日向家は父と三姉妹、それに主人公(名字変更不可、名前のみ可能)の五人家族。母を早くに亡くしたことを除けば、平凡な仲むつまじい家族であった。父親から、主人公だけ血が繋がっていないと知らされるまでは。
学生時代から家の地下に研究室を持っていた主人公は21番目の薬品として、ついに透明になる薬を開発する。使用目的は特に定めていなかったのだが、家族のよそよそしい素振りに主人公の中で今までにない感情が生まれるのだった。
新生メイビーのソフトを買うのはこれが初めてです。原画家の望月望氏が前作で69人のキャラを描いて過労で倒れたと聞いて、それからなんとなく興味を持ち続けていて購入。我ながらよく分かりませんね。
システムはコマンド選択型のアドベンチャー。
1回目のプレイでは表記されませんが、4章構成になっていて、2回目からは各章からのプレイが可能になっています。意外と長いゲームなのでありがたい配慮です。
足回りの使い勝手はそこそこ。メッセージの巻き戻しがないのとスキップが既読、未読を問わずにかっ飛ばすのが難点。
素直にウィンドウをシステムで使って欲しかったですね。他のゲームに比べると慣れるまでは少々、使いづらいです。
CGモード等が少し変わっています。DISK1と2のふたつに区別されていて、基本的にはゲームの前半と後半で分けられています(誤解のないように書いておきますが、CDを入れ換えたりする訳ではありません)。中には後半のCGがDISK1の項に登録されていたりしますが。よくわからない分け方ですね。なんの意図があるんでしょうか。
ゲームをクリアすると「スケスケの誘惑」というおまけのクイズゲームがプレイできるようになります。ボイスとCGもあるのですが、こちらはなぜかCGモードには登録されません。
他にも本編のCG効果として、主人公の透明度と精液の量が二段階から選択できるようになっています。
シナリオは前述した通りの4章構成。
1章は事実上のオープニング。主題歌はありません。次の2章が長めのせいか、いきなりHシーンから始まります。プレイ意欲を長持ちさせようという、計算された配慮というやつでしょうか。
2章では日向家の日常がちょっと頭の悪い系のテキスト(褒めてます)で表現されています。このあたりはジャンル的にみれば適当に飛ばされそうなところですが、しっかりと書かれています。それがエンディングにも効いてきます。
3章はウォーミングアップ編という感じ。薬の有効な使い方を主人公が学ぶと同時に、精神的になにかが軋んでいく様が書かれています。2章と3章がDISK1に当たります。
4章はこのゲームのメイン。3章が前菜ならメインディッシュ編でしょうか。いよいよ主人公が三姉妹に手を出します。ここでの選択肢によってエンディングが3つに分岐します。タイトルの意味もここで判明します(それほど深いものではありませんが)。
このゲーム、最初の印象とは少し違いました。シナリオは無いに等しく、透明人間になってやるだけのゲームかと思っていました(間違ってるとは言いませんが)。
透明人間という要素は可視、不可視の問題だけでなく、家族の絆という部分にも関わってきますし、Hシーンも後半はあまり使われなくなります。
映画なんかだと透明人間というのは最後まで悪役のイメージが強いのですが、今作の場合は少し違うのですね。火炎放射器で攻撃されたりしませんし。個人的には少し期待していたんですけどね(無理言うな)。
キャラクターも三姉妹がうまく配置されていて、ストーリーを牽引しています。
エンディングにもそのあたりが表れていて、主人公が狂ったようなものはありませんし、主人公が死亡するものもありません。奴隷化エンドもなにか他ゲームのそれとは違う印象を受けました。
ただ、個別エンドがなかったのは残念なところ。梓はともかく、翼のエンディングはぜひとも欲しかったですね。
CGは暗めの色調が雰囲気にピタリと合致しています。立ちCG(というかバストアップ)の表情がもう一歩に思えますが、気になるほどではありません。
透明人間CGでは手の形が服のしわなどに表現されていてなかなかいい感じ。個人的には完全に透明だとあまり面白くないですね。
それにしても全員、見事なまでの巨乳揃い。ちょっと発育良すぎです。
音楽はバリエーションに乏しい感じを受けました。このゲームで明るい曲というのは似合わないでしょうが、ボーカルも無いことですし、もう少し多様な曲が欲しかったところ。
ボイスはなかなかレベル高いです。特に三女の翼の演技は可愛く、個性的で好印象。
まとめ。期待値がそれほど高くなかったとはいえ、想像以上に楽しめました。望月望氏の原画も好みなんで、新生メイビーはこれからもチェックしたいと思います。
お気に入り:日向桜子、翼
評点:65
以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。
1、日向梓
なんというか三姉妹の中では最もキャラ弱し。実は真面目に妹たちのことを考えているというのも、シナリオ的には無駄な抵抗にしか映らず、無意味な感じ。
名がないも同然のキャラたちとほとんど差別化が図られていないんですよね。ちょっと残念。
2、日向桜子
感触としては翼とどちらが特別なのか、非常に微妙なところ。まぁ、どちらもほぼ反対方向に特別なんでしょうね。
「スガタ」と並ぶキーワードの「家族のカタチ」にこだわる様子は、他ゲーム(凌辱系)のキャラではなかなか見られず新鮮でした。そのせいで梓が最も常識的な役割ですし。
芯が強く壊れることがないというのも、個人的には好感触。まぁ、このゲームでは誰も壊れませんが。
メインであるせいか、CG的に一番えっちぃ感じ。洗濯物を干している最中、後ろでは翼がテレビを見ていて……、というHシーンはぐっと来ました。
青色の、左右が異なる生地のパジャマが、地味な性格とも一致していてお気に入り(なんか最近、パジャマに関するコメントが多いなぁ)。
3、日向翼
「お兄ちゃん」なキャラなのに久しぶりに嫌いじゃないです。プレイ前から(義理だと)すでにわかっていたということもありますけど。
主人公の、桜子とは違う意味での特別扱いがいい感じ。盲目的に慕ってくる様子はなかなか可愛いです。
三姉妹全員に言えることですが、血が繋がっていないと知る前は主人公のことをどう思っていたのか? それがはっきりとは示されていないのが結果的に良い効果を表しているのではないかと思います。
上でも書きましたが、翼エンドがないのはすごーく残念。あってもいいくらい特別なキャラだと思うんだけど。その際の家族のカタチも非常に気になるので。
4、榊原理恵、黒川奈美、清水結花、大林礼子
使い捨てーズな、みなさん。めんどいので一括で。
名字はスタッフロールくらいにしか出てこないんですよね。それだけ通りすがりということですが。
当然ですが、キャラ的に深みはないんで非常に薄い印象。それでも、桜子と梓に雰囲気が似ているから、という意味で狙われた理恵と奈美はいい配置だと思います。翼に相当するキャラがいないのも後半の展開に繋がってますし。
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