当麻聖(変更不可)は退魔業のかたわら学生をこなしている。師匠は400年の時を生きる魔女アポ=ステイト。師弟関係はすでに10年。だが未だ半人前の称号はとれない。
そんな時、列車内で大多数の人間が行方不明になるという事件が起こる。明らかに人間業ではない事件。聖はそこにかつてない魔物の気配を感じていた。
すたじおみりすの第3弾は自ら新境地と謳う3DアクションRPG+アドベンチャー。ここは本当に良くも悪くも話題に事欠きません。ジャンルもこれまで全て違うというチャレンジャーぶり。まさに賛否両論なゲーム作りですね。
さて、すたじおみりすと言えばいつもの時間です。リメインスタッフの善戦むなしく(?)今回もバグは健在。またしても発売日に修整ファイルがアップされました。私はVer.1.01でプレイしましたが、8月24日現在Ver.1.02まで公開されています。サイズがやや大きめですがジャンルと修整内容を考えれば止むなしでしょう。
ジャンルにはRPGの文字がありますが、イメージ的にはそんな感じは受けません。いわゆるフィールド移動がないことがその最たる理由かと思います。RPGと呼べる要素も主人公のレベルアップぐらいですし。
ゲームの流れとしては通常のアドベンチャー様式でストーリーを展開、要所でアクションパートを挿入、またアドベンチャーに戻るといった感じで進行していきます。シナリオの分岐は選択肢によってのみ。アクションパートの結果で左右されるということはないようです。
ゲーム開始時に難度を3段階から選択可能。途中で変更することは出来ません。
アクションパートは無制限コンティニュー制。恐らくゲームオーバーはないと思われます。コンティニューの内容は基本的にやり直し型。レベルやアイテムは継続されません。ただし、ボスキャラまで辿り着くとそこからのスタートになります。
補足としてアクションパートの前にキャラクター選択(聖orステイト)がありますがコンティニューの場合はここまで戻れないので要注意。
アクションパートは正直なところ、良くできていると思います。少なくとも初挑戦にしては上出来でしょう。ポリゴンのモデリングもセンスが良く、ちゃんとアドベンチャーパートのキャラに見えますし。
操作も最初はやや戸惑うかもしれませんが、すぐに慣れるでしょう。ただ装備アイテムの交換がわかりにくく、かつやりにくいです。単純に選択したものを新しく装備する、でいいと思うんですが。現装備と交換という形ではなく。
難点を幾つか。難易度というものを敵キャラのアルゴリズムではなく、ステージの長さで構築している点。アクションとして見た場合、少し長過ぎるのではないかと。レベルアップの要素があるだけに余計、そう感じます。
外見は様々な特徴と攻撃方法を持ちながら、どれも同じようなアルゴリズムの敵キャラ。基本的に一度クリアすれば終わりなゲームとは違って、複数回プレイが前提のこのゲームでは厳しいです。
最大の難点は派手な技を使うよりも、左手の突きを地味に連打している方が安全に進めるという点。まるで足払い連打でボスキャラまで倒せる格闘ゲーのようです。
ネット対応というのもこのゲームの売り。連続技をホームページにアップしたり、逆にそれをダウンロードして使ったり、ランキング登録などなかなか意欲的ですが、試していないので全く知りません。そういえばここにも不具合があったような気も(Ver.1.02にて修整)。
足回りはこういった複合型ジャンルにありがちな中途半端さ。メッセージスキップはCtrlキーの押しっぱなしのみで、既読未読を判別しません。時折、判別しているかのように止まったりもしますが、もう一度押すと結局、飛ばしてしまいます。重りが必須な上に目を離せないので不便です。
メッセージの巻き戻しは別画面で行います。ホイールマウスにも対応しているのはありがたいところ。
大したことではありませんが、鑑賞モードではクリックに対する反応がなぜか鈍いです。
シナリオは普通のアドベンチャーゲームと同じような作り。ただ、それは配慮があまりされていないとも言うことができます。エンディングなどにもそれが現れていて、15時間を越えるであろうゲームでありながら非常に淡白。せめてもう少しくらい余韻を感じさせてくれる長さが欲しいところです。どのシナリオでも見られるような王道的結末を用意する(そのあとで個別エンドに繋げる)とか。
会話はアップダウンが激しくなってます。笑いとシリアスが前触れなく入れ替わったり、その笑いが2ちゃんねる風味が入っていたりと、やや人を選ぶかもしれません。
また、このゲームでの善悪に代表される価値基準が非常に押しつけがましいように私には感じました。あくまで一意見に過ぎないものを絶対として会話を進めることが多かったような。
Hシーンはキャラによって随分と差があるように感じられました。濃いのもあれば、やけに淡白なものもあったり、マニアックなものもあったりと。本当に1人で書いているのかと思うくらい(Hシーン限定ですが)。
CGはこのゲームの最大の難点かと。まるで3D部分で全ての力を使い果たしたように出来がよろしくありません。オープニングデモ、立ちCG、イベントCGと全て見事にキャラの顔が違います。この統一感のなさはちょっと貴重なくらいのレベル。しかも、イベントCG同士も同じ人間が描いたとは思えないほど似ません。悲しいまでに。
立ちCGはキャラごとの出来不出来が目立ちます。例えばステイトはなかなか可愛く描けていますが、さつきは幼少時も含めて瞳がどこを見ているのかわからないためたいへん怖いです。
オープニングデモは外注スタッフが担当。曲と合わせてセンスの良いものに仕上げています。ただ、使われている人物CGが本編と激しく乖離しているのでちょっともったいないです。これが変わるとガラッとイメージが良くなるんですけどね。
音楽はまずまずの安定度。ただジャンルのためか、単独で聞くには少し厳しいかもしれません。個人的には悪くはありませんが、「月陽炎」がより良かっただけに評価も厳しいものに。
ボイスはかなりレベル高いです。各声優の演技、キャラの個性に合っているか、など文句のつけようがないほど。男性キャラも同様。
まとめ。実験的カラーの強い作品。トータル完成度はまだまだずっと高いものを目指せるかと。ぶっちゃけビジュアルが「月陽炎」くらい。
アドベンチャーばかりのエロゲーライフに飽きている人にはよろしいかと。
個人的満足度はある程度は満たされました。ただ、それは事前の期待度がそれほど高くなかったということもあります。
お気に入り:高原美咲
評点:69
以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。
1、アポ=ステイト
メガネ歴400年ってこともないんでしょうけど、年季を感じさせ過ぎ。美咲シナリオで深く静かに嫉妬する様は怖さ抜群。怨念めいたものさえ感じましたよ。つーか、いつの間にそんなに好かれてましたか?
春野日和さんの新境地的な演技は聞き応えがあるんですけど、それ以外はねぇ。そういやどうして視力が悪いんでしょう。
2、乾さつき
巫女キャラの風上にもおけない獣娘。初めておしりを弄られて感じたりと違う意味で大活躍。彼女が学校一の美女というのは承服しがたいものが。特に性格については愛があってもフォローできないほどクセがあるといいますか。
そういや彼女の普段着は寝間着というかネグリジェにしか見えません。最初は病院でこの格好で現れて、何が起こったのかと思いましたよ。
3、高原美咲
キャラクターで全てを勝ち取っているような気がします。このゲームで抜群の存在感を誇っています。Hシーンの濃さも充分なアピールポイントになっているでしょう。
こういったキャラって女教師ゲーにはまず出てこないので意外と貴重なのかもしれません。リアクションも想像以上に笑えますし。
4、当麻エリ
ゲーム中の笑いの8割を担当する大車輪娘。やはりHシーンがない方がシナリオライターもいじり甲斐があるのかもしれません。記憶に残るセリフが実に多いです。
難点は普通の反応をした時。違和感ありまくりですよ。
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