62   学園☆新選組!〜乙女ゴコロと局中法度〜(May−Be SOFT)
 
 松原悠(変更不可)は憧れの愛津女学園に足を踏み入れていた。男子校からただ一人、共学化のためのテストケースとして招かれたのだ。だが、女の園は共学を推進する討学派と反対する佐学派に分かれて争っていた。なぜか帯刀した真剣を用いて。
 悠は佐学派の中心勢力である新選組に属することになり、この争いに巻き込まれていく。
 
 May−Be SOFTの新作はタイトル通りの学園プラス新選組もの企画。おなじみあかざ氏&箒星氏を代表とするチームの作品です。
 購入動機は製作チーム買い。一年に一度のお楽しみという感じになってきたように思います。
 初回特典は特になし。
 
 ジャンルはいつも通りのアドベンチャー。
 足回りは平均クラス。メッセージスキップは既読未読を判別して普通からやや早いくらい。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能でかなり戻ることができます。ロード直後にも使用可能です。
 クイックセーブのデータが再起動すると使えなくなるのは思った以上に不便に感じます。
 
 シナリオは驚くほどの短さ。同一チームの過去作からは考えられないほどのボリュームです。1周目は3時間ちょっとで2周目以降は1時間程度で終了と総プレイ時間でも明らかに少なくなっています。確かにこれまでの作品に比べてヒロイン数が7人と多いですが、それだけでは説明できないほど内容が薄いです。よって惹かれ合う過程は気にしてはいけない要素となっています。
 設定、キャラクターは魅力的なのですが、それを実現しうるテキスト量が圧倒的に不足しているので深みが全く感じられません。世界観が気に入ってもすぐに終わってしまうのでは逆効果です。
 恒例のネタ成分はメインとして新選組を扱っているせいか薄くなっているように感じます。突っ込んだら負けな雰囲気は相変わらずです。
 タイトルからもわかるように本作は新選組ものではあっても幕末が舞台ではありません。これはわかりきったことのようで意外と見落としがちです。あくまでもなんちゃって新選組であることをしっかりと踏まえておくことが肝要です。特に新選組ファンの方は。
 Hシーンはカウントが難しいですが独断と偏見で各ヒロイン3〜4回。テキスト量はここでも驚くほど短いです。DOS時代を思い出すほどすぐ終わってしまいます。ハーレムは用意されていますが、いつも通り一応は用意しました程度なのでやっぱり期待は禁物です。
 
 CGはほぼ新選組だけで構成されています。敵対勢力である討学派に関するものはごくわずか。こちらには期待しない方が賢明でしょう。ここでもやはり登場人物数が響いていて、一人当たりのイベントCG枚数は少なめです。
 それに比べると立ちCGは日本刀というアクセントがあるせいか、パターン違いによる変化が大きく実枚数よりも多く感じられます。そのカット群もなんちゃって新選組にしてはかなり格好良いです。
 ヒロイン数が増えたせいか、デザイン面ではこれまでのあかざ氏に見られないキャラが生まれています。永倉やちや藤堂芹栖などは新鮮な可愛らしさを持ったヒロインかと。
 Hシーンは新選組ものとして考えると(新選組以外の)コスプレもあったりするので微妙な面も。1シーンあたりの差分を除いた枚数が1枚ないし2枚ととても少ないです。これでは4回あっても悲しさばかりが目立ってしまいます。
 テックアーツ系ブランド特有のアニメーションはもちろん、本作でも採用。前作の激しすぎて見にくい感じは緩和されエロ度が上がったように感じます。Hシーン以外での採用はわずか1シーンのみ。個人的にはとても残念です。
 局部サポートウインドウは基本アニメのみ。ただし、CGモードでは静止画としても鑑賞できるように。
 鑑賞モードに「アニメモード」が加わりました。フル画面のアニメーションのみを見ることができます。「回想モード」とは違ってテキストや音楽はありません。フィニッシュ時のみボイスが入ります。ループ時にもボイスが入るとなお良かったのではないでしょうか。
 
 音楽は企画内容に相応しく、和を意識した曲と学園らしさを意識した曲が半々で作られています。単体で聞くにはやや厳しいかもしれませんが、プレイ中は10曲という曲数のわりに不足感は感じませんでした。
 ボイスは女性キャラのみフルボイス。味のある脇役を用意していくなら今後は男性キャラにも欲しいところです。演技は問題なく、新選組隊士たちはイメージが被ることもありません。みな個性的な演技を確立しています。討学派は一部の声優が2人目として演じていますが、同一声優であるイメージをほとんど感じさせません。
 
 まとめ。何かあったとしか思えない作品。シナリオライターもスタッフロールで増えていますし、ファンとしては今後が心配になってしまいます。コストパフォーマンスの低さは深刻です。原画面でデザインの幅が広がったように思えるのがせめてもの救いでしょうか。
 間違っても「行殺新選組」と比べてはいけません。良くも悪くも全然違います。
 お気に入り:沖田総詩、永倉やち、藤堂芹栖
 評点:60
 
 以下はキャラ別感想。というか「行殺新選組」との対比をメインに。
 
 
 
 
 
 
 
1、近藤イサミ
 「行殺」デザインをほぼ尊重したような近藤。天然であるところもよく似ています。胸と和菓子くらいしか記憶に残るところがないような。
 
2、土方歳緒
 まさに「行殺」デザインそのまんま。声優まで一緒なあたり、May−Be流のギャグでしょう。さすがに洋装や金髪はありませんでした。レズネタは一発ネタっぽくイマイチ。
 
3、沖田総詩
 このあたりは完全に違います。メガネじゃなくて本当に良かった。病気ネタはワンパターンだと思ったのか共通や他ヒロインのルートでは全くと言っていいほど出てきません。あの目つきはなくても良かったんじゃないかなぁ。涼しい視線で怖い方が凄味があるし。
 
4、永倉やち
 永倉もハッキリと違います。共通点を探す方が難しい。やちさんは他メンバーとは一線を画す雰囲気がいい感じ。これでしっかりした尺のシナリオとキャラ描写があったらなぁ。ホントもったいない。髪を下ろした姿がとても可愛いです。
 
5、斉藤初音
 そもそも性別が違うのでなんとも。主人公がよく理由もわからず変に気に入られるという点では同じかな。あとは「るろうに剣心」から全力でネタをもってきてますな。知らないと何を言っているのか全然わかりませんね。
 メイビーキャラとしてはちょっとワンパターン気味かも。まんま前作の端深空なんで。
 
6、藤堂芹栖
 あんまり似てないなぁ、と思ったら髪の毛の色が同系統だし、ツインテールというところも共通しています。性格は違いますけど。
 芹ちゃんは妄想癖が普通に楽しい。話がなかなか進まないのは問題ですけど。
 
7、原田紗乃
 まるで違う、と言いたいところですが「行殺」の原田ではなく永倉と比べるととてもよく似ています。キャラ的にもほぼ一緒。
 自然な姿とやらには結構な無理があるような気がします。普通に別人なのですが。


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