沢田利章(変更可能)は自分でもよく分からないが学園副会長の地位にあった。しかし、責任感はゼロ。いかにして楽をするか、それが彼のモットーだった。どのみち生真面目な学園会長が全てをまとめるので有能である必要もない。
ある日、鬼の霍乱というべきか、会長が学園を休んだ。この日の議題は各部活に対する予算の分配。主人公を初め、メンバーたちにやる気はなく会長が復帰したら、という方針だけを決めて早々に散会した。
ところが翌日、学園の雰囲気がおかしい。話がどこでどうねじ曲がったのか、利章が予算分配の全権を持っているという噂が広まっていたのだ。これを期に各部は策を弄して利章に近づいてくるのだった。
ここしばらくのBLACK PACKAGEと言えば大越秀武氏専用のブランドという感じだったのですが、案外そうでもないようで。本作ではどういう訳かサブ原画を担当しています。一人で一本任される原画家をサブに回すというのはどういう事情からなんでしょうか。よほど描くのが速いんでしょうかね。
個人的にはブランド初買いになります。綾風柳晶氏の原画が購入動機。GAIAの「匣の中の悦楽」以降、氏の原画には注目していたのですが、いずれの作品も紙一重の差くらいでキャラクターデザインや塗りが気に入らず見送ってきました。そして、一体何年かぶりに買いたくなる両者を兼ね備えたものに出会ったと。果たしてその成果は。
システムはごくごく平凡なアドベンチャースタイル。
足回りはかゆい所に手の届く仕様。きめ細かい設定内容には感心します。メッセージスキップは既読未読を判別した上で高速。
メッセージの巻き戻しは別画面で行います。戻れる量は1シーンくらい。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能になってます。
鑑賞機能のひとつとして少し変わったものが。「女の子の気持ち」と題されたそれはエンディング後に選択可能で、言ってみればヒロインのモノローグによる回想シーン。唐突な行動の多いヒロインを数多く要する本作には意外と効果的なのかも。あくまでオマケで何かを期待するというものではありませんけど。ちなみに通常の回想シーンももちろん備えています。
シナリオはジャンル名の学園エロエロアドベンチャーの名に相応しくまさにあってなきが如し。間違ってもヒロインとの日常会話を楽しむようなゲームではありません。ライターが5人で書いているせいもあってテキストも安定感を欠きますし。
シナリオの基本は予算増額にかこつけてHという素晴らしく都合が良く、昔懐かしい匂いのするもの。しかし、若干の良心が残っているのか主人公は鬼畜なタイプではなく普通人たろうとしている面も。その方が性質が悪いという話もありますが。よって場面場面によって性格は大きく変化します。同一人物とは思えないくらいに。
本作は面白いほどヒロインの扱いに明確な線引きがされています。メインのうち3人は自動進行。何もしなくとも(どんな選択肢を選んでも)Hシーンまでは勝手に進みます。プチ修羅場やハーレムなど明らかに肉欲系。
メインのうち残る2人は純愛担当。問答無用で発生する誘惑組のそれを除いて一途にいかないとエンディングに辿り着けません。ゲームを間違えていると思うほどの爽やかなラストが待っています。F&Cなみ。とはいえ、話運びは相当に無茶なものがありますが。
サブヒロインズは数合わせ。ひとつでも多くの部活を登場させるために、つまりはひとつでも多くのコスプレHを用意するために、ほとんど一発屋として彼女たちは出現します。使い捨ての彼女たちには当然のようにエンディングがありません。合掌。
Hシーンはそこに至る導入が強引なのでエロ度はほどほど。ある種のエロさはありますが。純粋に原画(CG)の力がそのままエロさという感じです。やはり、ある程度のシナリオレベルは必要かと思う次第。
CGはシナリオの雰囲気に合わせてか、全体的に明るい塗り。というか、ピンクの自己主張が激しすぎ。ヒロインの頬がピンクなのは他ゲームにも時折、見受けられますが本作は関節まで軒並みピーチカラー。肘に膝はもちろんのこと指の第二関節と付け根までしっかりと。今にも超必殺技をたたき込まれそうなほど輝いています。
ピンクに目をつぶればイベントCGに大きな問題はありません。ただ複数回Hにおいてはイマイチ構図に工夫がなく、似たようなものが多いように感じました。そのせいか、それとも原画家が違うせいかサブヒロインの方が印象に残っています。
立ちCGは大きな変化なく表情のみで勝負するタイプ。あまり立ちCGによる会話に重点の置かれていない様子がよく出ています。
音楽はジャンルに不釣り合いなほど個性豊かな曲が揃ってます。ただ、同じ曲がよく流れる傾向があるので印象は薄くなりがちです。
ボイスは慣れるまでやや違和感がありました。一部のキャラは見た目や性格にあまり合っていない感じを受けたりも。プレイするに連れて気にならなくなりましたが。演技そのものは問題ありませんが、一部のモブキャラやサブキャラをメインの声優が兼任していて、それがあまり演技の区別ができていないように感じました。
まとめ。DOS時代を思い出す作品。説得力など無用、と言わんばかりの強引さが痺れます。高い期待を抱かなければそれなりに楽しめるかと。大作の息抜きなどにも。
お気に入り:堀口るか
評点:67
以下はキャラ別感想。ネタバレは気にする程のものはないかと。
1、早瀬鳴海
なんとも不覚。よもやメガネがメインヒロイン扱いのゲームを買ってしまうとは。まぁ、買うまでわからないことですが、てっきり5人は横一線かと思っていたんですよねぇ。
2、如月真帆
えーと、どうしたもんだか。こんなゲームとはいえ、こういうキャラはどうかと思います。復讐メインのゲームならともかく。どう考えたってプレイヤーに好かれないよなぁ。
3、栗林つかさ
最も展開が遅いくせに最も露出度が低いというサービス精神に欠けたヒロイン。典型であっても良いキャラであるだけにもったいない感じ。
4、榊真由美
試合をする羽目になるシーンは思わず閉口するほどの苦しさ。なぜ襲ってきた相手の姉のサッカーチームと試合をしなければならないのか。それも負けたらそのストーカーと付き合わなければならないという、あり得なさ。ましてメンバーは真由美一人しかいないのに。一体どこにメリットがあるというのか。このシーンがあまりに強引すぎて他の印象はほとんど残っていませんわ。
5、堀口るか
個人的な印象では綾風柳晶氏らしくなさの漂うヒロイン。髪が短いだけでも充分なんですが、表情なんかもそんな印象があります。あと貧乳なところも。ぶっちゃけ彼女がいなければ本作は買わなかったと思います。
シナリオはやっぱり苦しさは見え隠れしているけれども全体の中では一番まし。これでもうちょっとHシーンがあればねぇ。枚数的にはほとんど同じなのにどうも少ない印象が。
6、矢萩早苗
正直、ルックス的にはこのゲームで一番可愛い気がします。わかりやすさゆえとしても、わざわざ道着でお誘いに来てくれるのはサービス満点ですな。姿を見せない先輩はグッジョブですよ。
非現実的なHシーンへの強引さがいかにも昔のゲームのようで懐かしく、ある意味で好印象を抱きます。
それにしてもエロゲーには袴としながらもその形状が実質スカートであるものが多いですねぇ。まぁ、その方が見た目にエロい構図になるというのはわかるんですけど、中には本当に勘違いしているメーカーもありそう。
7、柿崎志摩
色仕掛け、らしいんですけど、どう見ても墓穴を掘っているようにしか見えませんなぁ。この辺のHシーンへの(以下略)。
8、和泉姉妹
どうでも良し。
9、園田えみ
テニス部はマニアックな人たちの集まりなんでしょうか。一番可愛いと称して派遣されてきたのが彼女ですか。ロリだけど胸はしっかりあるという特殊な方向けという感じが。それと、どう見てもアンダースコートだけしかはいていないように見えるのは気のせいでしょうか。
|