葉山真之(変更不可)の住む街はいわゆる治安のあまりよろしくない街だ。上品なんて言葉とは縁遠いところ。数年前までは真之もそれに一役も二役も買っていた。今ではその対極の姿を周囲に見せている。義妹のために。
だが、彼は因果応報という言葉の意味を身をもって知ることになる。
同人からの転向組ブランドの第3弾。かつての同人版を商業版でということで完全版のようです。主な変更点はボイスの追加、イベントCG一新、美桜ルートの追加。
話題となった「車輪の国、向日葵の少女」と同じシナリオライターということで購入。話題作の方は未だ購入しておらず。
初回特典の類は特になし。
対応OSはWindows98/2000/XPということでMeの私の環境は未公認だったのですが特に問題も起こらずプレイできました。
ジャンルはいつものようにアドベンチャー。
足回りはややクセのある仕様になってます。メッセージスキップは既読未読を判別して高速。
バックログは別画面にて行います。マウスホイールに対応、ボイスのリピート再生も可能です。ただ、カーソルがログウインドウ内にないと右クリックで戻れないのは意外と不便。また、通常画面においてカーソルがメッセージウインドウ上部から下に位置している時にだけアイコンウインドウが出るのは何か落ち着きませんでした。
シナリオは中編が3本。元が同人ということもあってかボリュームはかなり控えめです。3本の設定は大まかには同じですが細かいところでは食い違ったりしているので内容を補いあうといった関係ではありません。
あらすじにも書いたように主人公をとりまく状況は一般的な作品と少し変わっています。これが意外と大きく時には常識や価値観といったものにズレが生じることも。しかし、ライターの意図なのかそうでないのか、序盤はなかなか状況が説明されず若干のわかりにくさを生んでいます。ライターから与えられる情報を素直に信じられないと言いますか。慣れてくればなんてことはないのですが。
日常会話は主人公の生きざまのせいもあってあまり楽しめません。現実的なノリとゲーム的なノリが節操なく混在していることも無関係ではなさそう。全体的には暗い色が横行している感じです。
心情描写は特異の一言。設定と同様に常識的な感覚とはズレを感じます。歪んでいるといってもいいかも。一本通した流れとして見た時には矛盾もあちこちに見られます。
惹かれ合う過程はありません。設定上、ヒロインたちは最初から主人公のことが好きなので。主人公の方も似たようなものであるせいかほとんどありません。
Hシーンは各ヒロイン1回ずつ。お世辞にも期待してはいけません。
CGはゲームの構成要素としてかなり苦しいです。イベントCGは差分抜きで51枚(含むアイキャッチ画3枚)。6800円という価格から考えてもけして多いとは言えないと思います。3人でこれですから原画買いするのは厳しいでしょう。
立ちCGはイベントCGに比べて安定度に欠けていて、ポーズもぎこちなく明らかに貧弱な印象を受けます。日常会話が盛り上がらない一因にもなっているように感じました。
背景は同人のままなのか実にいい加減です。商業作品としては最低クラス。2006年でこの仕上がりではため息のひとつもつきたくなるでしょう。
音楽はあまり前に出ることなく手堅くまとめているように感じました。ただ、タイトル画面の曲だけは何やら爽やかで作中の殺伐とした雰囲気にはあまり合っていないようにも。
ボイスは主人公を除いたメインキャラのみフルボイス。演技の方は特に問題らしい問題はありませんでした。及第点以上ではないかと。
まとめ。リニューアルを名乗るには厳しい作品。値段も完全版としてのグレードアップも中途半端だし、半分以上ファンアイテムなのかも。期待が大きすぎたのかもしれませんが、色々と不満に思うところが多かったです。
お気に入り:特になし。
評点:45
キャラ別感想はありません。
|