191   とらいあんぐるハート1・2・3DVD EDITION(ジャニス)
 
 DVDメディアの普及と共に数本を一つにまとめた、いわゆるお得感の強いソフトが数多く移植されましたが、中でも過去最大ではないかと思われるのが今作品。さすがに5作品をまとめたものは他には見当たりません。
 
 本項は主にオリジナル版との差異と追加要素であるおまけシナリオについて書いています。そのわりにオリジナル版のゲーム感想がありませんが、なにとぞご容赦下さいませ。いずれ用意しますので。
 
 購入動機はもはや義務のようなものでしょうか。プレイした全てのエロゲーの中で最も心に残るゲームのひとつが含まれていますので。
 
 巨大な初回版と小さなDVDケースの通常版があります。中身の容量を考えると小さな方は技術の進歩をまざまざと感じさせてくれます。この中に10GBものデータが……。
 初回版は歴代ボーカルを集めたCDのほか色々と。上げ底式になっているので特典内容を知らないと気づきにくいかもしれません。
 
 例によって例のごとく修整ファイルが出ております。これをあてないと2を第二部から始めることが出来ないので必ず落としておきましょう。修整ファイルにしては3MBとやや大きめですが。他にも色々と細かい修整あり。
 
 収録内容は「とらいあんぐるハート」、「とらいあんぐるハート2」、「とらいあんぐるハート3」、「とらいあんぐるハートラブラブおもちゃ箱」より「五月の雪」、「猫たちの午後」の2篇、「とらいあんぐるハートリリカルおもちゃ箱」より「魔法少女リリカルなのは」、「海鳴横断ハイパークイズ」の2篇、さらに書き下ろしのおまけシナリオ「The Days After ナツノカケラ」、「美緒のデンタルパニック」、「お正月だよ全員集合」の3篇。
 基本的にシリーズ作品をそのままDVDに、というのがコンセプトなので大きく手は加えられていません。以下、変更点を作品ごとに列挙していきます。
 「とらいあんぐるハート」
 新規オープニングが追加、エンディング曲が2曲に変更されました。変更点全てに言えることですが、やはり賛否両論ありそうです。ムービーやボーカルなど旧バージョンが収録されていませんので。
 オープニングは正直、もう一歩かと。素材は当然、1のCGを利用している訳ですが、さすがに今見ると発色的にも古さは否めません。そこに流れる空や差し込む光など新しめの演出を施しているのでどうも映像がうまく融合していないような気がします。
 
 「とらいあんぐるハート2」
 新規オープニング及びエンディングを追加、管理人養成システム削除。
 オープニングは豪勢にCGを使っているのでなかなかに派手。しかし、すでにオリジナルをプレイ済みの人ならば問題ないですが、初めてプレイする人には数少ないイベントCGを見せ過ぎな気もします。特にメインの両名はHシーン以外は全てかと思うくらい使用しているので。
 エンディングは演出方法を変えただけで内容的にはオリジナルと変化なし。キャラによってボーカルが分かれるのもそのまま。
 不評だった件のシステムは消滅。と言っても右上に表示されていた意味のないグラフがなくなっただけ。会話シーンは残っています。個人的にはこの部分は気に入っていたので会話もろともに消えずに良かったです。初めからシステムに関する(期待させるような)説明がなければ気にもならないかと。
 
 「とらいあんぐるハート3」
 オープニングを高画質なものに差し替えます。これはジャニスの説明なんですが、微妙に嘘が混じってます。内容に手を加えられているので画質だけ向上させたものではありません。また、オリジナルの発売日付近から店頭で流されていたバージョンでもありません。どうしてこれを使わないのか非常に謎。収録されたものよりも高画質、フル画面でスクロールしたり、背景に重なって桜が舞ったり、キャラがアニメーションしたりと素晴らしく良い出来だっただけに納得いきません。これだけ容量を使っておいて、今さらケチる意味があるとも思えませんし。
 
 共通した変更点は最新のシステムを全作品に。声優の共通化。オールオンデータの装備。オールオンデータとは鑑賞系のモードを全て埋めてくれるもの。ただし、フラグにはいっさい触れられないので1の春原七瀬、2の千堂瞳、井上ななか、3のフィアッセ・クリステラといった一度クリアしなければ進めないシナリオを最初からプレイすることは出来ません。
 
 足回りはさすがにかなり完成されており、使い勝手も申し分ないです。まさにかゆい所に手が届く設定。
 メッセージスキップは細々と設定できてカスタマイズすれば非常に快適。見た目にも動作しているのがわかりやすいのは好印象。ただ、初期段階ではオートモード同然なので(恐らくはオートモードも兼ねているのだと思います)色々と変更が必要なのがちと面倒。また各作品を個別にインストール可能という利点がここに限ってはマイナスに働いています。言うまでもなくカスタマイズも個別に行わなければならない訳です。
 メッセージの巻き戻しはいつでもスタート地点まで可能と完璧。別画面表示方式でホイールマウスにも対応、加えてボイスの再生も可能。
 
 以下は主におまけシナリオについての言及。
 シナリオはさすがに時間が経っているせいか、ゲーム全体から漂う雰囲気が微妙に違うような気がしないでもありません。特に1と2のものは。
 まともにシナリオというものがあるのは「The Days After ナツノカケラ」のみ。他2作は全員集合することで全ての力を使い果たしたという印象。当然のことながら全員集合はファンサービスな訳ですけど、それがシナリオの本筋と結びつくはずもありませんしね。
 「The Days After ナツノカケラ」に限れば、従来の「とらハ」らしさが充分に詰まっていると思います。綺堂さくら、春原七瀬に限定ですがHシーンもありますし(隠しシナリオは除く)。
 
 CGは1以来の都築真紀氏も手がけているということで絵そのものはいい感じ。ただSDカットはこれまでにないのでやや微妙かも。
 2と3のおまけシナリオについてはあまりひねりのないカットが多数を占めるので面白味に欠けるのが残念なところ。
 個人的には千堂瞳だけが出番がある割には妙に冷遇されている感じを受けました。
 
 音楽は1のおまけシナリオが新規で用意されています。雰囲気の違いを感じたのはこのあたりも無関係ではないと思います。もちろん1のメンツで夏が舞台ということもあると思いますが。
 ボイスはそれぞれの主人公も収録されました(おまけシナリオのみ)。当然のように好き嫌いは分かれるでしょうが、演技のレベルは申し分ないと思います。特に相川真一郎役の春野日和さんはかなりはまり役だと感じました。
 気になったのは一部のキャラが時間の経過によって全くの別人と化しているものがあること。デリケートな問題なので難しい所ですが、残念です。
 
 まとめ。未経験者は文句なく買い、経験者は盲目的ファンのみ。こういったページを読むまでもなく買っている人だけでよろしいかと。おまけシナリオに限定すればどこまで買う意義があるか疑問。
 オリジナルから収録されていないもの、差し替えられたものがあり、どのみちオリジナル版も必要ですからね。
 お気に入り:椎名ゆうひ、神咲薫、十六夜、千堂瞳、仁村真雪、野々村小鳥、、綺堂さくら、フィアッセ・クリステラ(さすがに多いです。でも全員とはいかないので書きました)。
 評点:95
 
 ちょっと人数多すぎるのでキャラ別感想は省略。


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