映画に限った話ではありませんが、期待というものは危険です。諸刃の剣というより、一方的に傷つくことが多いからです。先入観(先行イメージ)も似たような効果を持っています。いずれも個人のイマジネーションが問題なのですが、そのせいで楽しめるはずの作品が楽しめないというケースがままあります。
人によってはそれを防ぐために可能な限り、情報をシャットアウトしたりします。私はわりと無頓着なので無闇に悲劇を呼び寄せることが多いです。おまけに懲りるということを知りません。
今回の「モンスターズ・インク」もCMは一体、何度見たことかわかりません。十回やそこらできかないことは確かです。そして、この作品はそんな状況でも期待してやまないタイトルでした。よって楽しみな反面、不安でもありました。
結論から言うと、心配は杞憂に終わりました。事前のイメージを遥かに超えて素晴らしい出来です。
まずは前座(?)のようなショートアニメ。これがアニメーションの進歩をまざまざと見せつけ、その上で人を問わない面白味を醸しだしています。
本編でもその勢いは衰えません。「シュレック」と比較しても格段に美しい背景描写。オモチャなどはあくまでも繊細に柔らかく、金属は重い硬質さを描き出して、しっかりとメリハリをつけています。
キャラクターはそんな背景描写に負けるどころか、それ以上の存在感をアピール。モンスターだけでなく、人間もさらにクセが少なく可愛らしくなりました。
ストーリーは小技を用いているものの、基本はあくまでもわかりやすい王道を貫いています。
まさに誰にでも薦められる映画。これを見ずして今年の映画は語れないと断言できる仕上がりです。冒頭10分でDVD購入決定。
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