先日、どうにか「‘&’−空の向こうで咲きますように−」のゲーム感想をアップしました。意欲的な姿勢は伝わってくるんですけど、どうもそれが空回り気味であるような作品でしたね。実力は感じるだけにもったいなさを強く感じました。
「この大空に、翼をひろげて」。1人目は姫城あげは。
本来、このゲームを買うつもりはありませんでした。しかし、他に目ぼしいタイトルがないという消極的な理由から手を出すことに。正直、この題材は過去の作品がもうひとつのものばかりでしたからね。期待していませんでした。
それが、この驚きの完成度。完全に舐めてました。まさか、ここまで手を抜かずにしっかりと作り上げてくるとは予想の斜め上をいってましたわ。まだ1周目ですが、作り込みにかけては心配ないでしょう。不安があるとしたら、やはりライターが異なるルートでしょうか。内訳は知りませんが3人制ですからね。
本作は共通ルートがすんげー長いです。きとんと計ってませんけど、10時間とかかかったと思います。第2オープニングが入るまでは前座と言って良い内容なんですが、ここまでがとにかく長い。テキストは題材的な読みにくさはほとんどないので、すいすい読めるんですが、それなのに長い。
けれど、長すぎて疲れるということもない。恐らく全体的な描写が軽いからでしょうね。グライダーが好きな人には物足りないのでは、というくらいに専門的な描写は少ないです。ぶっちゃけ他の題材でもそれほど問題ないでしょう。それくらいの濃度。もちろん、素材を新たに用意してとか、そういう話は別ですけど。
さてPULL TOPと言えばもはやお約束なのが攻略できないサブキャラ。今回もいるんですよ、しっかりと。ゲームが始まって2番目に登場する立ちCG持ち。その名も時雨佳奈子。普段から寮の中を下着姿で平然とうろつくお姉さん。普段はアレですが、要所ではみんなをしっかりフォローしてくれます。私は普通に「これがヒロイン2人目か」とか思ってましたよ。毎回毎回、本当に懲りないですね(他人事のように)。
ヒロインのあげはさんは再会系幼なじみとあってそのポジションに恥じない活躍ぶり。まるで丸戸史明氏の主人公と訳ありヒロインを足して2で割ったようなお方です。大きなものを隠しつつ、不言実行でしっかり成果を上げてきます。主人公は尻に敷かれるほかないですね。
しかし、良いからこそ気になるところもある訳で。恋仲になる前の足音が聞こえる、というくだりはちょっと不確かな感じですね。単純にそれほど特別なことに聞こえないということもありますが、そのままだと単に主人公やあげはの聴力がすごく良いだけ、という風に聞こえてしまいます。恐らく、足音で誰かわかると言いたいのだと思いますが、これでも実はそれほど凄いようには聞こえないですからね。人間、聞く機会があるのなら意外とわかるものなんですよ、足音って。まぁ、問題は落ち着いた環境で聞く機会があるのかってことですね。ただ、それを強調してみたところであんまり効果的とも思えないですし。あるいは第六感が、と言いたいのかもしれませんがそれにしてはちょっと描写が足りない感じ。
他には妹のほたる。これは不備ではないですけど、姉妹で似ていて魅力があるところをしっかりと書いてしまっただけに攻略できない、というかルート分岐できないことがもったいなく感じられてしまいます。何せ最後まで主人公を狙ってるしな〜。双子ヒロインが2人で1ルートっぽいことを考えても、ね。
あとはほたるの恐れるものでしょうか。見方次第だと思いますが、過去の事例は告白を断ったから秘密基地が失われたようにも見えるあたりちょっと苦しいものがあります。ほたるは自分がいるから秘密基地が失われた、と受け取ったようですが……。これが丸戸史明氏なら前者パターンを用いて恋仲になるのがもっと遅くなりそうです。
Hシーンはかなり頑張りが感じられます。それほどエロさのない素材を頑張って2倍、3倍に高めています。CGの拡大演出って馬鹿にできないですよね。ただ、あんまり加速度的に仲が進むので心配になるくらいでした。そのうち、純愛系なのにアヘ顔ピースとか出るんじゃないかと心配になるくらいあげはさんはエロエロになってしまうんですよ。もちろん、杞憂ですみましたけども。
本作は演出もかなり頑張ってます。木の葉や雨、グライダーなど要所で印象的に見せてくれます。中でもラストの演出は予想外で見応えあり。まさかホントにゼロヨン演出を入れるとは。思わず笑ってしまいました。
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