3人目は真堀束沙。
2周目までと展開が変わったのはいいのですが、なんだか雲行きが怪しい感じに。途中から主人公と束沙以外ほとんど出なくなるというのはどうなんでしょう。カエレンジャーとしての集団ドラマはすっかり置き去りなような。いや、別段そういう展開があったって構わないんですよ。ただ、それがシナリオの重要なところのほとんどを占めているのはどうなのかと。
しかも、尺は短いとはいえ、事件の最後のオチのところは束沙ではなく、麗がメインを張っています。これでは一体、誰のシナリオやらわかりません。束沙本人がそういうこだわりのないキャラと言ってしまえばそれまでですけど。
ヒロインとしても効果があまり感じられません。お約束の可愛い女の子姿が正直あんまり魅力が上がったようには見えないと言うか、そもそも劇的に変わったという主人公たちの言葉に違和感があります。そんな変わってないじゃん、っていう。あと束沙のどんな願いからエリリルが生まれたのかよくわかりません。みんなの願いはちょっと歪んでいるのに束沙のはそのまんま過ぎるような。そのせいか全然、触れてないし。
惹かれ合う過程とかもう完全な開き直り。実験としての性行為に興味があるという、ただそれだけで強行突破。ある意味ジョーカーである生命の危険を感じると子孫を残したくなるという技まで使っています。いやもうなにかね。
4人目は連城八重。
束沙シナリオが可愛いほどだったというトンデモ展開。プレイ中はもうどう収拾するんだ、コレ? ということしか考えていませんでした。それにしてもこれはちょっと酷いなぁ。展開に幅があればいいってものじゃないといういっそ見事なまでの見本です。少なくとも、この唖然とするような流れにドキドキするか、ワクワクするかしないと失敗ではないかと思います。取りあえず、私は無理でした。
束沙シナリオ同様、八重シナリオとしてもちょっと。というか、そのシナリオでしか起きないことが多すぎるんですよね。特に現象面。そのせいで都合が良すぎるように見えてしまう。伏線として機能させようという気もあまりないのでしょうか。辛うじて束沙シナリオでちょっとあったくらい。
恋仲になる流れもかなり酷いです。八重と2人で食料を探しに行って遭難。みんなが心配して夜通し探しているのに、見ず知らずの他人の家で告白して即Hとかもうどうしようもないです。しかも、バニーガールの衣装まで物色するというおまけ付き。これは当然、次への最低な伏線になっている訳です。もうため息しか出ませんよ……。
しかし、本筋の方はもっと酷いです。とにかく主人公の感覚にとてもついていけません。内容もさることながら自分の決めたことを集団の決定として押し通そうというあたりがもう。しかも、建前の上でだけはあたかもみんなで決めたかのようにするという気持ち悪さ(一行は迎合しやすい人間が多いので先頭切って何か言うと大抵は採用されてしまうのです)。
ストームブリンガーに関する件がまさにソレ。未曽有の事態に陥ったのにストームブリンガーには元通りにする力は備わっていない。しかし、主人公のグレイスワンダーならばそれが可能。なのに道具の力に頼るのは嫌だと言って使わない。
一体、誰に成り代わってそんなことを決めているのでしょう。この事態で死んだ人、大怪我を負った人、その家族たちに対しても同じように主人公は言えるのでしょうか。そもそも、ストームブリンガーが生まれたのはグレイスワンダーから。そして、間抜けにもグレイスワンダーを盗まれたのは主人公自身。全ての元凶は主人公にあると言っても過言ではないくらいです。道具は危険なものであると認識していたのですから。それなのに自分の落ち度もなかったことにして勝手に使わないと決める。あまりにも傲慢すぎるのではないでしょうか。八重の兄も大概ですが、少なくとも主人公には責める資格はありません。
道具の持ち主だから他の道具も含めて起こったことに対して責任をとると豪語する摩樹の方が遥かに人として正しいし、主人公らしいでしょう。結局、主人公の言っていることは情けない責任逃れでしかありません。束沙が言ったように道具に善悪はない。使う人間にこそ、それがある。これは最も痛烈な形で主人公に帰って来たのではないでしょうか。まぁ、気付いていないみたいですけど。
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