒルを気取っているつもりなのか、終始ぞんざいな態度で何もしないくせに偉そうな態度が目立ちます。相手がサボリの常習犯だから自分が上だと思っているかのような。
白シナリオも大概でしたが桐葉シナリオはそれに輪をかけて惹かれあう過程が無茶苦茶です。主人公のしたことと言えばストーキングの末に桐葉のお気に入りの場所を探し当てたが、その場所を生徒会には伏せていた、あとはひたすら付きまとっていただけ。ですが、生まれてから誰にも興味を持たなかった桐葉は「いつの間にか」主人公を好きになってしまいます。ちなみに白シナリオも「いつの間にか」でした。
素直に言ってついていけない超展開です。桐葉の正体よりもこちらの方がよほど「超」に相応しいと思います。また、恋仲になると途端に態度のでかくなる主人公が痛すぎます。
シナリオの基本的な流れも苦しく誉めるところが見当たりません。シスターから桐葉を逃がすために主人公が採った手がガラスを3枚割るとかもう完全に意味不明です。いくら慌てていたからってそれが生徒会役員のすること?
ラストシーン手前、桐葉の部屋に入る前の瑛里華の退場のさせ方も酷い。いくらなんでも強引でセンスなさ過ぎ。ちょっと考えれば幾らでも自然な手は考えられると思うだけに。
ま、こうした不備が全て気にならないなら恋人描写そのものは悪くないと思います。Before→Afterの落差があまりにも激しすぎる気はしますが。
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