4人目は猫魔法使いのミオ。
なんとなくヤな予感がしていたからここまで後回しにしてきた訳ですが、大・当・た・りでした。心象はまさに大降下。でもスタッフ的にはこれが一番見せたかったお話なんではないでしょうか。なんかそんな感じ。
ミオはとにかく口癖の「にゅーん」がかなり厳しいです。今までは所詮、他人のシナリオ。稀にしか出ていなかったのだと思い知らされます。エンディングまで一体何度聞かされたことか。カウントしておけば良かったと後悔することしきり。
雇う際の条件もなかなかすごくて。食(含むケーキ。ないときもあり)住だけでフルタイム労働。しかも、金銭的報酬一切なし。もうね、おまえは奴隷商人かと主人公に言いたい。つーか、そもそも猫をケーキ屋で働かせるなと。衛生面は大丈夫なのかとっても心配。
登場人物たちの職業意識の低さもなかなかに極まってます。お使いに出かけて公園で眠るミオ。それだけでも大したものだと思いますが、そこはまぁ猫ですからわからないでもありません。わからないのは従業員たち。主人公以外はミオが猫だということは知らないのに「暖かいから仕方ないよ」とか言いやがります。それはつまりアレですか。気分次第でいつでもフケるのはOKということですか。
それにしてもマイウェイ過ぎる店員ズ。店員同志のいざこざを店に持ち込むなど朝飯前。平然と大声で口論したのち職場放棄、さらにそれを追いかける。閉店まで帰って来ない。そうかと思えば青春ドラマのように盛り上がる。もちろん営業中。もちろんお客は背景。
このゲームで唐突に体調不良や日頃触れることのない予定を告げた時はご都合主義イベント発動の確かな合図。ミオシナリオでは1人が試験終了でお疲れ、2人が風邪を引いたと自己申告。そこにやってくるはケーキを台無しにしてしまった小さなお客様。
主人公はいつ猫になってしまうかわからないので当然受けることは出来ない。そこで必然的に(?)ミオが作ることに。予想通り、何もしない内に主人公は猫化。口頭での指示だけでケーキを作るミオ。ちなみに初挑戦。それをお客様に出す根性。心さえこもっていれば資格も技術も知識も不要。とても賞味期限切れ寸前の小麦粉で作ったケーキを捨てた人間とは思えません。
無事、ケーキを渡したところで店員が出勤。事情を話す主人公。驚いたことに主人公が作れずにミオが作ったことを不思議がりません。非難めいたことを言う気配さえなし。つくづく不思議な店です。
シナリオも後半に入ると恋愛描写が増えてくるのですが、主人公が救いようもない鈍さを発揮。あまりにもあからさまな態度や思わせぶりな言葉にもしやとさえ思わない。他シナリオもそれなりに鈍かったですが、ミオシナリオは頭ひとつ飛び抜けてます。まさに軟体動物なみの鈍さ。プレイヤーは閉口すること必至。
無事カップルになったものの、主人公猫化の魔法は未だ解けておらず。クリスマスになれば、と言うミオ。24日の営業は夕方にして早々に終了。クリスマスに暗くなる前に店じまいするケーキ屋。ありえない。こんなところでもマイウェイぶりを発揮。さらに遊園地にデートに行くことに。ケーキ屋がクリスマスに遊園t(以下略)。ありえない。
しかし、このゲームの恐ろしさはまさにここから。
デートもクライマックス。定番の観覧車へと乗り込みます。ここでも輝けるご都合主義スピリッツが炸裂。主人公たちの乗るゴンドラが頂点付近に来たところでアクシデント発生。観覧車が止まります。
ぶつくさ言う主人公に一緒にいられる時間が長くなって嬉しいというミオ。ここまではいいんです、ここまでは。あんまり嬉しすぎたのか、キスだけでは我慢できずHシーンに大突入。ありえない(3回目)。
修理完了後、スッキリした2人は何事もなかったように観覧車を降ります。ようやく魔法を解く展開に。12時まであと5分。ちと引っ張り過ぎなくらいです。そして土壇場で明かされる衝撃の事実。なんと魔法は解くことが出来ないのです。
そもそもミオが主人公に猫化の魔法をかけたのは、主人公が野良猫に冷たいと思ったから(これは誤解だった)。魔法を解くか解かないかはミオが見定めてから、という成り行きで住み込むことになった訳ですから雇う方も雇う方なら雇われる方も雇われる方ということですか。
つまりミオは最初の時点では暖かい寝床とケーキ食べ放題の条件をだけを得て、主人公を元に戻す気はさらさらなかったと。
で、残された方法はミオの魔力全てを費やすこと。だがそうなるとミオの命は……、ってここはもしかして泣くところなんでしょうか。あまりといえばあまりな、いきなりの感動展開に開いた口が塞がらず。
エピローグは最後のご都合主義にて収束、とだけ書いておきます。はぁ、ほんとにすごいシナリオでしたよ。最後に極めて個人的な感想を書いておくと、動物と恋愛する気はない! というところですか。
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