197   なついろ〜星降る湖畔の夏休み〜(アクトレス)
 
 父の死は直毅(名字なし、変更可能)にとって大きな転機だった。大学生である今の自分。父の残した事業。迷っていられる時間は多くない。だが、直毅は逃避した。故郷に眠る母に報告するという口実に縋って。別荘へとやって来た直毅は偶然にも4人の少女と一夏を過ごすことになる。いつのまにか悩みは忘却の彼方へ。
 
 購入動機は葛葉恭司氏の原画に惹かれて。シナリオは非公開だし他には特になし。
 
 システムは何ら特徴のないマップ移動型アドベンチャー。
 足回りは及第点を下回ってます。メッセージスキップは速度こそ標準ですが、既読未読を判別してくれません。
 メッセージの巻き戻しはウインドウ単位で行います。256クリック分まで戻ることができてボイスのリピート再生も可能。ホイールマウスにも対応しています。
 ロードが他ゲームに比べて長いように感じます。ほんの一拍程度ですが、イメージとしては明らかに待たされている気が。ゲームオーバー後にも同様のことが言えます。
 
 シナリオはまともに読む価値があるかどうかも疑問。日常会話は全く記憶に残ることのない、当たり障りのないものばかりであるだけでなく、わずか1週間程度の話で使い回しているネタがあります。
 要所要所のイベント内容はヒロインごとにほとんど同じ。コピー&ペースト大作戦発動。例えばヒロインの入浴を覗くシーンや慰霊祭での初Hなどが、主人公のリアクションだけでなく口説き方まで間違い探し並に同じ。少なくともシナリオ面ではヒロインを4人用意した意味はどこにもないように思います。
 個別シナリオも異様に短く、いつのまにか始まっていつのまにか終わっている、そんな印象。また、一切の前触れなく選択肢ひとつで凌辱的Hシーンが始まったりと理解に苦しむ展開が見受けられることも。
 マップ移動時に逐一、「○○のところに行くことにした」という一文を表示させる意味はどこにあるのか。1日3回のマップ移動。1〜2回目はいいとして、3回目の深夜に近い時間に徘徊する理由は何なのか。一度は別れた各ヒロインたちの自宅や宿泊先に用もなく訪れ、説明に窮する姿は真性のストーカーか異常者にしか見えません。
 全体のボリュームも著しく小さいです。まぁ、中身が伴わなければ何の意味もないかも知れませんが、そういう問題でもないと思います。
 本作はヒロイン毎のシナリオはものすごく簡単なんですが、反面茉莉と李の3Pシナリオだけが際立って難しくなってます。私は自力では解けずにズルイ手を使いました。
 
 イベントCGは部分違いなしで約70枚とCD1枚にしては頑張っていますが、原画目当てに購入した人間にはやや寂しいところ。シナリオ上の問題もあって似たようなカットが多いのもそれを助長しています。
 全ヒロインに複数回Hを搭載していますが、いずれのシーンも尺は相当に短め。原画以上のエロ度はないのであまり過大な期待を抱かない方が賢明かと。
 立ちCGはマンガ的な表現を思わせる大げさなポーズが多いです。それ自体は何の問題もなく魅力的に描かれているんですが、テキスト上のヒロインたちは極めておとなしいため明らかなズレというか違和感があります。ちなみにスクリプトミスなんかもあったりしますが、現在のところ(2003年11月3日)修整ファイルは出ていません。
 
 音楽は田舎を舞台にしたゲームらしく、のんびりとした曲調のものが多くを占めています。良く言えばBGMに徹していて、悪く言えば記憶に残らない、そんなメロディーライン。
 ボイスはヒロインのみフルボイス。有名どころが務めているのでレベルは問題ありません。キャラと合っていない配役も特になかったように思います。ただ、一度に二人まで表示される立ちCGにおいて、左側に立つキャラは左の、右側に立つキャラは右のスピーカーから音声が出るのは微妙なところ。あまり効果的とも思えませんでした。
 主人公はデフォルト名だとボイス付きで呼んでくれますが敬称との間が途切れます。変更した場合は「君」、「様」の敬称だけを呼ぶというアクトレス仕様。どうも一般人にはよくわからないこだわりがあるようです。
 
 まとめ。骨の髄まで原画ゲー。シナリオには1ミリ程も期待しない方が却って楽しめるかもしれません。少なくとも私はこれをクレジットを打つほどの仕事とは認めません。レベルの高低以前の問題。
 お気に入り:特になし
 評点:30
 
 以下はキャラ別感想。ネタバレはあるような、ないような。
 
 
 
 
 
 
 
1、入江茉莉
 誰に頼まれた訳でも命じられた訳でもないのにメイド服を着込む別荘管理人代理。加えて母親の入院する病院へも平然とメイド服で見舞いを敢行するツワモノ。もちろん見舞いは仕事ではありません。こういうのも公私混同と言うんでしょうか。ある意味、雪さん@「水月」以上の逸材です。
 
2、倉茂真衣佳
 病弱なのに4人の中で最も背が高く、発育もブッチギリ(死語)なお嬢さま。やはり食い物が違うということなんでしょうか。シナリオのごく一部で急に真面目なるのは正直、笑えました。キャラ違いすぎ。
 寝間着はYシャツに下着1枚きり。毎晩、彼女の部屋を訪問して(何の目的で?)何もしないでいられる主人公は相当な精神力の持ち主かと。
 風呂場でHすると即入院。このトラップを見抜けた人はいるんでしょうか。いたらちょっと尊敬してしまいそうです。違う意味で。
 
3、室星朱音
 勝手なイメージではありますが宝塚を想起しそうなお名前ではあります。あるいは某エロゲー声優を。ちなみにプレイ当初は茉莉とイマイチ区別がついていませんでした。4人しかいないのに外見似すぎです。
 取りあえずリュックサックと会話するのは止めてくださると助かります。普通に怖いですから。でも、それを止めるとただでさえ薄い個性がもう見えないくらいになってしまうので微妙なところです。
 
4、桜庭李
 Hシーンが一番多いのはスタッフ一押しということなんでしょうか。私としては外見も脳も幼いのでキャッチ&リリースといきたいところ。ちょうどいい湖もあることですし。


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