119   さらさらささら(アトリエかぐや)
 
 不動産会社の若き社長である吾妻祐毅(変更不可)は新しいプロジェクトの下見のために、巳各務村にやって来た。再開発計画の舞台を自らの目で確認して計画を立案するのは祐毅のポリシーでもあった。それには村に溶け込まなくてはならない。たとえ身分を偽ったとしても。
 村で出会ったのは2人の巫女と一柱の神。祐毅の運命は思わぬ方へと流れていく。
 
 アトリエかぐやのチームBerkshireYorkshireの新作は田舎を舞台にした巫女さんアドベンチャー。
 購入動機は前作「プリマ☆ステラ」の変化をポジティブなものであると受け止められたから。もちろん、原画買いということもあります。
 初回特典は台紙つき特製ブックマーカーと3枚組ヒロインポスター。両方とも見事なまでに描き下ろしではありません。相変わらず原画ファンを簡単には喜ばせません。
 
 ジャンルはいつも通りのアドベンチャー。
 足回りはそこそこ優秀です。メッセージスキップは既読未読をほぼ判別して速度は平均程度。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能です。ロード直後にも使用可能でいつでも最初まで戻れます。
 
 シナリオは規定路線の感が強いです。出だしのあらすじから想像できる範囲を一切、越えることのない物語が展開されます。地に足はついていますが、いささか遊びが少なく、退屈に感じやすいです。ヒロイン毎の差も感じにくい作りになっています。
 日常の掛け合いは良く言えば実直、悪く言えば淡々としているので楽しみを見出すのは簡単ではありません。キャラクターの魅力も初期設定以上に膨らんでいないように感じました。
 惹かれ合う過程はとても強引です。神により「夢想」という力を与えられ、この力を使うことによって夢の中でヒロインと感覚を共有したHシーンを迎えてしまうので(名目は神様を救うため)、男女の機微なんてものは気がつけば彼方に流されてしまっています。結果、人(神)助けなのに主人公を巡って争奪戦が起きるという奇天烈な状況に陥ります。
 このようにシナリオはあってないようなものですので、これをいつものかぐやととらえるか、それとも少しはシナリオらしさがあった「プリマ☆ステラ」の次回作ととらえるかで受ける印象が変わるのではないでしょうか。
 Hシーンは実際のものと先に書いた「夢想」の中でのものがあります。設定として「夢想」は現実に劣るとされているのでテンションとしては微妙な面も。長所としては舞台や状況と関係ないシーン作りが可能というものがあります。ただ、実際にはあまり突飛なシーンは用意されていません。
 エロ度はアトリエかぐやにすれば平均からやや落ちる程度。エロ重視ゲーとして見てしまうと苦しいかもしれません。ハーレムも複数人も未搭載です。
 前作にあった「秘密の小部屋」は今回も健在ですが、サブキャラのフォローという意味では大きくスケールダウンしています。具体的には1シーンしかなく、白妙まひるには何もありません。
 
 CGは安定度に欠ける嫌いがあります。良いものは可愛らしく、エロく仕上がっているのですが、一部のものは別人に見えそうなものも。また、似たような構図が多いようにも感じました。ちなみに本作の袴はスカート状であると解釈して作画されています。
 立ちCGはポーズ変化は少なく、表情で勝負する方向性です。基本的には問題ありませんが、感情表現が全ヒロイン共通のものがあったり、リアル等身には不似合いなものがあったりしました。
 SDカットは見た目のお遊び度が上昇しています。そのせいかはわかりませんが、CG鑑賞に登録されなくなりました。
 個人的な感覚としては、巫女ものならばせめて一人は黒髪がいても良かったように思います。
 
 音楽はあまり田舎らしさを考慮していない曲作りをしているように感じました。こういっては何ですがあまり印象に残らない曲が多かったようにも。
 ボイスは主人公を除いてフルボイス。演技自体は問題ありませんが、もう一歩キャラに合っているとは言い難いキャスティングがあったように感じました。
 
 まとめ。残念ながら退化が感じられてしまう作品。シナリオにおける前作の小さな進歩が失われてしまいました。加えてヒロイン数が減ってしまったのにシナリオバリエーションも乏しいのでは他要素での挽回も難しいです。
 お気に入り:なし
 評点:58
 
 以下はキャラ別感想。ネタバレは特になさそう。
 
 
 
 
 
 
 
1、各務月巳
 なんというかどうしてそこまで主人公にメロメロになってしまうのかよくわからない。経験豊富な神なのにねぇ。小さくなったり大きくなったりすることにどれくらい需要があるのでしょうか。どうせなら「Schoolぷろじぇくと☆」クラスのロリデザインにしてしまえばいいのに。
 
2、天戸沙織
 嫌いじゃないキャラデザのはずなんですが、どうも魅力を感じられず。薙刀とかとってつけたようなんですよねぇ。
 つくねの存在感は腰抜かすほどになかったですな。何のためにだ。
 
3、白妙亜弥
 エロゲーの病弱キャラはなぜか巨乳な方がとても多いです。むしろ、逆の方が希少であるという。特にロリキャラを除いてしまうとほとんどいないんじゃないかなぁ。まぁ、もともと等身高めで貧乳というケース自体が珍しいのですが。
 なんか気のせいか「夢想」の方がエロかったように感じました。
 
4、白妙まひる
 キャラだけで比較するなら最もヒロインに向いている気がします。恋愛描写にも良い人材だし。まぁ、パターンといえばパターンですけど。よもや秘密の小部屋に何もないとは予想しませんでした。
 
5、黒崎公子
 Hシーンを用意するならせめて、まひる並の出番か存在感を。


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