可愛い制服が評判のファミリーレストラン「Piaキャロット」が生まれてから早数年。海沿いの街に4号店がオープンすることになった。
主人公、神無月明彦(変更可能)は今年の春からとある理由をもって本店で働き始めた高校生。わずか数ヶ月の仕事ぶりが評価されたのか、4号店のオープニングスタッフとして一ヶ月の間だけ出向することに。気が進まないながらも4号店行きを承諾する明彦。夏休みが終わるとき、どんな思い出とともに本店に戻るのであろうか。
前作から約4年。2から3に時間がかかるのは世の掟なのか、ようやく「Piaキャロ」シリーズも三作目が発売されました。シナリオライター以外がほとんど総入れ換えという、果たしてどこまで続編の意味があるのかわからないタイトルを私が買ったのは、ひとえに前作に局所的に気に入った箇所(春恵さん&かあるちゃんシナリオ)があったからです。なんともチャレンジャーな買い方だと自分でも思いました。
相変わらず初回版というものがあり、中身はマウスパッドにミニ原画集がついてます。なんか2からほとんど進歩が見られないような気がするのは私だけでしょうか。あとトレーディングカードが1枚付属してます。
システムは伝統の人参パラメーター式自己育成+アドベンチャー。シフト構成が重要であるのも相変わらず。しかし、お目当てのヒロインと同じ職種にし続ける必要はあまりないようです。
ヒロインズは今回も極めてドライであり、どれほど好感度が高くとも人参がひとつ足りないだけで容赦なく切り捨ててくれます。
前作との違いはバイトに入る時間を午前、午後から選べること。これによって自由時間が朝になったり夜になったりします。今作も目当てのヒロインと一緒に帰ることが基本ですが、時間をずらしても異なる会話を楽しめたりします。
足回りはかなり気を配ったらしく、実に優秀。メッセージスキップは既読未読を判別してくれるのはもちろん、スピードもかなりのものです。
メッセージの巻き戻しもかなり余裕がある上、ボイスを再び再生させることも可能です。
相変わらずのキャラアニメのスピード調節やマウスカーソルの選択など、なくとも問題ないところまで充実しています。
シナリオは相変わらずのあっさり風味。2よりもむしろ1に近い印象です。エロ重視なキャラとそうでないキャラがはっきりと線引きされています。基本的には年上系が複数回Hを実装しています。
シリーズものも三作目ともなると、それだけで大作だと勘違いしがちですが、今作はシナリオの分量は前作をしっかりと踏襲しています。
一個の作品として改めて見た場合、キャラ同士が互いを好きになっていく過程は非常に弱いです。まぁ、一ヶ月間で出会いから将来の誓い(やや大げさ)までを書いているのですからそれも当然と言えば当然なのですが。
今作の印象として小さな会話が充実していることが上げられます。例えば自然公園の場所を誰から聞くか、そして誰と行くかに数多くのパターンが用意されています。これはバイトの開始前の会話などでも同様です。全てのメッセージが既読状態になるにはかなりの繰り返しプレイが必要になるでしょう。
こういった小さな部分はゲーム全体の完成度をあげるために、また制作側のこだわりとして外せないものですが、果たして本筋のシナリオよりも優先させることでしょうか。正直なところ、こういった部分に力を割く余裕があるなら、もう少し個々のイベントを充実させるなりしてシナリオそのものの完成度を上げて欲しいです。
このシリーズはシナリオにそれほど期待している訳ではありません。それでもなお、今作は少し力不足と感じました。
あと瑣末な点として、前作までと比べても設定などにツッコミどころが多過ぎです。冬はどういう制服なんでしょうね。そもそも客はいるんでしょうか?
CGはハイカラーになって非常に美しいって……、おや? なぜか256色の2の方が美しく見えます。
分量は1.5倍になったそうですが、感覚的にはそんな気は全くしません。てっきり同じボリュームかと思ってました。
キャラアニメもデザイナーが変わったのに伴ってずいぶんとイメージが変わりました。個人的にはハッキリ言って怖いです。もう少し可愛くならなかったんでしょうか。
キャラクターデザイン的にもやや苦しいです。見た目のバリエーションだけでも2より明らかに劣っています。
音楽は音源や曲のレベルこそ上がっていますが、個性的な曲という意味ではほど遠い感じです。記憶にも残りにくい曲が多いように思います。
各キャラのテーマ曲の中にはまるでイベント用の曲かと思わせるようなものもあったり(特に冬木美春)。ただの日常会話に使うには相応しくないような……。
ボーカルはオープニングとエンディングの2曲。どうも特徴に乏しく、歌詞が覚えにくい曲です。インパクトの面では2とは比べるべくもありません。残念ながら。
ボイスはおなじみのロックンバナナにイエロ−テイルなので安心して聞けます。メインヒロイン役の新人さん(?)もなかなか頑張ってます。
まとめ。いまさらながら「Piaキャロットへようこそ!!2」の続きはやはり「こみっくパーティー」ではないかと再確認した次第。「Piaキャロ」というタイトルに各人がどれくらい入れ込んでいるかによって評価はかなり変わってくるかと。個人的には時間をかければ必ず進化するであろう部分しか良くなってはいないと感じました。が、別に落胆している訳でもなく、こんなものかと。
お気に入り:強いて上げれば愛沢ともみ
評点:60
以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。
1、高井さやか
う〜ん。なにを考えているのやらさっぱりです。そもそも演技の人格で会話していて楽しいのでしょうか。最終的に彼女がどうしたかったのかもよくわかりません。元のおとなしい性格で好きになって欲しかったのか、それとも単に気づいてもらえば良かったのか。
あそこまでぶちまけておいて具体性に欠けた発言ばかりされてもねぇ。なにが暗闇ですか。会話が成立していませんよ。言葉のキャッチボールをしてください。
あげくに「どうしたらいいの?」とは主人公のセリフでしょうに。最後もどうしてまとまったのかわかりませんでした。解決すべき事柄さえよくわかりませんでしたよ。
一番気に入ったCGがバッドエンド時のものだというのはちょっとさみしかったり。次点はバスケットボールのCG。
さやかシナリオでなくてもヘルプには来てくれると会話が広がって面白かったのではないでしょうか。あるいはフラグによって2号店あるいは3号店からヘルプが来るとかね。
2、愛沢ともみ
良く言えば臨機応変にして非常に柔軟な思考の持ち主。悪く言えば無意識に男を品定めして巧みな「二人称」でキープする悪女ってとこですか。
「それはそれ、これはこれ」ですか? 心に棚を作り過ぎではないでしょうか。
イベント的には矛盾じみたものを感じながらも一番、楽しかったです。「どでーん!」とかなかなか可愛かったり。
勉強会の時のCGがお気に入り。
それにしても「優しくするだけが優しさじゃない」という言葉はどうなったんでしょうかね。
ブレステ2のカードゲームはクリア後は自由に遊べるようにしても良かったのではないでしょうか。
3、羽瀬川朱美
これまでどうやって生きてきたんでしょう、とか余計な心配をしたくなります。どう考えても惚れっぽいにもほどがあるというものでしょう。こんな人が店長のお店は怖くてたまりません。アットホームと言えば聞こえはいいですが……。
4、岩倉夏姫
責任感があるのだか、ないのだかわからない人。冷静に見ればないと判断すべきでしょう。管理職にいる人間が予告なしにやめるなっつーの。4号店はどうするつもりだよ?
惚れた相手には仕事中でも「だだ甘」なあたり、他の従業員からすればやってられません。馬鹿馬鹿しくて帰りたくなりそうです。
同じ学校の出身同士ゆえか、いきなり無断でいなくなるあたりなどやはり通じるものがあるようです。
5、冬木美春
なんというか分裂症気味の人にはついていけません。態度が露骨すぎますって。
ゲームやイラストというものは光がなくとも髪が輝いていたり、風がなくとも髪が舞っているものですが、この方はその常識で見ても不自然なほど広がっています。つーか通行の邪魔になりそうなんですけど。私なら隣を歩くのは断固として拒否しますとも、ええ。
予想では人気投票最下位候補筆頭。過去の設定がいかんでしょ。なんとなくで3Pというのはねぇ……。ある意味で不憫です。
6、君島ナナ
完璧なまでに趣味とシナリオがかみ合いませんな。まぁ、そんな努力もしていないんでしょうけど。
ともみとタメ張る切り換えの速さが素敵です。というかこれもキープだよねぇ。決めかねている状態で主人公に後ろから抱きしめさせたりするし。彼女の不可解さに比べたらシナリオの不整合なんて少しも気になりません。
Hシーンの翌朝のCGはかなりの高ポイント。あれをやられては防御不能です。
7、木ノ下貴子
いつでもどんなときでも確信犯って感じです。その行動の全てが。
Piaキャロの制服は胸がでか過ぎても駄目なんだな、としみじみと思ったり。
結婚するまで処女を守るというのは今の時代にすごいと思います。
8、天野織江
隠しキャラだからか、外見的にはなんとも地味なキャラ。もう一つくらい押しが欲しいところ。
せっかく「Piaキャロ」の店員になるというのにイベントCGが1枚もないのは片手落ちでしょう。日数にしても無駄が多いような気がします。
女の子だとわかったら昇が悔しがるようなミニイベントくらいあっても良かったのではないでしょうか。
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