大晦日の仕事の何がキツイって、それは仕事が終わったあとの食事。自炊する気には到底なれず、さりとてこんな日な上にこんな時間なのでロクに店もやっていない。わかっていても、なんだかものすごく突き放されたような感じがしてしまいます。まぁ、鬱日記を書いても仕方ないので本題に入ります。
昨日の予告通り、2002年公開になりましたが気にしないことにします。
あまりもったいつけても意味がないので1位から。
第1位 「家族計画」(D.O.)
割と接戦で最後まで悩みましたが、僅差でこちらに軍配が上がりました。正直、プレイするまではここまでの作品だとは想像もつきませんでした。てっきり上半期で今年の行方は定まったと思っていましたから。
理由としては家族ドラマを軸に描かれた読ませるシナリオももちろんですが、決め手になったのはその再読性の高さ。私の場合、共通シナリオというやつは二度目以降、ほとんどスキップしてしまうんですが、この作品に限っては違いました。かなりのパートを読み返してます。それもプレイの度に。
文体が非常に好みであり、「ぶるまー2000」や「奥さまは巫女?」にも匹敵するほどギャグが面白かったことがポイントかと。繰り返しの精読に耐えうる文章なんですな。
もうひとつ。いわゆる泣かせる話や重たい話というのは、エンディングを迎えてからしばらくは再プレイする気が起きないものです。精神が多少なりとも、作品に引きずられていますから。しかし、「家族計画」にはそれは当てはまりませんでした。エンディングの演出が巧みということもありますが、コンプリートした翌日にはもうプレイしていましたから。
キャラクターたちと同一空間に身を置く心地よさは「とらいあんぐるハート2」にも匹敵するほど。これは私にとって最上級に近い誉め言葉です。
第2位 「月姫」(TYPE−MOON)
惜しくも2位ですが、2001年前半をリードしたのは間違いなくこの作品でした。
数多のエロゲーメーカーに活を入れるべく現れた同人ゲーム。その力の入り具合は半端ではなく、多くのユーザーを魅了しました。同人作品であることを利用した発売までの流れもうまいです。体験版を発売し、その意見を取り入れた上で正式版を完成させる。これによってシナリオの完成度も飛躍的に上がったようです。見事の一言。
キャラクターも驚くほどに魅力的。同人誌が過熱している現状がキャラクターデザインの優秀さを物語っています。やはり、ただの記号で終わらないことが大事ということなんでしょう。
第3位 「秋桜の空に」(Marron)
第2位と3位の間は少し開きがあります。上位2作がトータルバランスにも優れていることからなんですけど。
正直、本作はシナリオ(というかテキスト)以外はあまり誉められたものではありません。バグも含めて改良する箇所には事欠かないゲームです。しかし、しかしです。そんな欠点を補って余りあるほどにテキストが光ってます。エロゲーをプレイして抱腹絶倒する、なんてのは滅多に経験できるものではありません。
優秀なキャラクターデザインによって生み出されたキャラクターたちの絶妙な掛け合いが強い印象となって心に残ります。
第4位 「行殺(はぁと)新選組」(ライアーソフト)
昨日も描きましたが、発売日は2000年でもプレイしたのは2001年ということで。
才能をもったチームが真面目に作る馬鹿ゲーというのは不思議な輝きを持っています。一見、無茶苦茶に作られていながら要所要所ではしっかりと線引きがされていて、その上で物語が小気味よく進んでいく。
破壊力と牽引力の高いオープニングデモから始まるストーリーは他では見られない雰囲気を醸しだしています。
フェイスウインドウを使ったアイデア賞ものの演出に、しっとりした曲も忘れてはなりません。
第5位「月陽炎」(すたじおみりす)
記号によって作られたキャラにていねいなテキスト描写でしっかりと肉付けしていく。存在感のあるキャラクターたちには自然と惹かれます。
スピーカーの片側だけ使ったり、進行具合によって音色を増やしていくなど、音響面での工夫が光りました。
終盤の盛り上がりに欠けるシナリオやあまり後味の良くないエンディング(それもひとつの道だろうが、再プレイに繋がりにくい)が残念。
次点1「univ〜恋・はじまるよっ〜」(カクテルソフト)
なんといってもそのチャレンジ精神を評価したい。
時代に逆行するかのようなキャラデザやシステム。普通を目指すことがどれほど困難であるか。製作期間だけはうんざりするほどかかるのに一定以上の評価はされない。スタッフの苦労が忍ばれます。
次点2「みずいろ」(ねこねこソフト)
ギャルゲーの「普通」を目指すというコンセプトは想像以上に難しかったのか。弊害が多く出てしまったのは残念。中でもシナリオの先が見えやすいのは大き過ぎる欠点かと。
シナリオの出来にばらつきがあるのも気になるが、メインである二人のシナリオは秀逸。全員がこれなら順位の逆転もあり得たが。
笑えるエッチシーンなど、他を寄せつけない豪華な「おまけ」は好印象。
番外・今年一番の期待外れ「君が望む永遠」(アージュ)
私の場合の期待外れとは、事前の期待度と発売された実物との落差によって決まります。一般に地雷とされるゲームもそれほど期待していなければ、たいしたダメージを受けません。
「君が望む永遠」は先行体験版のせいであまりにも期待が高まってしまったのが原因と言えましょう。
プレイ中に不快な気分にさせられることが多かったのも、良くない印象として残ってしまっています。しかも、時間が経ってもそれが薄れない。
今作は、理詰めで考えられた話にしてはスマートさに欠けるし、閃きで書かれた話にしては整合性や気になる点を無視するほどの圧倒的なパワーが感じられない。加えてシナリオよりも演出そのものの方が前面に出ている印象があるというのもツライ。
1章だけなら上記の作品群にも負けないんですけどね。
と、こんなところで終了です。2002年も心に響くゲームが1本でも多く発売されますように。
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